表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十二章 秘湯巡りと〈ギルバドヨッシャー〉練習試合!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1218/2117

#1070 二試合目と三試合目も〈エデン〉の全部勝利!




「「「「「うおおおおおおお負けたーーーーー!!」」」」」


 ブザーが鳴り響いて試合結果が巨大スクリーンに表示されると、〈ギルバドヨッシャー〉から絶叫が上がった。もしかしたら雄叫びかもしれないが。


「勝った!」


 俺はその前でバーンと両手を挙げて勝利のポーズを取った。


「くそ~。ゼフィルス氏に完全に上回られたぞ」


「良い混沌だ」


 悔しがるオサムス先輩となぜか恍惚の表情を浮かべているオスカー君。


 最後の10分。〈エデン〉は〈ギルバドヨッシャー〉の主力をどう封じ込められるかに掛かっていた。

〈ギルバドヨッシャー〉の勝ち筋は二つ、巨城をひっくり返してポイントで逆転するか、白本拠地を落とすかだったが、主力を抑えることでこの二つを両方とも封じ込めることに成功したかたちだ。


 他の〈ギルバドヨッシャー〉の部隊は巨城をひっくり返したり、他の〈エデン〉メンバーを牽制したりと手一杯で、〈エデン〉の行動を阻害することもままならなかった。

 おかげで〈エデン〉は楽々、悠々と巨城のひっくり(かえ)(がえ)しができてポイントで優勢を取られなかったというわけだな。

 取られたら、取り返せばいいじゃない、だ。


 本当はこの〈ギルバドヨッシャー〉の主力も倒したかったのだが、凄まじい連携で粘られ、狙った6人しか退場させられなかった。さすがはギルドバトル最強ギルドの名は伊達ではない。


「お疲れ様ゼフィルス」


「ゼフィルスお兄様、お疲れ様なのです!」


「見事な勝利だったな」


 シエラ、ルル、メルトを始め〈エデン〉メンバーが集まってきたのでみんなで勝利を喜んだ。


「今回は勝った。だが、練習試合はまだ2戦も残ってる。このままの勢いで全部勝つぞー!」


「「「「「おおー!」」」」」


「なんの、我らだって次こそは勝つ!」


「うう~ん。でもサブマスでは締まらないね~。インサー先輩はどこ~?」


「な、なにおう!?」


「混沌!」


 向こうのメンバーたちも負けたのに和気藹々としていた。

〈ギルバドヨッシャー〉はギルドバトルで負けるのは初めてだったはずだが、あまり気にしている人はいないようだ。


 ふと見ると、数人の学生が走ってくる様子が見えた。

 もの凄いスピードだ。


「お届け~」


「合流なのだ!」


 先頭は、退場したはずのロード兄弟だった。

〈敗者のお部屋〉に直行したはずの彼らがここにいるということは、試合が終了してあの強固な扉が開放されたのだろう。本当なら時間で赤本拠地に転移するはずだが、わざわざ合流するために走ってきたようだ。そしてロード兄弟が連れていた人物の中にはインサー先輩も混ざっていた。


「ゼフィルス氏!」


「インサー先輩!」


 そしてまるで久しぶりの再会を喜ぶかのように俺たちはグッと握手した。

 シエラがなにやってんの? と言わんばかりに見つめてくるが、これが学生のノリだ。


「見ていたぞゼフィルス氏! 素晴らしい動きだった! 全体をじっくり見たときこそ分かることがあると改めて知った! 〈ギルバドヨッシャー〉の改善点もいくつも見つけたし、新たな戦術をいくつも閃いたぞ。くっくっく、〈敗者のお部屋〉へ送られたことは悪いことでは無かった」


