#1188 速攻の〈エデン〉。落城三つで勝ち鬨を上げる
クリスマスプレゼント大企画2日目!
本日はここまで!
4話目です! 今日まだ読んでない方は3回バック!
「勝ったぞー!」
「俺たちの勝利だ!」
「イエーイ!」
〈サクセスブレーン〉を見事に倒して俺たちは勝ち鬨を上げていた。
見事な作戦勝ちだ。俺は近くにいたメルトとミサトとハイタッチする。
ロゼッタの〈ブオール〉を使った移動要塞。
その神髄は運搬能力と硬い装甲にある。
一瞬だ。要塞は造るもんじゃない。要塞ごと移動するものだ。
これが〈ダン活〉で猛威を振るった戦法、〈装甲列車〉戦法の正体だ。
また、今はまだ誰も使っていないが、今後は対戦車用攻撃が増えてくるだろう。〈戦車〉特効だな。
これを受けると例え〈イブキ〉だったとしても危険だ。〈ミーティア〉を相手に〈イブキ〉を使いたくなかった理由でもある。
だがしかし、【天守護の騎士姫】のスキル『〈戦車〉特効耐性』ではそれを無力化してしまうのだ。
対策を無力化とかとんでもないことである。おかげで動き出したら止まらない夢と悪夢の移動要塞が出来てしまった。夢が2つもあるなんて贅沢。
とはいえ連結は出来ても〈装甲列車〉戦法に使える理想的な〈戦車〉は種類が少ないので、今回〈ブオール〉がドロップしてくれて本当にラッキーだったぜ。
この〈ブオール〉の〈装甲列車〉戦法により〈サクセスブレーン〉を封じ込め、〈エデン〉のほぼ全戦力を投入して挟撃。
〈サクセスブレーン〉は方陣を組んで防御に徹し、なんとか移動要塞の塞ぎ切れていない隙間から脱出を図ったが、すまん。この移動要塞って動けるんだ。
もう少しで隙間に到着というところで〈ブオール〉が発進して隙間を埋めた時は〈サクセスブレーン〉がカチンコチンに固まってしまった。あれはちょっとすまんと思った。
しかし勝負は非情。
固まったところに五段階目ツリーの大技をみんなで叩き込んで、とうとう決着が付いたのだった。
カイエン先輩は声を上げて指示していたが、メンバーがとてつもなく大きいショックを受けたように固まってしまっていたのでどうにもならなかった。
うむ、〈サクセスブレーン〉、ついに討ち破ったり!
以前〈学園出世大戦〉で〈サクセスブレーン〉だけ打ち破れなかった無念をようやく晴らすことが出来た!
別にそこまで無念とは思っていなかったが、こうして決着を付けられると、なんだろう、なんかスッキリした!
「『ゼフィルスさん、聞こえますか?』」
「おう、リーナ! 聞こえてるぜ、見事な指揮だった」
「『いえそんな、ありがとうございます。それで現在ですが〈集え・テイマーサモナー〉が〈カオスアビス〉と衝突しております。予想通り五分の戦いですわね。お互い退場者が続出しておりますわ』」
「あ~。そうなるとやっぱり〈集え・テイマーサモナー〉が3タテするのは無理そうだな」
〈エデン〉と同盟を組んだ〈集え・テイマーサモナー〉には、〈カオスアビス〉拠点への襲撃を頼んでおいた。
そのまま〈サクセスブレーン〉と〈獣王ガルタイガ〉の拠点も落としていいよと言っておいたので士気は高い。
何しろ〈筋肉は最強だ〉と合わせて4拠点分のポイント獲得となるのだ。
〈ハンマーバトルロイヤル〉〈ミーティア〉〈氷の城塞〉と3拠点しか落としていない〈エデン〉を点数で逆転可能。1位に輝くビッグチャンス!
