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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十二章 秘湯巡りと〈ギルバドヨッシャー〉練習試合!

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#1064 仕切り直して試合再開。相手の出方を探る。




 ポイント〈『白38,020P』対『赤17,800P』〉〈ポイント差:20,220P〉。

 〈巨城保有:白18城・赤0城・残り1城〉

 〈残り時間24分11秒〉〈残り人数:白36人・赤36人〉


〈ギルバドヨッシャー〉の本拠地陥落。

 その結果が表示されたスクリーンを見てインサーとオサムスが唸る。


「むう。見事にしてやられたな」


「残り時間が半分を切っている。巨城を取って勝つ場合、最低でも11城は落とさなくてはいけない点差だ」


「本拠地進行と同時に南西の端、〈17〉の巨城まで落としてくるか」


「ああ。まさか誰もが本拠地に集中しているときに〈17〉まで追加で落としていくとか、とんでもない手だ」


「ここまで追い詰められたのはいつ以来だったか……あまり記憶にないな」


「そりゃ初めてだしな」


 ここは〈ギルバドヨッシャー〉の本拠地。

 インサーとオサムスが横に並び、〈エデン〉の戦法に――なぜか嬉しそうにして言葉を交わしていた。

 本拠地が陥落すると、お互いの選手はそれぞれの本拠地に転移陣で飛ばされ、2分後に仕切り直すルールだ。


 本拠地を落とされたこと自体、記憶にない〈ギルバドヨッシャー〉のメンバーたちは、悲観するよりもむしろこの状況を面白がっていた。


「やっべぇ。まじやっべぇよ〈エデン〉」


「こっちは誰も退場してないのに本拠地だけ掻っ攫っていったわ」


「というかエリア隔離とかマジクール! 考えはしてもそれを実行できる練度がクール過ぎるだろ!」


「いやぁ、それにまさか【ジャイアントハンドキーパー】を突破されるとは思わなかったな」


「というかあの戦法よ。なによあれ、【キーパー】の彼が連れ去られてたわよ。あんな戦法有り?? なんか笑っちゃったじゃない!」


「あはははは! 檻ごと牽引されて目の前通り過ぎていったからな。いや、もうな、今思い出しても笑いがこみ上げてヤバい。あはははは!」


「まさかあんな方法で対応されるとは思わなかったぜ。〈エデン〉最高だな! あははははは!!」


「混沌が見れなかった。見られなかった! でも残り()が良い(かお)りしてる! 混沌!」


 久しぶりのギルドバトルということもあってみんなテンションが高い。

 あと、【キーパー】の彼が檻ごと攫われていったニュースにみんなで大爆笑していた。

 ちなみに【キーパー】の彼も一緒に混ざって爆笑している。

 とても痛烈で新鮮、見たことも聞いたこともない戦法に〈ギルバドヨッシャー〉のテンションと士気はとどまる所を知らない。


「しかし、あの戦法は驚いたな」


「ああ、是非取り入れよう。捕獲に関する職業(ジョブ)持ちを募集しよう」


「うむ。ならば【レンジャー】や【狩人】系だな。上級職の【ハンターカウガール】が最適か?」


「結界で閉じ込めて移動できる職業(ジョブ)も欲しいが、そんな職業(ジョブ)に心当たりが無い」


「ゼフィルス氏はどこからあんな職業(ジョブ)持ちを見つけてくるのやら。さらに今まで注目されていなかった職業(ジョブ)を活用してきたりと、話題に事欠かない」


「ああ。俺たちも俺たちなりに研鑽を積んできたが、結果はこれだからな。移動速度の面でも巨城落としの面でもそう劣っていないのに、この大差だ」


「五段階目ツリー。我らにも新たな目標が出来たな」


「ああ。やはり〈エデン〉とのギルドバトルはして良かった。インスピレーションがとどまる所を知らない」


