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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十五章 2年生クラス替えと〈学園春風大戦〉Sランク戦!

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#1164 微笑みのドリルと〈ミーティア〉への使者。




「さすがゼフィルス様です。ここまでお膳立てされては失敗はできませんね」


「足止めは完璧だね!」


「こっち側、誰も居ないね!?」


 ここは〈ハンマーバトルロイヤル〉拠点の南東側、ゼフィルスたち北側部隊とは時間をズラしてセレスタンたちの部隊が到着していた。


 そしてゼフィルスたちがあまりにも暴れまくったせいで、こちら側には防衛モンスターも、そしてハンマーを持った人員すら皆無(かいむ)

 完璧に手薄となっていた。

 ノエルがゼフィルスたちを褒め、ルキアがあまりの状況にきょどった。「これ、失敗しろという方が難しいんじゃ」みたいな心境だった。

 とはいえ油断はしない。


「では――『こんなこともあろうかと』!」


 あっという間に〈ハンマーバトルロイヤル〉の拠点に近づいたセレスタンが懐からどう見ても入りきらない2メートル級のドリルを取り出す。

 右腕にはめ込んで装備完了。


 これは〈城掘突貫ドリル〉。

 拠点、本拠地、巨城はもちろん。

 シャロンやレイテルが召喚する〈城壁〉や生産職が建ててしまう〈防壁〉などに〈攻城特効〉を持っている、装備型の攻城兵器だ。


 本来は何が何でも防がなきゃいけない代物だが――――残念ながら、ここには防ぐ人が居なかった。


 北側では今も必死に吹雪と鏡で視界とか色々大変なことになっているラディッツたちが頑張っているが、〈吹雪の鏡迷宮〉の外ではゼフィルスたちがすでに囲んでいたりする。

 迷宮を脱出した瞬間総攻撃が仕掛けられることになるだろう。

 実況席や観客席、あと掲示板などが大変盛り上がっているようだがそれはともかくだ。


 ドリルを装備したセレスタンを守るように〈エデン〉メンバーが辺りを警戒して配置につくと、作業開始。


「んじゃ行くよー! 『リ・エール』!」


「『突貫』です!」


 ノエルの『リ・エール』がセレスタンに掛かると〈城掘突貫ドリル〉のスキル『突貫』が発動。ギュイィィィィンというドリルが高速回転する音と共にセレスタンが右手から強烈な突きを放った。


 ―――ズダンと衝撃。そのままズガガガガガガという音も追加。計五割ダメージ。

 拠点のHPがたった十数秒で半分も削れてしまう。

 Aランク戦〈拠点落とし〉ではラナの『大聖光の十宝剣』で20%しかダメージを与えられなかったことから見ても、このダメージがとんでもないものだと分かるだろう。


「ではもう一発行きましょう」


「あ~、これ『アンコール』必要無いね~」


 再びドリルを振りかぶるセレスタンは、いつも通りの微笑みだった。


「―――『突貫』です!」



 ◇



 ここは〈ミーティア〉の拠点。

 そこへ息を切らせた使者が走り込んできていた。

 もちろん戦う意思はないことを示すために白旗も忘れてはいない。


「〈ミーティア〉! 我らは〈ハンマーバトルロイヤル〉である! 火急の要件で参った! 戦う意思はない! 繰り返す! 火急の要件で参った! 戦う意思はない!」


「騒々しいですわ! いったい何事ですの? 吹き飛ばしますわよ?」


「私にはなんとなく展開が読めたのだわ。火急の用件って確実にあれよね? ――あとアンジェは落ち着きなさい。まだ吹き飛ばしちゃダメよ」


「で、できれば吹き飛ばさないでもらいたい! ゼェゼェ」


 白旗を振りながら全力で戦う意思はないことをアピールする男子にアンジェとマナエラが拠点から対応する。


 白旗男子は〈ミーティア〉のギルドマスターとサブマスターに出会うことができて幸運だと思うと同時に、生きて帰れるかな俺と空を仰いだ。

 しかし、マナエラがとりなしたことで話を聞いてもらえる雰囲気になった。

 しかも何やら要件を察している雰囲気。さすがは〈ミーティア〉だと心強く思いながら白旗男子は現在の状況を話した。


「現在〈ハンマーバトルロイヤル〉はお隣のギルド、〈エデン〉から襲撃を受けております! 本格的な侵攻です! 今なら〈エデン〉の拠点は手薄になっております!」


「む。本格的な侵攻、それはよくありませんわね。〈ハンマーバトルロイヤル〉が落っこちたら〈エデン〉と1対1になってしまいますわ」


「でもよくここまで来られたのだわ。〈エデン〉のことだから、私たちの拠点への道は封鎖していると思ったのだけど」


「はい! 我々も途中〈エデン〉の斥候と遭遇し使者を分け、俺は超遠回りルートで〈ミーティア〉を目指しました! あっちの使者が到着していないところを見ると――」


「やられちゃったのね」


「はい! おそらくやられちゃいまし――え?」


 その時だった。白旗男子の足下に、HPも消失していないのに突然転移陣が現れる。


「――ホジャン!?」


「「あ」」


 そして白旗男子は、一瞬で転移して消えていったのだった。


 その場を静寂が支配する。


「…………」


「…………行っちゃったのだわ」


「ねぇマナエラさん? これってつまり」


「〈ハンマーバトルロイヤル〉、落ちちゃったみたいね」


 そう、〈ハンマーバトルロイヤル〉最下位のお知らせだった。

 上空スクリーンに記載された『〈ハンマーバトルロイヤル〉最下位』の文字が涙を誘う。

〈ハンマーバトルロイヤル〉の救援要請は、間に合わなかった。


 それと同時に北エリアでは〈ミーティア〉と〈エデン〉が1対1になったお知らせでもあった。

 それは〈ミーティア〉陥落と同義でもある。


「……思ったよりも早かったのだわ」


「マナエラさん!? まだ諦めるには早すぎますわよ!? すぐにあの作戦を決行するのですわ!!」


 アンジェがマナエラを叱咤し、すぐに対〈エデン〉作戦を決行すると決断する。

〈エデン〉と〈ミーティア〉がぶつかるまでもう少し。




 ――――――――――――――――――――

〈ハンマーバトルロイヤル〉――最下位。

 ――――――――――――――――――――




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[良い点] うん、このタイミングだと思ったよ。ナイス!
[一言] >懐からどう見ても入りきらない2メートル級のドリルを取り出す。 >右腕にはめ込んで装備完了。 モデルはギガストリーマー(特警ウィンスペクター)かな? もちろんマックスキャリバー装着のスピナ…
[良い点] おそろしく早い陥落。オレでなきゃ見逃しちゃうね
感想一覧
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