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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十三章 2年生応援と3年生卒業式!

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#1076 〈採集無双〉との取り決めと〈孵卵器〉完成。




 パーティ〈採集無双〉を全員上級職にした。

 なんだかカリン先輩もエイリン先輩もアニィもすごく驚いていたな。

〈集え・テイマーサモナー〉としては、「〈ベヒモス〉と〈ワイバーン〉への進化ルートを報告しに来たら、えらいことに遭遇しちゃった!」的な感じだったのかもしれない。


「それで〈採集無双〉を引率してくれる戦闘職のギルドなんだが、〈エデン〉だけでは難しい場合もあるだろうから、〈集え・テイマーサモナー〉にも同行しても良いことにする」


「ありがとうございますゼフィルスさん!」


 再びラウンジで話し合い。

 先ほどの〈集え・テイマーサモナー〉が〈採集無双〉の力を借りたいという話だ。

 それは〈エデン〉にとっても悪いことでは無い。


全員を〈上級転職(ランクアップ)〉したことで〈採集無双〉は〈エデン〉専属のパーティになったわけだが、採集をメインにしてしまうと攻略速度が落ちる。俺たちは〈イブキ〉で爆走する場合も多いし。それにボス周回にも支障が出る恐れもある。

〈エデン〉には隠しごとがいっぱいなんだ。

 その辺を踏まえ、〈採集無双〉が〈集え・テイマーサモナー〉にも参加するのは悪くない話だった。


「ええ!? でもそれ、本当にいいの? 私たちだけすごく得していない!?」


 うむ。カリン先輩は実直な性格なようだ。それ口に出して言っちゃう辺り、根は真面目でいい人なんだろうと分かるな。


 そう〈採集無双〉は今や学園唯一の上級採集職パーティ。

 他に上級ダンジョンに潜っている上級採集職なんていないので、その素材にはもの凄い価値がある。

〈採集課〉の取り決めとして、〈戦闘職〉のパーティないしギルドに引率してもらった場合、報酬を出すのが決まり。そして大抵はその日に採集した素材から何割かを報酬とするんだ。ギブアンドテイクだな。


 この場合、〈エデン〉が〈上級転職チケット〉を使ってまでわざわざ育てた〈採集無双(金のなる木)〉の協力を得ても良いと、〈集え・テイマーサモナー〉へ許可したことに他ならない。

 今日の〈ベヒモス〉と〈ワイバーン〉への進化条件の開放の報告のこともあり、〈集え・テイマーサモナー〉が金銭面で独占するような性格のギルドでは無いことも分かった。


 だからこそ〈採集無双〉を任せるに足ると思ったんだけどな。


「〈エデン〉にも〈採集無双〉を連れて潜れない場合が多々あるだろうからな。そういう時は〈集え・テイマーサモナー〉に参加してもらいたい。〈エデン〉としか潜っちゃいけないと縛ったら〈採集無双〉が可哀想だからな」


「なるほど。いや、それでも……言い出したのは私たちだけど、もうちょっと無茶な要求とかを想像してたんだよ?」


 カリン先輩が後ろめたさいっぱいという感じでそう言ってきたが、もう少し(したた)かでもいいと思うぞ?

 それにこれは〈集え・テイマーサモナー〉の援助でもある。


〈エデン〉は先日、〈ギルバドヨッシャー〉とのギルドバトルに練習とはいえ、三連勝したことで学園トップクラスの実力があることが知れ渡ってしまった。

 これ以上他の学生との差が広がる行為はあまりしたくないのだ。ライバルがいなくなってしまう。


〈ベヒモス〉や〈ワイバーン〉などで強化したギルドとなれば一線級の活躍が出来る。

〈集え・テイマーサモナー〉がこのまま育てば〈エデン〉の良いライバルになり得るだろう。

 あのほんの少しのヒントでもう〈ベヒモス〉と〈ワイバーン〉への進化条件を発見しているんだ。

 将来性も高いギルドである。


 投資してどんどん強くなってもらおう。ふはははは!


 それに〈エデン〉が忙しい時は〈採集無双〉の育成を手伝ってもらえるのだからこちらに全く利益がないという訳でも無い。


 結局最後はカリン先輩も頷き、〈エデン〉が忙しい時など、〈採集無双〉は〈集え・テイマーサモナー〉と上級ダンジョンへ潜ることになった。


 それで希少な素材とか手に入れたらまた〈上級転職チケット〉と交換してもいいな。

 そう仄めかしておくと。


「え、〈エデン〉って〈上級転職チケット〉持ちすぎ!」


 カリン先輩がそう唸っていた。

 うむうむ。〈上級転職チケット〉が欲しい場合は〈エデン〉をご贔屓にってね。

 これも作戦の一つだ。


 なにしろ〈エデン〉の〈上級転職チケット〉はこれからどんどん増える。

〈エデン〉メンバー分の〈上級転職チケット〉はすでに確保出来ているからだ。

 じゃあ、今後ゲットする〈上級転職チケット〉はどうするの? という問題が出てきてしまっているのだ。


〈上級転職チケット〉は売買が法律で禁止されている。

 売ることができないなら増える一方で、贅沢だが持て余してしまうのだ。

 難儀である。


 しかし、売買は禁止されていてもプレゼントや交換は禁止されてはいない。

 そして、普通はそんなに数があるわけもない〈上級転職チケット〉が〈エデン〉はとても余りそうな雰囲気。


 そこで〈集え・テイマーサモナー〉と交換したように〈上級転職チケット〉をどんどん放出したいというのが現在の俺の考えなのだ。

〈エデン〉ではまだまだ〈上級転職チケット〉を手放しまくるのに抵抗があるだろうが、そこは今後説得して慣れていってもらうつもりだ。


 というわけで、〈集え・テイマーサモナー〉も〈上級転職チケット〉が欲しくなったらいつでも来て良いからね? むしろ他のギルドに自慢してもいいからな?