「〈敗者のお部屋〉へ送られて喜ぶ人なんて初めて見たぜ」


「あれはあれで落ち着いて全体を見ることができる。悪くない部屋だったぞ」


 インサー先輩はぶれないなぁ。

〈敗者のお部屋〉にはいくつものスクリーンがあり、試合の状況が分かるようになっている。

 現場(会場)からだと見ることができない巨大スクリーンに映し出された俺たちを見られるというのは大きかったようだ。

 インサー先輩は、どうやらそれを見ることでリーナのように俯瞰した視点で状況を把握し、新たなインスピレーションを得たらしかった。


 こりゃ、次の試合も油断はできないな。


 ま、〈エデン〉だってまだまだこんなもんじゃない。

 今回の試合は言うなればポイントで勝つことを主体にしたことで、対人戦よりも戦術勝負の試合だった。久しぶりに本気を出せて楽しかった。


 つまりは職業(ジョブ)やLVでの戦いを十全に見せてはいないということ。

〈ギルバドヨッシャー〉が6人しか退場していないことからも〈エデン〉がまだまだ温存していると分かるだろう。


 今回は俺の戦術と〈ギルバドヨッシャー〉の戦術を見せることでリーナの成長を促したかったが故にこの作戦で進めた。

 ふっふっふ、こっちも成長しているんだぜインサー先輩。


 さて、インサー先輩も何やら作戦を練っている様子だし、俺も次は別の戦術で行こうと思う。

 次は職業(ジョブ)の強さを前面に出した対人戦戦術でいきたいな。


 今の試合で色々と改善点が見つかっただろう。〈ギルバドヨッシャー〉が続いてどんな作戦を練ってくるのか、今から楽しみで仕方が無いぜ。


「おっと、話していたらもう次の時間か」


「ああ、なんとも短い。できればゼフィルス氏ともっと語っていたかったが」


「そりゃ俺も同じだ。じゃあ、お互い第二試合も頑張ろうな」


「おう! 次こそ勝ってやるぞゼフィルス氏! 負けたからこそ見えてくる戦術というものを見せてやろう」


「そりゃ楽しみだ!」


 だがインサー先輩は知らないだろうな。

〈エデン〉は常勝無敗。未だ負けた経験なんて無い。だが、ゲーム〈ダン活〉では俺は何十、何百と負けたことがある。

 負けた経験なんてたくさんあるのだ。


 インサー先輩が1度の敗北で気が付いたこと、まだ気が付いて数分の研磨していない原石な戦術なんて簡単にその上を行ってやろう。

 第二試合も第三試合も、〈エデン〉が勝たせてもらうぜ?


 俺はそう思いながら、足下に現れた転移陣に身を任せ、本拠地へ転移した。




〈エデン〉VS〈ギルバドヨッシャー〉の練習試合、第二試合は俺のほぼ想定通りに進んだ。

 同じ〈クロスキャッスル〉フィールドでの試合。


 やはりインサー先輩が仕掛けてくるであろう戦法に当たりを付けていたのが大きかったな。

 初動こそ第一試合の時と変わらなかったが、今回俺はギルドメンバーをさらに細かく分け、小城マス取りを優先しながらゲリラ的な戦闘を多くしてみた。


 どうだインサー先輩、こんな戦術は初めてだろう?


 いくら【エウレカカオス】であろうと複数の戦場を逐一把握し、的確な指示を送ることは難しい。

 少ない戦場でなら絶大な強さを発揮するそれも、複数の戦場が常に発生し、常に動きながらゲリラ的な動きで襲撃してくれば指示を出す方がパンクしてしまう。


 部隊を細かく分けるので各個撃破される可能性はあるが、そこは〈エデン〉の強力な個人の力でカバーだ。


【エウレカカオス】のオスカー君を真っ先に倒せれば最良だったが、オスカー君はすごい。自分が襲撃されそうになると凄まじく敏感に反応して回避運動を取るんだ。かなりAGIに振っているらしい。おかげで第二試合中も倒すことが出来なかった。


 インサー先輩の新しい戦術は本拠地を狙うタイプのものだったがこれも乱して結局は失敗に終わる。

 ふっふっふ、やらせないぜインサー先輩。その動きはすでに知っている。


 ということで防いだらインサー先輩がかなり興奮していたのはご愛敬。


 最終的に〈ギルバドヨッシャー〉は17人にまで数を減らし、〈エデン〉はまだレベルの低かったトモヨ、ロゼッタ、ルキアの3人がやられる結果になった。タンク殺しに見事に狩られたのが痛かったな。防御スキルを使うと崩される経験をあまりしたことが無かったトモヨとロゼッタがやられたのは良い経験になっただろう。


