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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十三章 2年生応援と3年生卒業式!

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#1078 モンスター進化! ゼニス〈聖竜の若竜〉へ!




 ―――〈ファーム〉。

 別名〈モンスター牧場〉とも言われている。


 大きくなりすぎてしまったモンスターを預ける施設だ。

 そしてダンジョンに行くときはアイテムなどでここにいるモンスターを連れていくシステムだな。


〈エクストラダンジョン門・特伝〉、通称〈エクダン〉に入った俺たちは、そのまま〈試練の門塔(もんとう)ダンジョン〉通称〈道場〉と呼ばれる門へと向かう。


「ここは相変わらず活気がありますね」


 エステルが言っているのは市場のことだ。

〈エクダン〉とはエクストラダンジョンから採れる資源を売買する市場でもある。

 今の時間帯は朝一で収穫された作物、魚、肉が市に掛けられるんだ。


「ん。なんか、大きな魚があるね」


「あれは魚か? モンスターではないか?」


「わ、何あれ~!?」


「まるごとじゃん~!」


「どうやって連れてきたんだろう!?」


 カルアの言葉に視線を追っかけてみると、なんかすごいのがあった。

 まるでリュウグウノツカイのような長~い魚、多分10メートルは軽く超えているそれが鎮座していた。デカッ! そして珍しい。

 ダンジョンの中ではモンスターも動物も、倒したらドロップになる。

 あんな体まるごと地上にあることは珍しいのだ。


 だが、そこで我がギルドの賢者(メルト)が説明する。


「あれは魚だな。モンスターなら例え地上でも倒せばドロップになるが、家畜化した動物は倒してもドロップにはならない。だからあれは養殖された魚なのだろう……。確か、〈食ダン〉の1層にはそうした養殖場があると聞く……」


 でも賢者も少し自信は無さそうだった。あの巨体だしな!

 この世界ではほとんど全てがダンジョンドロップで賄われてはいるが、家畜は当然いる。

 家畜は元々ダンジョンの動物で、専門の職業(ジョブ)でテイムすると家畜化できるんだ。ダンジョンで戦わせることは出来ないものの、ゲームでも色々と使い道はあった。料理素材を生み出してくる牛や山羊、〈馬車〉を作る時の素材みたいに扱われる馬とか。


 でも魚もあるのか。

 ゲーム〈ダン活〉時代は釣った魚は家畜化できなかった。これは釣った魚は漏れなくすぐに絞めて素材になってしまうシステムだったからだが、リアルでは魚も家畜化の対象らしい。またリアル〈ダン活〉知識が増えてしまったぜ。へへへ。


 そんな光景を横目に〈道場〉へ入ダンすると、早速アイギスが〈モンスターカモン〉でゼニスを呼ぶ。


「クワァ!」


「ほらゼニス、今日からここに住むのですよ」


「クワァ!!」


 キョロキョロと辺りを見渡し、そして首を捻るゼニスが微笑ましい。

 予想と違ったんだろう。


〈道場〉は中央に塔があり、その中に受付が設置されている。

 だが、塔の裏手には広大なモンスター牧場、〈ファーム〉が存在するのだ。


 俺たちは少し時間を掛けて広大な塔の外周を回って裏手に向かう。

 すると見えてきたのは、柵に覆われた、まんま牧場だった。


「ここが〈ファーム〉ですか。こんな小さな柵でモンスターは逃げないのでしょうか?」


「ルル、ここ潜れちゃうのですよ?」


 柵が木製なのでシェリアとルルまで困惑中。

 だけど大丈夫なんだなぁ。


「この柵はダンジョンオブジェクトなんだ。だから破壊されないやつだな。まあ、壊れない柵ってだけだから乗り越えられてしまうんだが、それを収めているのが【牧場主】や【モンスターブリーダー】という職業(ジョブ)だ」


 俺は歩きながら説明を加えていく。


「【牧場主】や【モンスターブリーダー】は、預けてあるモンスターが暴れないように沈静作用を持つスキルを使う事が出来る。牧場限定ではあるが。そのおかげでここにいるモンスターたちは逃げることもなく、おとなしく牧場で暮らしている、というわけだな。ちなみに牧場限定スキルなので牧場から出る、つまり呼び出された時には沈静作用のあるスキルは解除されるわけだ」


 呼び出されたモンスターがいきなり戦えるのはそういうことである。

 今まで抑えられていた分、闘争意欲が高まっているという感じになるらしい。


 そうして牧場の入口のところまで来ると、こちらに気が付いた人物が手を振ってきた。


「あ、ゼフィルス君です! やほー!」


「お? アニィじゃないか! よう!」


 そこにいたのは〈集え・テイマーサモナー〉の【モンスターブリーダー】、1年生のアニィだった。

 なんだか子犬のように走ってやってくる。


「わぁ! なんだか今日は大所帯ですね! 何かあったのですか!」


「ああ。紹介? というほどでもないが、うちの〈エデン〉メンバーだ。――それでこちらが〈集え・テイマーサモナー〉のアニィ。1年生だ。【モンスターブリーダー】に就いて最近〈ファーム〉の手伝いをしているらしい」


