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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十五章 2年生クラス替えと〈学園春風大戦〉Sランク戦!

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#1166 筋肉新たな戦法〈マッスルビルドローラー〉!




 南東エリアは東側に向いた直角二等辺三角形の角に各拠点がある形をしている。

 もっとも攻められやすいのは中心地にいる〈筋肉は最強だ〉だ。

 しかし、そんなことをものともしない強さが筋肉にはある。

 伊達に非公式ネタ職業(ジョブ)ランキング第1位という、ネタ職業(ジョブ)最強の座についてはいない。


〈集え・テイマーサモナー〉と〈氷の城塞〉が組んでなお、倒せるか分からないのが〈筋肉は最強だ〉だ。

 さすがは一部でトラウマ製造機と言われるギルドなだけはある。


 しかし、不意打ちをカマし、筋肉には手が出せない制空権を取った〈集え・テイマーサモナー〉によって筋肉たちは一時撤退した。


〈集え・テイマーサモナー〉と〈氷の城塞〉は正式に対〈筋肉は最強だ〉戦線を張ることになる。


「よく来てくれたわカリン!」


「レイテル、無事で良かったよ~」


 ギュッと両手握手を交わす2人は、実は友達だ。

 レイテルも今でこそ〈新学年〉を経由して2年生となっているが、本来はカリンと同い年。

 同じクラスにはなったことはないものの、元々知り合い以上の交流があった。

 また、〈氷の城塞〉がAランクに急上昇し、急なランク上昇に右往左往している時に〈集え・テイマーサモナー〉が力になり、さらに仲が深まった経緯がある。


「また、あなたに助けられてしまったわね」


「いいのいいの。この貸しは将来高く返してもらうつもりだからね!」


「ふう、これ以上借りを作るのが怖いわ。早く返済しないと」


「ふっふっふ、そんな慌てなくてもいいんだよ。でも今はその話は置いといて、対マッスラーズの話をしよう」


「そうね、同意するわ。一時的に撤退はしたけれど、最近の筋肉は頭を使うから、すぐ次の作戦を練ってくるでしょうね」


筋肉は最強だ(マッスラーズ)〉はランドル先輩が居た頃より大きく変化している。

 主に頭を使ってくるのだ。耐性ポーションがその筆頭である。

〈上級対氷ポーション〉を使われたせいで、レイテルの攻撃がまともに通らなかったのだ。

〈集え・テイマーサモナー〉が救援に来なかったら陥落していた可能性は高かった。


 今は急ピッチで拠点の要塞化が進められている。


 さて、あの筋肉にどうすれば勝てるのか?

 レイテルがそう考えていた時、カリンが胸を張って提案する。


「筋肉の弱点は魔法に弱いこと。それと、遠距離攻撃手段が乏しいことだよ! ぶっちゃけ空を飛んでいる敵には何も出来ないくらいだよ」


「そうね。だからこそモンスターが空を飛び、その背中にいたカリンを見て諦めて撤退したわ」


「うん。そして筋肉の強みはその団結力だと思うんだよ」


「団結力? あの〈筋肉ビルドローラー〉?」


「そうそう。あれヤバいよね。だからあれを組ませちゃダメなんだよ。特にここって通路もそんなに広くないし、筋肉たちが津波になって押し寄せたら私たちのモンスちゃんもやられちゃうし」


「筋肉の津波、考えたくないわね」


〈リメインロボッズ〉は通路型のフィールドだ。筋肉が横に広がって攻めてくれば逃げ道は空くらいしかない。

 だから、カリンの言うとおり組ませてはいけない。


「それ以外にもマッスラーズのメンバーって絶対誰かと行動していて1人になることなんて無いんだよ。だから、その団結力を利用して大部分を拠点から離し、出払った隙を突いて拠点を落とすの!」


「!」


 所謂留守を狙う作戦だ。

 正直まともにぶつかっては戦線を組んでいても危ういので、勝つためには主力が出払った拠点を狙うほうが良い。

 もちろん、普通なら〈筋肉は最強だ〉の主力が攻めてきたら防衛に掛かりきりになってカウンターなんかできる余裕は無くなってしまうが、2つのギルドが組めば勝機はある。


 ちなみに今回カリンたちが〈氷の城塞〉を助け、〈筋肉は最強だ〉の留守を狙わなかったのは、このままだと〈氷の城塞〉が落ちる方が速いと判断したからだ。

〈集え・テイマーサモナー〉と〈氷の城塞〉で生き残る。これが重要だった。


「レイテル、防御は任せて良い?」


「任せて。私たちは防御に重きを置くギルドよ? 防御だけならあの〈エデン〉にだって負けないんだから」


 こうして対〈筋肉は最強だ〉戦線は動き出す。




「作戦はこうだよ。〈筋肉は最強だ〉はとにかく好戦的なギルド。自分の筋肉に自信を持っているから躊躇わずに仕掛けてくる。そこで〈氷の城塞〉が主力を引きつけて、私たち〈集え・テイマーサモナー〉がカウンターで拠点を落とすの」