〈エデン〉では〈上級転職チケット〉が余っています!


 話が一段落すると解散することになった。

〈採集無双〉にはオススメ〈育成論〉でしっかりSP振りしてもらったのち、〈エデン〉と早速上級ダンジョンに潜ってもらうことで話が付く。


 だが、〈エデン〉のギルドハウスにソフィ先輩まで付いてきた。


「ゼフィルスさん。私から実はもう一つ、以前頼まれた物の納品に伺いたいのです」


 そう言われたのだ。

 以前注文した物と言えば、〈戦車鳥ピュイチ〉の卵を孵化させる〈孵卵器〉のことに違いない。

 注文したのは1週間前だが、今の〈青空と女神〉の慌ただしさを見ればかなり早めに作り上げてくれたんだと思う。


〈エデン〉のギルドハウスに到着すると、メルトやミサトがいたのでちょうど良い。

 メルトたちはモナとソドガガが上級職になった時、真っ先にパーティを組んで上級ダンジョンに潜ってもらった実績があった。確か、あの時に〈翼亜竜の鱗〉をゲットしたんだっけな。


「メルト、ちょっと頼まれてくれないか?」


「ゼフィルスか。どうした?」


「実は前から話していた〈採集無双〉の残り3人も上級職にしてな。また上級ダンジョンに採集しに行ってほしいんだ」


「いや、上級職にって。ゼフィルスは相変わらずさらっと言うな」


「たははは。さすがはゼフィルス君だよね――みんなハロハロ~」


「はは。こんにちはメルトさん、ミサトさん。ご無沙汰しています」


 詳しいことを詰める前にミサトが自ら〈採集無双〉のパーティのところへ行っていた。モナも知った仲なので気軽に挨拶している。


「まあ、話は分かった。俺もダンジョンに行きたいところだったし、引き受けよう」


「助かるぜメルト。そうだ、フラーミナはどこにいるか知っているか?」


「呼んだ?」


「おお?」


 メルトにフラーミナの場所を聞くと後ろから声が聞こえた。振り返るとそこにいたのはまさに探し人のフラーミナ。


「こっちは任せろゼフィルス。早速行ってくる。――モナたちは俺たちと一緒だ」


「はい! ゼフィルスさん! 今日は色々とありがとうございました」


「おう、モナたちもしっかりなー」


 メルトたちとモナを始めとした〈採集無双〉の面々に手を振って送り出す。


「――さて、フラーミナ、先週渡した卵のことなんだが」


「あ! 〈青空と女神〉の先輩が居るってことはもしかして?」


「おう。〈孵卵器〉が出来たみたいだ」


「わぁ!」


 実は先週〈集え・テイマーサモナー〉と交換した〈ピュイチ〉の卵はすでにフラーミナに渡していた。もちろん『テイム』も掛けてもらっている。

 予定通り、フラーミナに〈ピュイチ〉を使ってもらう予定だ。


「すぐ持ってくるね」


「おう。――じゃあソフィ先輩。この辺にでも設置してください」


「えっと。ここでいいのですか?」


「ええ。ギルドのみんなが見られる場所がいいので」


「わかりました」


 フラーミナがギルドの奥の部屋に消えると、俺は〈孵卵器〉を大ホールの隅においてもらう。

 ソフィ先輩が〈空間収納鞄(アイテムバッグ)〉からポンと出して置けば簡単に設置は終わる。

 最後に書類にサインして、これで納品は完了だ。


 するとすぐにフラーミナが戻ってきた。腕の中には金色の巨大卵を抱えている。


「おんまたせー!」


「おう、良いタイミングだぜフラーミナ。じゃあ早速入れてみてくれ」


「はいはーい! わぁ! ようやく生まれてこられるんだね! もう私、この1週間待ち遠しくって!」


「そうだな。今後に備えてもう何台か〈孵卵器〉は作ってもらったほうが良いかもしれないな」


「そうですね。それに先ほどの話もありますし、もしかしたらテイマーサモナーブームが来ないとも限りません。〈孵卵器〉の在庫は持っておくべきかもしれませんね」


〈孵卵器〉は消耗品なのだ。

 俺の言葉にソフィ先輩もコクリと頷く。


「じゃあ入れるね。それで蓋を閉じて、起動っと」


 一度ゼニスの時に〈孵卵器〉を使っているところを見たからか、フラーミナの行動がスムーズだ。そしてよほど自分の卵を孵すのが楽しみだったようだ。

 気が付いた時には〈孵卵器〉の中に卵が入ってスイッチが押されていた。


「早く孵ってね、卵ちゃん~」


「ありゃりゃ。あれはしばらく動かないかもな」


「ふふ。喜んでもらえて嬉しいです」


 フラーミナが〈孵卵器〉の前にしゃがんで動かなくなる。その光景を微笑ましく見守る俺たち。

 本当に、生まれてくるのがとても楽しみだな。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
ソロプレイなゲーム時代の感覚が抜けないのかギルドメンバーへの相談を後回しにして独断専行で進ませすぎるような印象を受けました。 札束ではたいて無双するというか、ちょっと調子に乗りすぎて傲慢さに思えるよう…
[気になる点] キングアブソリュートがオークションで上級転職チケットを購入していたような気がしますが、あれは売買に入らないのかな?
[良い点] まぁ将来エデンかアークアルカディアに加入させたいメンバーの中に、フラーミナ以外にゼフィルスが「このモンスター(+関連上級職)は欲しい」と考える可能性も有りますからね。 それを踏まえて考える…
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