「こんにちは! 〈集え・テイマーサモナー〉のアニィです!」


「あなたは〈上級転職チケット〉を交渉したときの……。こんにちは、実は今日はこの子を牧場に預けようと思いまして」


「クワァ!」


「わ、わ! この子はっ、あのAランク戦で話題になった〈竜〉ですよね!? この前は会えなかったから凄く嬉しいです!」


 アニィがゼニスを見て喜びとビックリを合わせたようなリアクションで目を輝かせた。

 可愛いだろ?


「すっごく可愛いですね!?」


「「「「「でしょ?」」」」」


 おう。〈エデン〉の心が今一つになった。

 今、ここで?


「クワァ!」


「あ、そうですね。アニィさん、これからゼニスをここに預ける手続きをしたいのですが、どこで済ませれば良いでしょうか?」


「それなら僕に任せてください! 僕、ここで仕事を手伝う依頼(クエスト)を受けていますから!」


「そうなのですか?」


 アイギスがそう驚くのも無理はない。


「少し前までこの〈ファーム〉は完全な【モンスターブリーダー】不足でな。〈集え・テイマーサモナー〉のモンスターを抑えることが出来なかったために、今はアニィがそれを支えているんだ。おかげでモンスターの脱走騒ぎも最近はまったく起きていないんだぜ?」


「それもですけど、今は〈ファーム〉のお手伝い依頼(クエスト)も発行されて結構いろんな仕事を手伝わせてもらっているんですよ。これがかなり勉強になるんです」


「それは、とても立派ですね」


「えへへ」


 ここで活躍すればするほど経験値になるので、アニィは〈ファーム〉の依頼(クエスト)を受けることにしたらしい。

 同時にここには〈集え・テイマーサモナー〉のモンスターも数多く預けられているので、〈ピュイチ〉を始め、様々な進化の管理なんかもしているそうだ。


「じゃあ、手続きしてしまいますけど、もしかして進化後を登録する感じですか?」


「ご明察だ。ゼニスは竜だからな。まだ幼竜だから体は小さかったが、進化したらさすがにギルドハウスに置けなくなるだろうと思って連れてきたんだ」


「わかりました! では責任持ってゼニスちゃんをお預かりしますよ! でもその前に進化させちゃってください」


「ああ」


「ついにですね」


「ク、クワァ?」


 アニィに促され。とうとうゼニスを進化させるときが来たようだ。

 なぜかみんな、祈るように「どうか可愛い子でありますように」と言っているのはどうしてだろう?

 分かるけど!


 ちなみにゼニス本人は困惑している。

 まるで「本当にやるの? やめよう? ね?」と言わんばかりだ。

 しかし、そんなゼニスのつぶらな瞳にやられたメンバーが最後だからと取り囲んだ。

 ゼニスを取り囲んでなでなでして最後の幼竜ゼニス成分を吸収したメンバーたち。最後の思い出ができたようでなにより。


「ク、クワァ……」


「ゼニス、進化の時だ。気合い入れてかっこいいポーズを決めるんだ」


「クワァ? ―――クワァ」


 俺はそうアドバイスしておいた。

 ゼニスもようやく逃れられないと悟ったのか、「もうヤケだ」みたいな表情でポーズを取る。


 それを確認してみんなが一撫でしてから離れると、アイギスがゼニスと向かい合い、宣言した。


「では、行きます――進化選択、ゼニスを〈聖竜の若竜〉へ!」


「クワァ!」


 テイムモンスターの進化にアイテムはいらない。〈竜の像〉もいらない。

 どうやらテイマーはテイムモンスターのステータスも見られるらしく、そこには進化ルートも記載されているからだ。

 そして進化させるのもテイマーの仕事。

 条件を満たしたモンスターはテイマーの意思で進化させることが可能になる。


「―――!」


「わ」


 瞬間、膨大な光がゼニスの体から発せられた。

 光がだんだんゼニスの体を包んでいき、光の巨大卵のような姿で膨らんでいくと、とうとう光がほどけて消えていく。


 するとそこには、頭から尻尾の先までで7メートル近い大きさの、〈聖竜の若竜〉の姿があった。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] 思った以上にデカい! そうだよな、成長じゃなく進化だもんな。
[一言] ゼニス可愛いし幼竜のままペットとして可愛がりたいと思ってしまうけど 聖竜なんだよな… もったいなくて進化させないわけには行かないよね
感想一覧
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