「行けるわね。私たちの方は道に防壁を築き攻撃を引きつけることね」


「うん。私たちの拠点が狙われるとアウトだから、防壁を築くのは地図でいうここ、マッスラーズの拠点の西にある4つの通路が重なる重要ポイント。ここに防壁を築いて、マッスラーズが対応しようとしたところで私たちは反対側から攻める」


 カリンが差したのは〈学生手帳〉に転送された地図。

〈筋肉は最強だ〉の西側にある交通の要所だ。

 ここに防壁、あるいは砦なんて建てられたら〈筋肉は最強だ〉にとってたまったものじゃない。

 完全な挑発だと思われるだろう。

 絶対に主力が破壊しに出てくるはずだ。


 そこへカリンたちが〈筋肉は最強だ〉拠点の東側から攻める作戦である。


〈筋肉は最強だ〉の猛攻を受け止め逃がさないのは〈氷の城塞〉の仕事。

〈転職〉し、〈道場〉を利用して上級職で高位職の「ドワーフ」を2人も育て、ギルドマスター自身も防衛に力を入れた職業(ジョブ)に就いている。

 先ほどは初手奇襲プラス、相手を追い返す手段に乏しかったために後れを取ったが、今回は受け止める事に集中すれば良いので前回のような後れは取らないとレイテルは決意を固める。


 早速2人はギルドメンバーに作戦を通達、すぐに準備を済ませて要所へと向かった。


 まずは要所に防壁を設営し、如何にも「〈筋肉は最強だ〉の拠点を取りに行く砦を建てています!」という雰囲気を出す。


 そんなことをすれば、〈筋肉は最強だ〉も黙ってはいられない。

 筋肉は素直なのだ。〈集え・テイマーサモナー〉の拠点を攻めるなんてことはせず、砦へと歩を進めるであろう。


 そして案の定、それは起こる。

 レイテルたちが一気に城壁と防壁のダブル壁、砦をがっつり造り、その間カリンが〈筋肉は最強だ〉拠点を攻めて時間を稼いだのち西へ引くと、筋肉たちは〈落槍〉を片手に追いかけてきた。そして砦に気付く。


「レイテル、連れてきたわよ!」


「ありがとうカリン! こっちも万全よ!」


「はーっはははは! その砦構築、我らへの宣戦布告と受け取った! 受けて立とう、この筋肉が!」


「「「「この筋肉が!!」」」」


 時間稼ぎには十分な建設が進んだ辺りで〈筋肉は最強だ〉を連れてくる。

 カリンはそのまま〈ワイバーン〉で飛行しながら砦を越えて、Uターン。誘導はここまで、ここからは砦を壁にしてガチバトル。

 最初は本気だと相手に悟らせるため、〈氷の城塞〉と〈集え・テイマーサモナー〉の合同でぶつかる予定。そして十分に引きつけたところで〈集え・テイマーサモナー〉が後ろに回り込み、拠点を落とすのだ。できればそれなりの筋肉を削るのが理想。


 正念場である。

 ここで砦を壊され、全滅すれば〈氷の城塞〉も〈集え・テイマーサモナー〉も敗北は必至。

 絶対に負けられない戦いが幕を開ける。

 しかし、制空権という強みを持ち、一度は〈筋肉は最強だ〉を撤退させた〈集え・テイマーサモナー〉がいればイケるはず。

 そう、誰もが思っていた。


 しかし、筋肉たちは新たな戦法を生み出していた。


「行くぞ! 〈真・マッスルビルドローラー〉だ!」


「「「「応!」」」」


 ドスン。

 筋肉たちが持つ〈空間収納鞄(アイテムバッグ)〉から新たにあるものが取り出される。


「え?」


「なに、あれ?」


 それにはカリンもレイテルも、一瞬放心気味に固まった。


 それは〈乗り物〉。

 馬車の車体に大きな前輪が2つとそれに比べればやや小さい後輪が4つ付き、そして車体の両脇にくっついた筋肉ムキムキに見える巨大なゴーレム腕が腕を組む。そしてさらに、車体の上に輝く我らがマッスル先輩の顔。


 ―――〈無人腕車ガンゴレ〉。〈ガンゴレ・マッスルバージョン〉だった。


「行くぞーー!! わっしょい!」


「「「「「わっしょい!!」」」」」


 そしてランドル(マッスル)先輩が神輿のように持ち上げられて攻めてきた。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
レイテルの「任せて。私たちは防御に重きを置くギルドよ? 防御だけならあの〈エデン〉にだって負けないんだから」は思い上がりがスゴイな。直接対決をしたことは無いんだっけ? 他の方も言ってたけど、ジョブの格…
[良い点] ちょっ!? 乗らないの!? いや、操車出来ないからって、それ!? 筋肉、頭使いすぎ!! [一言] 最近の筋肉は頭を使うから~ > 言いたいことは解るけど、ひどいセリフだ。
[良い点] 筋肉ワッショイ。 筋肉戦士は馬車使えないから、騎士系の人でもスカウトするのかなと思ってたらこれだよ。馬車に乗るのではなく馬車を乗せる。リアルって怖いね。
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