#1139 ギルド整理と打ち上げ!サプライズゲスト登場
サトルが無事〈アークアルカディア〉のギルドマスターに就くことになった。
早速サトルが新しく増えるメンバーの書類作成で活躍している。
他には同じく〈助っ人〉だったマリアとメリーナ先輩、ハンナと同じパーティであるアルストリアさんとシレイアさん、パーティ〈採集無双〉のメンバーであるモナ、ソドガガ、タイチ、アンベルさん、サティナさんの、10名が新たに〈アークアルカディア〉に所属することになった。
とはいえ感覚としては〈エデン〉のメンバーというより、姉妹ギルドみたいな感じだな。
おそらく、戦闘職がいないので下部という感じがしないのだろう。対等に見やすくなった気がするんだ。
正直、やっていることは前と変わらないしな。
元〈助っ人〉組は相変わらず〈エデン店〉の運営やギルドの運営のサポートだし。
錬金組は店に並べる品や〈エデン〉で使うアイテムの作製だ。
〈採集無双〉も〈『ゲスト』の腕輪〉を用意して〈エデン〉に付いてくるので変わらない。
いや、〈採集無双〉だけは〈エデン〉の下部組織に加わったので最奥のボス周回を見せても良いかもしれないな。そうなれば最奥まで連れて行ける。今までは〈エデン〉の秘密に触れそうなダンジョン攻略の時は、〈集え・テイマーサモナー〉に同行してもらっていたり、他の階層で採集してもらったりしていたが、秘密を共有すれば採集の効率が上がるだろう。
でも大きく変わるのは本当にそれくらいだ。
さて、今度は昇格組について話そう。
〈アークアルカディア〉からは今後、昇格はしない予定だ。ギルドバトルに参加するメンバーとそうじゃないメンバーでギルドを分けたからだ。これを便宜上、戦闘ギルドと生産ギルドと呼称する。
今後は補欠とか、そういう考えもしなくてもいい。
ということでギルドバトルに参加するメンバーは全員〈エデン〉に昇格させることになった。
昇格メンバーはセレスタン、カイリ、ラウ、ルキアの4人だ。
アルルとニーコだけ〈アークアルカディア〉所属のままとなる。
これで〈エデン〉は33人、〈アークアルカディア〉が12人となった。
また、昇格しなくても問題無いと言っていたカイリも、どうせなら親ギルドに所属していたほうがいいと説得されて一緒に昇格していた。ギルドバトルに参加するかはちょっと分からないけどな。
「ということで、新メンバーや新たな昇格者、そしてサトルの〈アークアルカディア〉ギルドマスター就任を祝ってーーー、乾杯だーー!!」
「「「「「カンパーイ!!」」」」」
ギルドの改革が終わったので打ち上げです。
「いやぁ、手続きとかえらい時間が掛かったぜ~」
「ギルドを整理するというのはそれなりに時間が掛かるのよ。不当不正が限りなく少なくなるように学園も目を光らせるし、記録だって作らなければならないもの」
俺の言葉にシエラが答えをくれる。
色々終わって気が付けば4月に突入しようとしていた。
正直、ビックリしたね。
俺のダンジョン生活がーって。
しかし、新しくメンバー募集をする前にギルドを整理できて良かったと思おう。
俺は忙しかったが他のメンバーは結構周回をしていたらしく、ラウも含めて全員が五段階目ツリーを開放、レアボスを狩りまくってLV31まで上げているというのだから、当初の予定通りSランク戦の準備は出来たと言っていいだろう。
それに装備類もだいぶ揃った。
上級レシピもだいぶ集まってきて、ほとんどの戦闘職に対応できるだろう。
つまり、どんな戦闘職が仲間になろうがすぐに良い上級装備を作ってやれる。
新入生の受け入れ体制も仕上がっているぜ、ふはは!
とはいえ、相手は入学したばかりの1年生なので、最初からそんなヌルゲー処置をすればプレイヤースキルが上がらなくなるだろう。なので段階的に装備を更新してもらう予定。最初は〈木箱〉産からだな。
ふふふ、順調だ。順調すぎるぜ。
「さてシエラ、もうすぐ4月に入る。そろそろ新入生が来る頃だな?」
「そうね。というよりもう学園は新入生の受け入れを開始しているわ。新しい寮も開放しているし、すでに早い子たちは入寮しているそうよ」
「そうかぁ。ふふふ、会うのが楽しみだ」
「……良い出会いがあればいいわね」
シエラの情報に笑みが深くなるのを感じる。
新しい新入生。
まだ職業にすら就いていない可能性の塊。
それが万人を超える数で来るのだ。
へへへ、忙しくなるぜ。
そんなことを考えていたらシエラから忠告された。
「ゼフィルス、くれぐれも、くれぐれもはっちゃけ過ぎないようにね?」
「ゲフンゲフン。しないしない、したことも無い。大丈夫だシエラ。安心してくれ」
「まったく安心出来ないから言っているのよ?」
おう。シエラからの信頼が乏しい件。なぜだぜ?