これに乗らないわけにはいかないだろう。
だけど、リーナの報告を聞く限りちょっと無理そう。
〈カオスアビス〉は撤退を選択。〈集え・テイマーサモナー〉とガチバトルをしてお互いがっつり消耗してしまったらしいからだ。
本音を言えば、〈集え・テイマーサモナー〉には軽微な消耗で3タテ、つまり3連勝で南西エリアの3拠点を落とし、〈エデン〉の点数を逆転してから俺たちの前に立ちはだかってもらいたかった。それを〈エデン〉が粉砕して勝利するのだ。
でも無理そう。
うーむ。やっぱり〈カオスアビス〉を撤退させない処置が必要だったか。リーナにバッテンされてその案はボツになったけど。
ちなみに今の展開はリーナの予定通りとのことだ。
「『今が南西を攻める絶好の機会ですわ! 〈獣王ガルタイガ〉はこちらの防衛部隊にお任せください! ゼフィルスさんはそのまま〈サクセスブレーン〉の拠点を落としてくださいまし!』」
「了解! ――全攻勢メンバーに告げる! これより〈エデン〉の攻勢部隊は南西エリアの拠点を落としに行くぞ! これで決着だ!」
「「「「「おおー!」」」」」
〈サクセスブレーン〉に軽度の被害で勝利した〈エデン〉はとどまるところを知らない。
すぐに15人のメンバーがロゼッタの操縦する〈ブオール〉に乗り込む。
え? 1人増えてるって?
うむ。実はカルアが加わっている。
三ギルド同盟を打ち破った今、〈集え・テイマーサモナー〉が裏切って〈カオスアビス〉と共に〈エデン〉拠点を攻めてきたとしても、防衛戦力14人で時間稼ぎが十分できるとリーナは判断したようだ。それに、カルアには別にお願いしたい仕事があった。
ということでカルアも攻勢組に参加です。
「〈ブオール〉発進します! 『列・横移動』!」
「横移動する列車ってシュールだけどマジやべぇぜ」
横移動する列車はまるで津波が迫ってくるような迫力があるな。いや、道路を塞ぎながら横滑りしてくる大型トラックの方が感覚的には近いかな?
それはともかく、まずは道の突き当たりまで横移動で進み、そこから前方へ『オーバードライブ』して道を進んでいく。
そのまま一度フィールドの中央へ向かい、途中の道を右折して南西エリアへと進入する。
「この辺は罠だらけですね」
「カルア! 頼んだ!」
「ん! 『エージェント猫召喚』! 『上位エージェント・開放』! 集団の~『罠突破』!」
〈ブオール〉の速度を緩めカルアを解き放つ。
カルアは〈ブオール〉から飛び降りるとすぐにエージェント猫を3体呼び出し、〈ブオール〉から先行。次々と罠を作動させては発動する前に通過し使用済みにしていく。
そこを悠々と〈ブオール〉が走った。
いやぁ、マジでカルアが強い。敢えて罠に飛び込み、発動したときにはすでにそこにいない。
とんでもないスピードを常に出し続けていられるからこそできる芸当だ。
〈極めてドッカン〉が多いな。だが、カルアは〈拘束〉される前に『猫軽回速』や『罠突破』、『回避ダッシュ』で躱している。あれは多分『直感』が良い仕事をしていると思われる。ゲーム時代、〈極めてドッカン〉は猫人にとっても侮れない罠で時々ハマる物だったはずだが、なんかカルアは全部回避してる。強い。
少し残った罠はロゼッタの『装甲突破』や〈ブオール〉のスキル『悪路整地ブレード』で突破する。ロゼッタはタンクなので多少のダメージくらいなら無問題だ。
こうして南西エリアに進入した〈エデン〉はまずは一番近い、〈サクセスブレーン〉の拠点から狙った。
〈サクセスブレーン〉の拠点は5人だった。
マジで限界まで侵攻に人員を割いていたようだな。
ということで落城させた。レッツ・ゴーセレスタン!
