#1155 Sランク戦〈リメインロボッズ〉フィールド!
そして4月11日金曜日。
とうとうやって来ました! Sランク戦の日が!
金曜日の今日は本来なら選択授業のある曜日だが、春休み明け最初の金曜日は選択がまだ決まっておらず、学園が休みでもある。
その日を有効に使い、空席を埋めるためのギルドバトル、〈学園春風大戦〉を行なうのだ!
ふふふ、〈エデン〉の準備は万全だ。
装備は完璧に揃えた。
3日前、あまりの特大のインパクトにうっかり忘れたロゼッタの〈ブオール〉も翌日には引き取って試運転も万全。誰にも見られていないからな。お披露目が楽しみだ!
アルルにもフィナの剣と盾、ラクリッテの両手盾、サチの剣と盾を生産してもらった。
他にもダンジョンでドロップした〈金箱〉産装備でみんなの装備を強化済み。
抜かりは無い!
参加者30名。最終的にトモヨとセレスタンが入れ替わることになった。
〈拠点落とし〉では受けタンクは足りていることもあって、すまないが応援に回ってもらうことになったのだ。
本人は「ならマリアと色々回るよ~」とあまり悲観した様子が無かった、むしろ当日になると喜んで「外回りに行ってくるねー」と出発していったよ。
〈学園春風大戦〉は大変盛り上がるし、外には露店も出るからな。楽しんで来てほしい。
マリアと打ち合わせするトモヨの方から「ファン行動」なる言葉が聞こえて来たが、何かイベントでもあるのかもしれないな。
「セレスタン。Sランク戦では頼りにしているぞ」
「お任せください。身命を賭して報いましょう」
「セレスタンが戦闘不能になる姿は想像できないな~」
セレスタンが冗談を言ってきたので軽く返した。
ここはギルドハウス。
Sランク戦は午後からなので、午前中はここに集まり最後のミーティングを行なうことになっていた。Bランク戦とCランク戦の数が多いらしく、Sランク戦は午後1番となっている。
続々と〈エデン〉メンバーが集まってきた。
全員が集まったところでミーティングを行なう。
「時は来た。今こそ〈エデン〉がSランクギルドに昇格する時だー!!」
「「「「「おおー!!」」」」」
「テンション高たかですわー!」
いつも通り大ホールのでっかいテーブル前に立ち、横にリーナを置いてまず第一声。
最初の一声が大事。
これからSランク戦だ。気合いを入れていこうじゃないか!
多くのメンバーから気合いの入った叫びが木霊した。
みんな気合いは十分だな。
「ではこれよりSランク戦のミーティングを開始する! まずは最重要たるフィールドからだ!」
Sランク戦のフィールドが今朝発表された。
これをメンバーにも発表しないと説明は出来ない。
「今回のSランク戦は、〈リメインロボッズ〉フィールドだ」
「「「「〈リメインロボッズ〉フィールド??」」」」
その名前からはどんなフィールドか想像できない言葉に多くのメンバーが聞き返した。
まあ、初めて聞けばそうだよね。
「サトル」
「はい! 複写してきましたよ! これが今回のフィールドです」
俺が指示を飛ばすとサトルが待っていましたと言うようにデカデカとした地図が貼られたホワイトボードをスライドさせてきた。
その異様なフィールド図にメンバーが再度ざわめく。
「何これ? 絵?」
「いつものフィールドとはかなり違いますね」
「うむ。Sランク戦の第一アリーナ、そこで行なわれる〈拠点落とし〉のフィールドは全く勝手が違うらしい。以前〈千剣フラカル〉が勝ったSランク戦もこんな感じのフィールドだった」
「ん。そうだったっけ?」
「リカの言うとおりだな。カルア、ちゃんと一緒に観戦に行っただろ? ほら〈学園出世大戦〉Sランク戦の時だ」
「……忘れた」
おう……。
まああの時は俺たちもAランク戦が午後に控えていたし、そっちに気を取られて覚えていなかったということもあるだろう。そうであってほしいなぁ。
さて、説明が必要だな。
「見ての通り線画のように見えるこのフィールドがSランク戦〈拠点落とし〉のフィールドだ。〈学園出世大戦〉のSランク戦でもこんなフィールドで戦っていたな。Aランク戦とは違い、Sランク戦の〈拠点落とし〉はフィールドがガラッと変わるんだ。この緑色の部分は山になっていて不可侵区域。通れるのはクリーム色で画かれた線の道だけだ。そしてこの赤い部分が拠点の初期位置になる」
これがSランク戦の〈拠点落とし〉フィールドが他とは全く違うと言われる所以だ。
普段のAランク以下のフィールドでは普通に通れる平地エリアが広がり、所々に障害物が立ちはだかるというスタイルだったが、Sランク戦はその前提自体が変わる。
まず通れない不可侵区域のエリアが広がり、そこに通れるエリアがまるで迷路のように広がっているという、見方によればダンジョンとも言える作りをしているのだ。
まあ、アリーナはダンジョンの一種だから間違っちゃいないんだけどな。
そしてこのSランク戦は、〈リメインロボッズ〉フィールド。
よーく見ると、遺跡でロボットが徘徊している、そんな線画に見えてくる。
ロボットが後ろに描かれた遺跡の入口を守っているように画かれているフィールドだ。
これは言葉で説明できないからな。
とにかく絵を丸暗記するしかない。
どこどこへ行けとか言われても、このフィールドは迷路なので分からないのだ。
リーナのような位置情報をサポートしてくれるメンバーが非常に重要となってくるフィールドだな。
「ということでみんな、いつも以上にリーナの言うことを聞き逃さないようにしてくれ」
「「「「はい!」」」」
「リーナも頼む。このSランク〈拠点落とし〉の鍵はリーナが握っていると言っても過言では無い」
「任せてくださいませ! 全力でご期待に応えてみせますわ!」
リーナがとても頼もしい!
