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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十三章 2年生応援と3年生卒業式!

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#1089 間違えちゃってどうしよう。アーロン先輩撃破?




「『誘いの魅力』! 『誘いの睡魔』! 『夢楽園』! ふ~、良い仕事したわ!」


「お疲れ様です姉さま」


 それは、もう慣れてきたエリサが雑魚モンスターを一掃しているときに起きた。


 とある山の側でモンスターを即死させて一汗かいたエリサにフィナがタオルを渡して労っている微笑ましいシーンの時のこと、山から人型が騎乗した四足動物が盛大に降り、エリサの前に着地して見せたのだ。


 そして、その姿に俺はとても見覚えがあった。


「よう――」


 その人はとある学園公式ギルドの隊長。

 ここ〈山ダン〉の5層で待ち合わせをしていた人物。

 相変わらず〈ウルフ〉系のジェイウォンに跨がり、只者では無いという雰囲気を放ちながらも、こういう突然の登場の仕方が大好きな人物――アーロン先輩だった。


 そのアーロン先輩が俺に向け手を挙げ、挨拶しようとしたとき、悲劇は起きた。


「連続エンカウントね! ――『ナイトメア・大睡吸』!」


「あ」


「ちょ――ふにゃ……ZZZ」


 ちょっと……タイミングが悪かったのかもしれない。

 あと飛び降りてきた位置がエリサの前だったのもいけなかったのかもしれない。

 それとジェイウォンに騎乗していたのも原因だったかも。


 つまりエリサがモンスターと誤認してしまったのだ。

 そして速攻でユニークスキルを使われて眠りへ誘われるアーロン先輩。

 確かアーロン先輩って高い『状態異常耐性』を持っていた気がするが、貫通したようだ。


「『MP大睡吸』!」


 びくんびくんっ。


「これでトドメよ『夢楽――「ちょっとお待ちを姉さま」――うぴゃあ!?」


 おお、危なかった。

 あと一歩でアーロン先輩とジェイウォンが楽園に連れて行かれる、というところでフィナがエリサの首を人差し指で突いたのだ。

 ビクッとして跳び上がるエリサ。おかげで『夢楽園』は発動しなかった。


「よく見てください姉さま。人が乗っています。これは敵性モンスターではありません」


「なんですって! ほんと! 人じゃない! なんだかモンスターと区別がつかなかったのよ」


「区別がつかなかったのか」


 そりゃしょうがない(?)のかもしれないな。

 とりあえず起こそうか。砂時計が無いので少しの衝撃で起きるはずだ。


「アーロン先輩アーロン先輩、朝ですよ。起きてください」


「……もう夕日が沈みそうですが」


「フィナちゃん、シッ!」


「うぉおお? ゼフィルスか?」


「おはようアーロン先輩」


「ああおはよう(?)。今のは、〈睡眠〉か?」


「ウォン!」


「おう。うちのエリサの魔法だ」


「いきなり飛び出してくるんだもの。モンスターかと思ったの。ごめんなさい」


「いや……そりゃあ、こっちも悪かったなぁ」


「エリサはずっと雑魚モンスターの清掃をしてたから身体が勝手に動いたっぽい」


 ついでに〈即死〉させかけたのは内緒にしておこう。


「アーロン氏、久しいな」


「おうインサー。久しぶりだな。それに他の面々もだ」


「アーロン先輩は顔が広いな」


 インサー先輩が挨拶すると、次々と挨拶に集まる合同攻略メンバーたち。

 アーロン先輩は元Aランクギルド〈サンハンター〉のギルドマスターだったが、学園と協力体制を取り、学園公式の〈上級転職チケット〉確保専門の公式ギルド〈ハンター委員会〉として今は活動している。


 おかげで元BランクギルドからSランクギルドまでの面々とは顔見知りが多い様子だ。


 一通り挨拶が終わると俺の方にやってくるアーロン先輩。


「ゼフィルス。改めて今回の誘い、感謝するぜ。そろそろ俺たちもダンジョン攻略を成し遂げたっていう実績が欲しかったんだ」


「おう。サポートは任せてくれ。しっかりレベル上げ&ダンジョン攻略をサポートするぜ」


「頼もしいな!」


 そう言ってグッと握手を交す。

〈ハンター委員会〉の役割は〈上級転職チケット〉集めだ。

 そのためにエリアボスを狩りまくっている、のだが。

 最近は学生もメキメキと実力を付けていて〈嵐ダン〉や、ここ〈山ダン〉にも入ってくる学生もいる。


〈ハンター委員会〉は上級ダンジョン入門口である〈霧ダン〉ではエリアボスを学生に譲り、〈嵐ダン〉や〈山ダン〉で狩りをしてチケットを集めているのだが。

 そろそろその狩り場が脅かされそうな状況らしい。

 とはいえレベル上げはかなり進んでいるので後は先に進むだけなのだが、とある階層から先へ進むのが難しくなっているのが現状だった。


 その理由というのが。


「31層からは崖が全方位になるなんてよ。おかげで階層門が見つかりやしない」


 そう、〈山ダン〉浅層では四方の内一方向しか無かった崖が、奥に進むほど広範囲に広がり、30層の折り返しを超えると全方向に現れるようになるのだ。

 アーロン先輩たちはこれが原因で階層門探しに苦労しているらしい。崖が山脈みたいに繋がっているわけではなく、途切れ途切れになっているのも探索に苦労している大きな原因だ。