続いて〈獣王ガルタイガ〉。
こちらに残っていたのは下級職が10人だった。
まだ成長途中、2年生になったばかりの学生たち。
ということで〈エデン〉の上級職LV30越えメンバー16人で攻撃し、モンスターも含め全部倒して落城。
最後は〈カオスアビス〉。
この〈カオスアビス〉の拠点は、〈集え・テイマーサモナー〉が落としていた。
ここは予定通りだな。
〈集え・テイマーサモナー〉は何部隊かで〈カオスアビス〉の撤退してくる部隊と交戦しながら拠点への攻撃を平行してやっていたらしく、俺たちが〈獣王ガルタイガ〉を落として間もなく、〈カオスアビス〉の拠点を落城させることに成功していたのだ。
やったな〈集え・テイマーサモナー〉!
そうして〈カオスアビス〉の拠点があった場所にたどり着いた俺たちと〈集え・テイマーサモナー〉は対峙した。ちなみにこっちは〈ブオール〉の中でポーション飲んで全回復済みである。
決戦準備は万端!
ロゼッタ以外の15人が車両から降りて真正面から向き合う。
「ようカリン先輩! 〈カオスアビス〉を倒したみたいだな!」
「あ、あはは。これもゼフィルス君の、〈エデン〉のおかげだよ」
うむ、そう言ってくれると嬉しい。でもカリン先輩の声がやや上ずっているのはどうしてだろう?
あ、攻めに出ていた〈集え・テイマーサモナー〉は25人居たはずなのに今は14人になってた。〈カオスアビス〉戦でだいぶ戦力を減らしてしまったらしい。
さらにはみんなボロボロだった。つい先ほどまで激戦を繰り広げていたようで回復も満足にできていないっぽい。
それに対し、こっちは完全回復のメンバーが16人。
…………。
うん! 全員が〈ピュイチ〉に騎乗して壮観だな!
お、あれは〈ベビーベヒモス〉たち。〈ダン活〉の猫には角が生えているが、〈ベビーベヒモス〉になるとやや巻き角っぽい2本の角を生やし、背中から小さな翼をはためかせる姿へと変化する。
うむ、立派だ。数は4体。〈ワイバーン〉は、あれ1体? 2体いなかったっけ?
あと、みんなそんな速度に秀でるモンスターに騎乗してどうしたのだろうか?
〈集え・テイマーサモナー〉の拠点方向は俺たちの後ろなので、逃げたとしても「どこへ行こうというのかね?」状態。当然〈装甲列車〉で塞いでおりますとも。
さて、カリン先輩はどう出るかな? いや、まずは同盟の解消を宣言するところからだな。
三ギルド同盟を倒す所までという話だったため、ここで同盟は解消だ。
「ゼフィルス君!」
「おう!」
そう思っていたらカリン先輩が決意の声を上げた。覚悟が決まったのかもしれない。
同盟を解消したら攻めに出る。そのまま〈集え・テイマーサモナー〉の拠点を落として〈エデン〉の勝利だ。
そんなことを想像していると、前に出てきたカリン先輩は片手を上に上げて宣言した。
「〈集え・テイマーサモナー〉は深刻なダメージを受け、戦闘継続が困難なためここでギブアップを宣言します!! これはギルドの総意です!」
「おう! …………おう?」
あれ? おかしいな。思っていた宣言と違うぞ?
そう思った時だった。
「ブオーーーーーー」という試合終了の音が試合会場に鳴り響いた。
〈エデン:6010点〉1位
〈集え・テイマーサモナー:2098点 → ―点〉2位
以下陥落
〈カオスアビス:―点〉3位
〈獣王ガルタイガ:―点〉4位
〈サクセスブレーン:―点〉5位
〈氷の城塞:―点〉6位
〈ミーティア:―点〉7位
〈筋肉は最強だ:―点〉8位
〈ハンマーバトルロイヤル:―点〉最下位




