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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十五章 2年生クラス替えと〈学園春風大戦〉Sランク戦!

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#1177 レイテル視点。〈エデン〉を相手に1対2?




「敵襲ー! 敵襲ー!」


「〈エデン〉が北東の防壁を破壊しました!」


「なんですってーー!?」


〈エデン〉が――来た?


 うそでしょ? 誰かウソって言って! ひっぱたいてあげるから!


 そんな現実逃避もすぐにやめ私はすぐに指示を出す。


「すぐにゼンダダとハミミの部隊を呼び戻して! 〈集え・テイマーサモナー〉にも伝令を送るのよ!」


「はい! では〈集え・テイマーサモナー〉には自分が行ってきま――」


「ダメだな」


「それは許容できませんね」


〈集え・テイマーサモナー〉へ向かおうとする伝令役の男子のセリフが――途中で消える。

 そして代わりに聞こえたのはギルドメンバーじゃない2人の男子の声だった。

 ゾクリと背中に来た私はすぐに魔法を使う。


「『クリエイトフリズドウォール』!」


「良い反応だ! 『インフェルノフィスト』!」


「伝令は行かせはしませんよ――『瞬拳(しゅんけん)』!」


「ぐぼらべったーー!?」


「な!」


 私は、無傷。使用した魔法の壁もなんのダメージも無い。

 そして伝令が転移陣で消えていった。

 狙いは私じゃなく伝令!?


「ラウ君にセレスタン」


「昨日ぶりだなレイテル」


 氷の壁の向こうから話すのは同じクラス(〈2年2組〉)のラウ君。

 そしてもう1人。1組であり、あのゼフィルスの右腕と言われているセレスタンが側にいる。


 まずい。これ、本当にまずい!

 ゼンダダとハミミ、そして〈集え・テイマーサモナー〉への連絡を遮ったということは援軍は呼ばせないと同義。

 つまり1ギルドで〈エデン〉と戦わなくちゃいけないということ。

 え? 1ギルドで〈エデン〉と戦うの? 無理でしょ。だって〈筋肉は最強だ〉より圧倒的に強いのよ!? あとこっちは今〈筋肉は最強だ〉戦の後で疲労が濃いのに!


 なんとか〈集え・テイマーサモナー〉に連絡しないと。

 でも、私今動けない。動いたら即やられると思う。

 防御力には自信あるけど相手は〈エデン〉メンバーの2人。

 こっちは1人、拠点はラウ君たちの後ろの方向。私、城主なのに城に戻れないのですが?


「悪いなレイテル。ここで倒させてもらうぜ」


「拠点の外に城主が出られるのは避けた方がよろしいですよ。こちらとしては助かりましたが」


 くっ! やっぱり〈エデン〉の方が城主の運用を分かってるわね。

 城主が外に出るなんてそりゃカモでしょうよ。でも仕方ないじゃない私はギルドマスターなんだから! 攻めて来たらすぐに拠点に戻ればいいと思っていたのよ! というかこんな一瞬のうちに防壁壊して速攻でやってくるってほんとどういうことなの!?

 そもそもどうやって防壁壊したの!? あの北東側の防壁は〈筋肉は最強だ〉戦で唯一無傷で残った防壁なのに!?


「どうやってこんな簡単に防壁を打ち破ったのかしら?」


「ああ。それは半分セレスタンがやった」


「え?」


「僕は防壁の氷を砕いただけです。残りはみなさんで打ち崩しました」


「本気だったら二撃で破壊していたのにな」


「それをするとゼフィルス様が放心状態になりそうだと懸念いたしました」


「まあ、分かる。防壁とはもっととんでもなく攻略に時間が掛かるイメージだったからな。あんなに簡単にドカドカ破壊されたら、ゼフィルスさんじゃなくてもこんなに簡単に壊してしまっていいのかと思うだろう」


「え? ちょっと待ってあなたたち。なにを言っているの? 上級生産職が上級素材で造って上級職城主の私が補強した防壁だったのよ?」


「ああ、それについてはゼフィルスさんが褒めてたぞ。凄く褒めていた。だが防衛戦力が低かったため碌な抵抗も無かったことがちょっと残念そうだっただけで。もっと防衛戦力が充実していればセレスタンがもっと光ったのに、とは言っていたな」


 つ、つまり手応えが無かったってこと?

 それで防壁の氷を割る何かを持つはずのセレスタンが役目を解放されてここにいる?


「クールタイムで使えませんので、僕はこうしてギルドマスターさんを足止めしに来ました」


「いやいやいや!?」


 そんな簡単に足止めできるとは思わないでよね! と言いたかった。でも言えそうにない。だってすでに足止めされちゃってるし!


 これは本当にマズいわ。

 聞けばそこら中で戦闘が行なわれているのが分かる。

〈氷の城塞〉拠点付近にいるメンバーは、15人くらい。後は〈防壁〉を解体するゼンダダたちに付いていってしまっているし、戦力的に不安が大きすぎる!

 早く援軍に来てもらわないと、落ちる。拠点が落ちちゃう!

 あと私も退場しちゃう!


「ではお見せしましょう。丁度クールタイムが終わりました。ラウ様、いきますよ」


「了解した。壊れたところに飛び込む」


「では、『こんなこともあろうかと』!」


 あ、今この『クリエイトフリズドウォール』を壊すって言ってなかった?

 ちょっと、目の前で作戦会議しないでよ! 今までの会話って全部クールタイムの終了を待っていたってこと!? 向こうの目的も時間稼ぎで決定!

 もういいわ、全力で耐えてみせるから!


「『プリーズフリズドキャッスルオール』!」


 この〈城壁〉を〈城塞〉へ!