 つまり、階層門がありそうな崖山が何個も、何十個もある状態。

 そして苦労して崖を登っても、ハズレならまた下って探し直さなければならないのだ。普通に探すのであればとんでもなく苦労する。


 まあ、だからこそ俺は飛べる人材が2人もパーティに入った時点で〈山ダン〉を選んだんだけどな。

 あれは上から見渡して見つけるのが手っ取り早いんだ。


 ちなみにゲーム時代はカルアの『ピーピング』やユミキ先輩の〈メビウスの輪〉みたいに、視線を飛ばして探すのがスマートな正解と言われていた。


「階層門を見つけるのは任せてくれ。こっちも良い人材を揃えてきたからな」


「頼りにしてるぜ」


 一瞬チラッとフィナを見るアーロン先輩。

 フィナが飛べるという話は有名だからな。アーロン先輩も飛べれば手っ取り早いということに気が付いていた様子だ。


「んじゃ付いてきてくれ。階層門の近くで仲間が待っている」


「公式ギルドの隊長が自ら案内役なんて、それだけ私たちを重要と思っているのでしょうか?」


「いや、あれはアーロン先輩の素だな。ギルドメンバーからは悪癖とまで言われている素の性格だ」


「そうなのですか?」


 フィナがキョトンとした顔で聞いてくるので頷いておいた。

 案の定、アーロン先輩に付いていき階層門にたどり着くと。


「兄、言い訳を聞く」


「待て待て可愛い妹よ。これは重要かつ重大なことなんだ。隊長が自ら出迎える必要があった。手紙も残しておいたはずだ」


 妹のミューに銃口を至近距離で向けられて、いや物理的にツンツン突かれているアーロン先輩が堂々と答えていた。


 ああ、やっぱり事後承諾で行動した様子だ。アーロン先輩も相変わらずだな。

 ちなみにミューは〈戦闘課1年1組〉。俺のクラスメイトだ。一昨日も話した仲である。


「まあまあ、ミュー。兄の折檻は後にして、まずは交流しようぜ。時間も時間だしな」


「うん。了承」


「おいゼフィルス!? それだと俺は後で折檻される運命が確定するんだが!?」


 アーロン先輩が待ったを掛けるが、もう夕方なので時間も無いし、スルーした。

 まずは〈ハンター委員会〉と交流する。


「ダンカン先輩も久しぶり」


「ゼフィルスもな。また一緒に組めて嬉しいぜ」


 サブマスターのダンカン先輩とも握手。〈ハンター委員会〉になっても立派にタンクを続けている様子だ。

 前に見たときより装備が一新されている。大盾と鎧、アクセサリーに至るまで全部上級装備だ。さすがはタンク。装備はまずタンクから仕上げる定石を徹底している。


 今回〈ハンター委員会〉から出してもらった人材は6人。

 うち1人がサポート班に回り、5人が戦闘班となる。


 ちなみにミューは無事に上級職となって1陣戦闘メンバーに加わっていたりする。


「ミューも戦闘班になれたんだな。おめでとう」


「うん。おかげさま。今は【ハンターカウガール】。よろしく」


「ほう! 頼もしいな! こちらこそよろしくなミュー」


 ミューは【ハンター】系の上級職【ハンターカウガール】に就いたらしい。

「女」カテゴリーしか就くことの出来ない高の中でSUPは33になる。

 銃をメインに使い、捕獲やデバフ系、さらに騎乗も使える上にロープを使っての崖登りや斥候も可能という、かなり強力な職業(ジョブ)だ。良い選択である。


 ギルドバトルでは要塞に密かに侵入して伯爵を攫う筆頭職業(ジョブ)の1つでもあった。

 俺もゲーム〈ダン活〉時代はよく使ってたぜ。


 一通り挨拶が終わると、今日は解散。

 5層の守護型フィールドボス〈フユキウサギ〉はすでに〈ハンター委員会〉によって狩られていたのでショートカット転移陣に乗って帰還した。


 そしてギルドハウスへ帰ると、仁王立ちしたラナが待ち受けていたのだった。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] 気をつけよう、出会い頭のうっかり即死
[一言] >「これでトドメよ『夢楽――「ちょっとお待ちを姉さま」――うぴゃあ!?」 これ、決まってたらアーロン先輩は ゴルディオンハンマー食らったみたいになっていたのだろうかw
[一言] シエラじゃないのか。 じゃあ、ラナの次だなw
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