 こうして第二試合も〈エデン〉が勝った。

 対人で相手の人数を減らせれば、巨城は後から取っても問題無い。

 残り人数はほぼ倍なので後半は終始〈エデン〉のペースだったよ。


 そして最後、第三試合が始まった。

〈ギルバドヨッシャー〉は堅実な手で巨城を取ることにしたようだが、〈エデン〉はここで敢えて罠を張ることにした。

 白本拠地の近隣6マスのところにある巨城〈北西の1〉を取らなかったのだ。

 明らかな誘い。


 罠と分かっていても本拠地を落としたければ取らなくてはいけない巨城であり、それと同時にここをスルーすることで〈エデン〉は他の巨城を取ることができるため、お互いが9城ずつ取った時、最後の巨城が白本拠地側にある〈北西の1〉という状況となってしまう。


〈ギルバドヨッシャー〉側が手をこまねけば〈エデン〉が楽々と過半数を手に入れられるし、取りに来れば罠でドカンする。だが取られれば本拠地が大変危険になり負ける可能性が高くなるという、ハイリスクハイリターンな玄人向けの戦法を使ってみた。


 これに対し、〈ギルバドヨッシャー〉は冷静に〈エデン〉に(ゆず)ってきた。

 罠に飛び込むよりは巨城有利を取られた方がマシと判断したのだろう。クールだ。

 残念。もし来ていたらラナの宝剣と罠でドカンしたのに。


 まあ、これはオスカー君が相手に居たから敢えてした戦法だな。

 どうもあの【エウレカカオス】の探知能力はゲームの時より高い気がするので、敢えて罠特盛りで来たら危険な巨城をアピールすることでスルーさせたのだ。

 やっぱりオスカー君察知能力高ぇ。


 そして対人戦。今回は手堅い〈ギルバドヨッシャー〉を崩すことが難しかった。

 やはり、第二試合のあのゲリラ作戦は通じなかったし、対人戦も守るか躱すかでなかなか上手く決まらない。

 さすがは〈ギルバドヨッシャー〉だ。手堅い戦法だな。


 ということで〈エデン〉は本気を出した。

 エステルの〈イブキ〉と〈スラスト砲〉を解禁。

 ハンナ以外の五段階目ツリーに覚醒しているメンバーズを中心として、強襲作戦を決行したのだ。

 要は力業である。


 すまん〈ギルバドヨッシャー〉よ。

 今までは同じ土俵で戦っていたが、本気を出した〈エデン〉は土俵で空を飛ぶくらい強いのだ。(何それ酷い)


 これにより始まった総力戦で〈ギルバドヨッシャー〉は壊滅的被害が出ることになる。

 ロード兄弟は三試合連続で真っ先に退場させたし、【ワールドマッパー】の女子も退場。

 オサムス先輩も退場させ、最終的にインサー先輩とオスカー君を含み、6人しか生き残らなかった。


 しかし〈エデン〉の被害も甚大で、シェリア、ミサト、ノエル、タバサ先輩、エミの5人が退場。

 どうやら今回はヒーラーや回復使いをメインに倒そうとしたらしく、タバサ先輩がやられたときは本当に驚いた。

 あと仲良し3人組の一角を崩されたことによりあの強力なコンボスキルが威力半減したのも痛かったな。〈ギルバドヨッシャー〉のメンバーにも戦闘力の高い人物が地味に多くてビックリした。さてはインサー先輩、今まで温存していたな?


 退場者を出したものの、それ以上の戦果を出せた。

 さすがに〈ギルバドヨッシャー〉とガチで当たれば退場者を出さずに勝利するのは難しかったため、これでも被害は抑えたつもりだ。


 しかしオスカー君、結局三試合全部で生き残ったな。リーナの『ギルドコネクト』が妨害されるとかかなり痛かった。容易に近づけなかったのでオスカー君が一番やっかいだった。


 なんやかんやあったものの、その後は赤本拠地を落としきり、第三試合も〈エデン〉が勝利。


 こうして全ての試合で〈エデン〉が勝利したのだった。


 そういえば試合が終わる頃には観客席が満席になっていたな。いつの間に。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 混沌ジャマーは面白かったし好意的な感想もみられるけど、オスカーのジョブに頼らない個人の超能力はやり過ぎで個人的にはつまらない 超能力でもないとエデンには対抗出来ないだろうから盛り上がら…
[良い点] オスカーくんスゴいなあ。スキルに頼らない素の能力でコレか…。
[良い点] 混沌さん、三回とも生き残ったのか···感覚を更に極めたら、某異能生存体さんに手が届きそうなところまでしぶとくなれるかも(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