 拠点に戻るのは無理。今は耐えるしか無い。

 1人でも、あらがってみせる。

【永久凍土の氷城主】の力、とくとご覧あれ!


 そう思っていたのに。


「『突貫』です!」


「……へ?」


 なんだか凄まじい衝撃が氷へ響いたかと思うと、私の城壁に亀裂が入って蜘蛛の巣状に広がり、そしてガガガガという削られる音が響くとガラガラと崩れていった。

 目が点になるとはこのことね。貴重な体験をさせてもらったわ。って、そんなの有り!?


 破壊されて崩れる氷の向こうに、右手にゴツいパイルバンカーのような装備して振り抜いているセレスタンの姿が見えた。

 あれって、対拠点用の攻城兵器? それも私の〈城塞〉を破壊できるレベルの個人装備タイプですって!?

〈エデン〉にはそんなものがあるの!?


 あれはダメよ、絶対ダメ! あんなのがあったら私たちのギルドはお腹を空かせた犬の前に置かれた骨同然だわ! しゃぶりつくされちゃう!

 セレスタンだけはここで討たなくちゃいけない!


「『城主の先兵氷陣手(ひょうじんしゅ)』!」


 大地よ凍れ! 凍った大地は私の腕となり、敵を捕まえる先兵なり!


「ダメだ」


 あ、ラウ君のこと忘れてた。


「『エンペラーバスター』!」


「きゃあああああ!?」


 なんとか盾で防御したけれど、私はとんでもない威力の攻撃を受けて吹き飛んでしまう。

 この威力、五段階目ツリー?


「む、あの体勢から空中で立て直すだと?」


 足から着地! どうやらラウ君は吹き飛ばしてダウンを取るつもりだったみたいだけれど目論見外れたわね!

 吹き飛ばされても空中で体勢を立て直してダウンを取られないようにする選択授業を受けておいて良かった。

 タンクはダウンしちゃダメなのよ!


 でもマズい状況は変わってない。

 拠点からさらに離されちゃったし、私の魔法も失敗(ファンブル)しちゃってる。あれとっておきだったのに!

 こうなったら一度拠点を離れてゼンダダたちと合流する?

 いえ、セレスタンをここで止めておかないと、戻ってくるまで拠点が持つか分からない。


 でも五段階目ツリーって、私のHP、今ので3割も持って行かれてる!?


「さすがにタンクは硬いな。だが、ここで足止めするだけでも効果がある」


 ラウ君の言うとおり、私は退いても時間を稼いでもダメだ。

 早く、一刻も早く拠点に戻るのが最善。でもセレスタンとラウ君が許さない。

 あと攻撃もあまり受けられない。HPが尽きちゃう。

 あれ? やっぱりこれって絶体絶命なのでは?


 その時、拠点からドゴーンと大きな音が聞こえてきた。


「拠点攻撃が始まったな」


「もうモンスターを全て倒されたのでしょうか? 早いですね」


「うそでしょ?」


 いくら何でも早すぎるわよ!

 チラッと上空スクリーンの〈エデン〉の点数を見る。

 ――〈エデン:2583点〉?

 ――〈氷の城塞:0点〉。


 ダメね、チラ見じゃよく見えなかったわ。

 でも2人を前にじっくり見ることも出来ない。


 とにかく拠点攻撃は始まってる。早く戻らないと本当に負けちゃう!

 ええい一か八か、特攻よ!


「『アイスブラスト』! 『大氷(だいひょう)専守(せんしゅ)』!」


 まずは攻撃魔法で牽制。そして頼れる四段階目ツリーを発動し突破を狙う。

 これは守りに特化した移動できる防御スキルで、大きな氷の殻のような衣服で体を覆い、敵の攻撃を引きつけながら移動するという特殊な防御スキル。

 逃げるときや、ボスが怒りモードになった時なんかに防御しながら距離を取れるとても優良なスキル。

 これを着て、一か八か拠点へ進むのよ!


「その決意、潔しです」


「行かせん――『獣王烈震(れっしん)咆哮牙(ほうこうが)』!」


「合わせましょう――『波動剛歩爆(ごうふばく)』!」


 でも2人は牽制の魔法を素早く回避して回り込み、五段階目ツリーと思われる攻撃がズドドーンと私の氷の殻を揺らしたかと思うと、着ていた氷が砕けて消えてしまう。


「そんな!」


 賭け失敗。咄嗟に盾で受けなければHPが消し飛んでたわ。でももうダメージが深刻。

 私の最後の手段が打ち破られると、ラウ君とセレスタンはもう目の前。

 あ、これ、ダメかも。


 そう、覚悟を決めそうになった時、後ろから頼もしい声が響いた。


「させないでありますな! ――『破砕闘魂打(はさいとうこんだ)』!」


「わっちのレイテルたんをよくも追い詰めてくれよって! 『グロリアスレボリューション』!」


 聞こえたのはよく知るゼンダダとハミミの声。


 ゼンダダの超振り落ろしハンマーとハミミの回転ハンマーの攻撃を苦も無くひょいとセレスタンは避けながら構える。

 いつの間にか攻城兵器は装備していなかった。


「新手ですか」


「ゼンダダ! ハミミ! みんな!」


 そこで私は希望を見いだす。

 南東の防壁へ向かっていたはずの部隊が戻ってきたのだ。


 これでこの2人を突破出来る!


 ここから反撃よ!





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
代表選手なら突破できる!! ・・・しかし回り込まれてしまった
[一言] 無理だ、無理なんだ。
[気になる点] パンチだとわかってるけど獣王の○○バスターって見るとキン肉バスターを思い浮かべてしまうなあ バスターって総合格闘技なんかでは叩きつける投げのことだから違和感が強いんだよね
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