ふっふっふ。今回の勝ちもいただくぜ!
さて説明の続きだ。
「今回の参加ギルドだが、やはり戦闘ギルドは全て出場を希望しているため9ギルドが参加だ。ただ一昨日入れかわりが発生して〈新緑の里〉がBランクに落ち、新たに〈ハンマーバトルロイヤル〉が昇格してきている」
エルフのギルド〈新緑の里〉。
やはりというか、最上級生が卒業した人数不足が深刻でランク戦で負けたのだ。
新たにAランクギルドに昇格したのは〈ハンマーバトルロイヤル〉。
見た目かなり頑強という感じのハンマー使い集団だ。〈筋肉は最強だ〉とは仲が良いらしい。
知り合いの中では熊人でハンマー使いのアディが入っていたはずだが、他のメンバーはよく知らないんだよなぁ。
「これで参加ギルドは決まりましたわね。〈エデン〉、〈獣王ガルタイガ〉、〈ミーティア〉、〈カオスアビス〉、〈サクセスブレーン〉、〈筋肉は最強だ〉、〈集え・テイマーサモナー〉、〈氷の城塞〉、〈ハンマーバトルロイヤル〉の9ギルドですわ」
リーナがホワイトボードとは別の黒板にスラスラと書いていく。
前回〈学園出世大戦〉の時は18ギルドが参加し、6ギルドが突破枠だった。
しかし今回は1ギルド分しか席が無い。
9ギルドが参加しての取り合いだ。試合は非常に激化するものと思われる。
「そしてフィールドを見てほしい。9のギルドはそれぞれ北、南西、南東辺りに3ギルドずつ配置されることになる」
俺が指さすところに注目すると、初期拠点の赤いマスが北側に3ギルド分、南西にも3ギルド、南東も3ギルドが固まっているのが分かる。これを北エリア、南西エリア、南東エリアと呼称している。
エリアと同じ括りにしても不可侵エリアに阻まれているためお互いの拠点はかなり距離が離れているのがわかる。
直線距離では10マスほどしか離れてないのに、曲がりくねった道で実際は倍以上のマスを経由しないとたどり着けないようになっていた。
別のエリアともなればかなりのマスを遠征しなくてはならない。
戦略性が求められるだろう。
また迷宮型なので色々見通しが悪く道が狭いのも大きな問題だ。罠も仕掛け放題。
索敵がかなり重要なフィールドだな。
「現状は把握してもらったと思う。みんなの〈学生手帳〉にフィールドイラストを送ったから確認してくれ。試合では迷うと命取りだからな。常に自分の位置を見失わないよう気をつけてくれよ」
そうは言うものの、現在地がどこかまでは〈学生手帳〉に表示されない。
自分の位置を見失ったら相手の思うつぼだ。
リアルではそうやって迷わせて狩りにくる戦法も存在するだろう。
俺も気をつけたいと思う。
「ここは一本道が多いですから、以前クラス対抗戦でやった要塞の建設が有効そうですわね」
「罠も結構有効だぞ。通らざるを得ない場所がいっぱいあるからな。警戒させるだけでも足が遅くなる」
道は1マス分の幅しか無い。
1マス全体に仕掛ける集団用の罠さえあれば引っかけるのも容易だろう。
逆にそういう罠があることを前提に動かなければ即餌食になってしまう。
本当にSランクなフィールドだ。
「はいゼフィルス君!」
「どうぞミサト」
「〈エデン〉はどこからスタートになったのかな?」
おう。その説明を今からしようと思っていた。
「そうだな。では発表する。〈エデン〉の拠点だが、ここだ」
俺が指さしたのは北。
そこに存在する3ギルドのうちさらに北にある位置。
残り2つのギルドに挟まれた中間地点だった。




