#1149 ついにクラス替え。探すまでもない俺の名前。
〈ダン活〉の一大イベント――入学式。
どうやらかなりの数の高位職が誕生したようだ。
特に何人か〈姫職〉が出現したのが素晴らしい。
白衣を着た研究員たちがなんか凄い数出てきて体育館がとても混沌としていたのは凄かったな。
うむうむ、どんどん研究していってくれ。
まだクエストクリアをしていない人もそれなりにいたので、〈姫職〉はこれからもまだまだ増えるだろう。増えなければ、増やす!
入学式が終わった直後から、学園はアリーナをオープン。
新入生のためのモンスターハント場として高位職に就くためのサポートを開始した。
そしたら新入生がなだれ込んですごいことになっていたな。
元々アリーナを開放すると学園は宣言していたし、故に高位職の条件を満たせていなかった人が一気になだれ込んだのだ。
「とにかくデータを集めろ」をモットーにミストン所長が陣頭指揮を執り、なんとか学生たちを落ち着かせていた。学園長や先生方も忙しく走り回っていたな。
そんな慌ただしい入学式だったが、まだ慌ただしさは続く。
翌日には上級生たちの進級式があるからだ。
「今日から2年生だねゼフィルス君」
「ああ。1年なんてあっという間……ではなかったな」
「くす。うん、色々あったね」
ハンナといつものように通学路を歩いて登校する。
今日は進級式、つまりは俺たちの2年生のクラス替えがある日だ。
この1年を振り返ると、うむ、結構濃密で充実した時間を過ごせたと思う。
素晴らしいことだ。
「ああ。本当に色々なことがあったなぁ」
「……そこは色々なことをやったな、じゃない?」
「…………」
ハンナにツッコミをもらってしまった。
ハンナ、なかなか腕を上げてきているじゃないか。
思い返すと、色々やった覚えしかない気がするが、きっと気のせいだろう。
学園長たちも頑張ってくれたしな。うむ。
「そういえば〈ダンジョン攻略専攻〉の人たちって校舎が変わるんだよね? ゼフィルス君も違う校舎に移るの?」
「そうだな。とはいえ俺たち〈青世代〉は〈戦闘3号館〉と〈戦闘4号館〉を使うのは変わらない。大きな移動があるのは〈緑世代〉だ」
終業式に〈学生手帳〉へメッセージが届いていた。
〈ダンジョン攻略専攻〉に所属する学生の校舎が一部変わるという内容だが、それは学生服の襟に緑色の帯が入った世代、つまり現3年生だ。
ちなみに俺たちは青色の帯なので、現2年生は通称〈青世代〉と呼ばれていたりする。
俺たちはこれまで〈戦闘3号館〉を使っていて、隣には〈戦闘4号館〉が隣接されそこには同世代となる〈新学年〉が使っていた。
これが合併するのだから校舎が2棟隣接されていないと不便となる。
今の所、校舎が2棟繋がっているところは〈戦闘3号館〉と〈戦闘4号館〉、そして〈戦闘2号館〉と〈戦闘5号館〉となる。
ここで問題なのが現3年生、学生服の襟に緑色の帯が入った世代。通称〈緑世代〉が使っていた校舎が〈戦闘2号館〉というところ。
今年の新入生は例年の倍を超えるので、隣接されている2棟の校舎に入れるのが順当。
ということで、前年度の〈赤世代〉、つまり先月卒業してしまった世代が使っていた〈戦闘1号館〉へ引っ越しすることになったのだ。
そして新入生たちは〈戦闘2号館〉と〈戦闘5号館〉を利用することになっている。
ちなみに今年の新入生の帯の色は〈赤〉だ。〈赤世代〉だな。
学園は3年制なので〈青世代〉〈緑世代〉〈赤世代〉を順番に回しているわけだ。
「じゃあ、ゼフィルス君たちのところは変わらないんだね?」
「いや、完全にそうとも言いがたい。今年からは成績上位者は〈戦闘4号館〉にある教室を使うらしい。成績下位者は〈戦闘3号館〉を使うとのことだ」
「え、そうなの?」
「ああ、〈戦闘4号館〉の方が新築だし、色々と多機能付きで新施設が充実しているらしくてな。これまではまだ調整中で使えなかったものも今年度からは使えるらしいぞ」
「へ~いいなぁ」
「おう、ちょっと楽しみだぜ。そんなわけだから校舎は変わるな」
「なるほどね」
ちなみにハンナの校舎〈生産1号館〉も増築され、いくつか上級職が使うための施設が出来ていたりする。
つまりはハンナのための施設だな。(確信)
冗談だ。しかし、そういう施設が増えているということは、学園が生産職の〈上級転職〉に協力的ということ。今後は生産職もじゃんじゃん〈上級転職〉していくのかもしれないな。
そんなことを話ながら歩いていたらいつもの分かれ道へと差し掛かる。
「じゃ、ハンナも頑張れよ」
「うん、ゼフィルス君もねー」
そう言ってお互い別れる。
そうして〈戦闘3号館〉よりもちょっと遠くなってしまった〈戦闘4号館〉へと向かった。
2年生のクラス替え表が張られている掲示板は〈戦闘3号館〉と〈戦闘4号館〉に張られているが、俺は確実に〈戦闘4号館〉だろうからな。ふふふ、満点は伊達じゃ無いんだぜ。
「えっと〈戦闘課〉、〈戦闘課〉。って〈戦闘課〉多いな!」
今年の2年生の〈戦闘課〉クラスはなんと280組だそうだ。
1年生の1学期の時は127組、2学期で119組になってたけど、2年生になって倍以上に増えたなぁ。
こりゃ自分の名前を見つけるのも大変だぞ。下手をすれば自分の名前を見逃し、万を超える学生の名前を読まなければならないこともあり得る。
自分の才能なら上位クラスは堅いと思い込んで上から読んでいたら、下の方に自分の名前があったとかしたら……。おおう、なんか震えてきたぜ。
まあ冗談だ。
この中から自分の名前を見つけ出すというのは苦行に近いので、ちゃんと自分のクラスを知る方法がある。
それがこの今年から導入された新システムにして新設備、〈学生手帳〉を翳すと自分のクラスが表示されるハイテク機械、その名も〈あっちこっちクラス機〉、通称〈あこクラ〉だ。
やり方は駅の改札のようにスキャンに翳すだけ。
すると〈学生手帳〉にクラスが表示される仕組みだ。ほんと、マジハイテク。
これも新校舎につけられた設備の一部だ。
しかし、俺はそんなものには頼らない。
そんなものが無くても俺は自分のクラスがどこか当てて見せよう!
そこら辺にたくさん置いてある〈あこクラ〉の前を優雅にそして堂々と通り過ぎる。
周りの同級生たちが驚くような顔で俺に視線を向けているのが分かった。
ふっ。なんだか決まった感じがするぜ。
そして俺が立ったのは掲示板の最奥にして端っこ。
2年生の中で最も優秀な者が所属することを許されたクラス、1組のクラス表の前だった。
そして見る。一番上に輝く〈ゼフィルス〉の文字を。
ふはははははは!!
探すまでも無い! 探すまでも無いさ!
俺に掛かれば1万を超える人の中から自分の名前をピンポイントで見つけるのなんて朝飯前だ!!
後書き失礼いたします!
小説〈ダン活〉第7巻、本日発売です!
よろしくお願いいたします!




