#1068 オスカーの混沌が炸裂。ゼフィルス大ピンチ!
「たとえこちらの王が取られても、相手の王を取ればイーブンだ!」
〈ギルバドヨッシャー〉のギルドマスターインサー先輩の撃破に成功すると、オサムス先輩がそう叫んだ。
うむ、その理屈は正しい。
普通なら集団のトップがやられれば終わりだが、〈ダン活〉のギルドバトルは終わらないのだ。
むしろリーダー不在で勝利したら面白いまである。
「開始早々リーダー退場するも余裕で勝利」とかのタイトル動画はよくバズってた。
リーダーだけ〈敗者のお部屋〉にいてメシが美味い勢がたくさんいたからな。
しかし、俺もその面白展開に引き込まれるわけにはいかない。
じゃなかった。さすがに現実でリーダーがやられれば少なからず士気に影響する。
〈ギルバドヨッシャー〉の集団のど真ん中に俺がいる関係上、逆に〈エデン〉の士気を崩す大チャンスというわけだ。お互いのギルドマスターが退場すればまだ試合は分からないまである。
というか、インサー先輩がやられたのにまったく動揺しないのかよ! スゲぇな〈ギルバドヨッシャー〉!?
動揺した隙を突いて逃げようと思ったが、これはちょっと手強くなるな。だが。
「やられないぜ! 『ソニックソード』!」
まあ、俺は全力で逃げるのだがな!
倒したのはロード兄弟とインサー先輩。十分な戦果を上げた俺は早々に離脱を決め込むことにした。
『直感』がこれでもかと警報を鳴らしたのだ。『ソニックソード』を移動と回避のために使ってその場を離脱すると、次の瞬間には俺がいた位置に大威力の攻撃が叩き込まれていた。
あぶな!
しかしそこは〈ギルバドヨッシャー〉。簡単に逃がしてはくれない。
まるで一つの生き物のような連携ですぐに俺の進路を阻害に来た。
「混沌! 混沌! こんとーーん!」
あの混沌叫んでいるオスカー君の指示がヤバいな。
まるで未来が分かるのかというような的確な指示を出して俺を囲いに来ていた。
さすがはオスカー君。ランク6の〈岩ダン〉攻略に1年生でついて来られただけはある。できれば倒しておきたいが、気を向けると驚くほどよく反応して回避行動を取ってくる。すごいなオスカー君、勘が良すぎるぜ。
だが、俺には切り札が有るのよ。もちろん本拠地にいるリーナだ。
ふっふっふ、本拠地にはさらに〈白の玉座〉に座ったラナもいる。ここからが本番だ。
そこに『ギルドコネクト』が届いた。
「『ゼフィルスさん、ルートを指示しますわ! 逃げながらポイントに誘導いたします!』」
「はは! さすがはリーナだぜ!」
こっちには会場を上から俯瞰しているリーナがいる。
リアルタイムでの逃走ルートは上から見ていた方がそりゃ分かりやすい。
〈ギルバドヨッシャー〉は普通に煙幕焚いたり石の壁を盛り上げたりして視界を遮ってくるからな。リーナの視点は非常に助かる。
勝ったな、ふはははは!
そう思ったところに、思いもよらないとんでもないことが巻き起こった。
〈ギルバドヨッシャー〉の真の切り札が発動する。
「む! 俺の『カオスシグナル』に反応がっ! 通信していますね! 混沌ジャミング展開! 『カオスコネクトジャミング』!」
あ、そういえば【エウレカカオス】って通信系妨害できるんだった。というかあれにSP振ってんのかオスカー君!?
そしてリーナの通信が届いた。
「『混沌は右へ混沌してください混沌。続いて混沌を左へ混沌バーストを使って混沌しつつ、混沌と混沌の間を抜け混沌してください混沌! 混沌ですわ!』」
「リーナの通信むっちゃ妨害されてる!?!?」
混沌バースト!? 混沌と混沌の間ってなんだ!? 混沌ですわ!?
リアルだと通信妨害ってこんな感じになんの!?
なに言ってんのか分かんねぇ!!!!
リーナの指示が妨害されたことで俺はむっちゃビックリして隙が出来てしまう。
「そこだゼフィルス氏! 『メガ・エクスプロージョン』!」
「やっべ!?」
「『(ゼフィルスさん!?)混沌さん!?』」
そこへオサムス先輩の四段階目ツリー、大規模な爆発を起こす『メガ・エクスプロージョン』が炸裂した。