とりあえずシエラの言葉には頷いておこう。
その時、シエラの〈学生手帳〉がピロリン♪と着信音を鳴らした。
「あ。準備出来たみたいね」
「ん? なにがだ?」
「……見てのお楽しみよ。4月になって入ってくるのはなにも新入生だけではないわ」
「??」
「待ってて、今返事を送るから」
シエラが〈学生手帳〉を操作する。誰かにメッセージを送ったようだ。
文脈からすると、何かを披露してくれるみたいだが。
「ゼフィルス、ちょっと来てくれるかしら」
「シエラのお誘いなら喜んで」
「……もう」
俺の当然の返しにシエラはふいっと顔を前に戻して先導していった。
ここはギルドハウス。着いた場所はギルドハウスの奥の扉だった。あれ? ここって装備の着替えなんかに使っている女子更衣室だよな? 隣の部屋がシャワールーム、今は女湯の温泉になっていて中で繋がっていたりする利用度の高い部屋だ。
ちなみに俺は入ったことはない。
俺たちがそこへ到着すると、中から扉が開いた。
あれ? 確かメンバーは全員打ち上げに参加している。
だから、ここには誰も居ないはずだ。
誰だろう?
そんな疑問が俺の頭に渦巻くが、それも部屋の中に居た人物見た瞬間霧散した。
「こんにちはゼフィルスさん。来ちゃった」
「タバサ先輩!!」
そう、そこに居たのは見間違えようも無い。
卒業してしまったタバサ先輩だった。
しかもその格好がすごい!
「どうかしら? タバサ先輩の教師衣装バージョンよ? 似合ってるかしら?」
そう、なんとタバサ先輩は教師の格好をしていたのだ。
タイトスカートのスーツがたまりません。
メガネも掛けており、一層女教師という雰囲気が出ているタバサ先輩。
メガネに指を当てながら上目遣いでこっちを見るタバサ先輩もたまりません。(2回)
「とっても似合ってます!」
「嬉しいわ。ふふ、サプライズ成功ね」
「こほん。タバサ先輩――いえ、もうタバサ先生かしら? いらっしゃい、待っていたわ」
「うふふ、シエラさんも連絡ありがとう、誘ってくれてとても嬉しいわ」
タバサ先生!
そうか、そうだった! タバサ先輩はタバサ先生になったんだった!
現在研修中のタバサ先輩は4月から正式に学園採用の教師に就任するのだ。
これからはタバサ先生と呼ぶべきか。悩ましい!
「お仕事帰りですか!?」
「ええ。今日ようやく研修が終わったの」
「こりゃあ祝わないと! タバサ先輩! いやタバサ先生! 教師就任おめでとうございます!」
「ふふ、ちょっと気が早いけど、ありがとうゼフィルスさん」
「ささ、タバサ先生もどうぞ打ち上げに参加していってください! お祝いの名目を書き足さないと!」
「ええ。是非参加させていただくわ。――シエラさん、協力してくれてありがとね」
「ええ。みんな喜ぶわ」
早速打ち上げ会場にタバサ先輩を連れて行くと、壇上の前に立って再び宣言する。
「おっしゃみんな聞いてくれー! タバサ先輩、いや、タバサ先生が来てくれたぞー!」
「「「わぁー!!」」」
「「「タバサ先生!?」」」
「今日で研修が終わったため次は本当の就任後初出勤だそうだ! タバサ先生の教師就任を祝うぞー! ジョッキを持ってくれー! 中身が無いならおかわりを入れるんだ!」
お祝いだー!
タバサ先生教師就任前祝いだ!
みんながタバサ先生を見てキャーキャー言いながらジョッキにジュースを注いでいく。
その間に壇上にタバサ先生をご案内して準備完了だ。
ジュースをつぎ終わったメンバーズがジョッキを持ったのを確認して俺は高らかに乾杯の音頭を取る。
「タバサ先生の教師就任にカンパーイ!!」
「「「「カンパーイ!!」」」」
「乾杯。みんなありがとう。なんだか不思議な気分だわ」
打ち上げはまだまだどんどん楽しくなる。
タバサ先生は卒業してしまったギルドを少し懐かしそうに目を細め、ニコッと微笑んでジュースを飲む。
なに、タバサ先輩がタバサ先生になろうとギルドメンバーはほとんど変わってない。
いつでも来て良いからなタバサ先生!
そんな意味を込め、俺は打ち上げを盛り上げた。
後書き。
ゼフィルス「一発芸やりまーす!」
〈ファルコンなりきりマスク〉――装☆着!!
ゼフィルス「トリサンニナリターイ!」