「混沌!」


 インサーとオサムスのテンションも爆上がり中だった。

 仕切り直し後に何をするかなどまったくそっちのけで別のことを話し合っている。


 しかしそれも終わる。

 仕切り直しが終わるまで残り10秒を切ったからだ。


「混沌!」


「おお、もう時間か。全員注目! 今度の作戦はガンマの5で行くぞ!」


「「「「「おおー!!」」」」」


 インサーが全員に通達したのはたったそれだけだった。

〈ギルバドヨッシャー〉はギルドバトルオタクたちが集まるギルド。


 作戦なんて、初めから練り終わっている。

 あとはどれを採用するかの話だけだ。


「対人戦になるぞ! 今度は我らの技能を〈エデン〉に示すぞ!」


「「「「「おおー!」」」」」


 仕切り直しが終わり、試合再開。




〈ギルバドヨッシャー〉がしたのはまだどちらのギルドにも取られていない〈北東の0〉を取りに行くこと――ではない。

 まずは〈エデン〉が来る前に防御面を充実させる。


「〈16〉と〈19〉を確保したのち、〈15〉を手に入れ巨城をひっくり返していくぞ!」


〈エデン〉流に言えば〈南東の1〉〈南東の2〉を手に入れたのち〈南東の3〉をひっくり返して防御を充実すると言っている。


 南東エリアの巨城を相手に取られたままでは喉元にナイフを突きつけられているに等しい。すぐに本拠地までの道を作られてしまうからだ。ここはひっくり返すべき場所だ。同時に本拠地の周りの白マスも赤マスにひっくり返していく。


 一方で〈エデン〉は何をしているのか、


「チルミ君」


「『マッピング更新』! 『足跡追跡』! あいよギルマス地図どうぞ!」


「オスカー君」


「まだ混沌は感じない」


「よし――〈エデン〉は予想通り〈3〉と小城マス取りに来たか」


〈エデン〉は唯一どちらのギルドも取れていない〈北東の0〉を手に入れると同時に、天王山を中心に小城マスを手に入れていくようだ。

 しかもその小城を踏む場所が問題だった。


「明らかに本拠地への攻撃をさせない戦法にシフトしてきたな」


「だが、何かを仕掛けてくる様子はない。それはオスカー君の嗅覚が証明している」


「うむ。作戦続行だ。通信を送れ!」


「受諾!」


〈ギルバドヨッシャー〉が〈南東の1から3〉までを陥落し終わったとき、〈エデン〉によって〈中央巨城〉への道は保護期間によって絶たれていた。だが〈南巨城〉と〈東巨城〉へは先に道を敷いてあったため無事。すぐに〈ギルバドヨッシャー〉が向かって〈南巨城〉と〈東巨城〉をひっくり返す。これで5箇所目。

 そこから〈南西の3〉へインサーたちAチームは進む。Bチームは〈北東の3〉へ進む手筈になっていたが、Bチームは進路妨害により進む事が出来ず、後退。


 そこでオスカーの嗅覚が反応する。


「キタ! 混沌の香りです! 『カオスレーダー』!」


「なに! どこからだオスカー君!?」


「向こうから漂ってきます! おそらくBチームを狩るつもりです!」


「よし、反転!」


「「「「「おおー(混沌!)」」」」」


「通信! Bチームの元に襲撃の可能性、対処せよ!」


「受諾! 『通信』! Bチームの元に―――」


 オスカーの言葉にインサーが素早く指示を出したかと思うと、部隊は回れ右。

 急に反転して〈南東の3〉へ向かった。しかし、


「!!!! こ、混沌の香りが途切れた!?」


「む、本当かオスカー君」


「今は欠片も匂わない……」


「ふむ。〈エデン〉もしっかり見ているな。挟撃を警戒したか。再反転! デルタ作戦続行!」


 オスカーの嗅覚は混沌を読む。

 しかし、その混沌が突如として消えたため、インサーたちAチームは再び巨城取りに戻るのだった。




 ◇




「うわ。今のをあの距離で見抜いてくるか!」


「まさか、カイリさんのハイドがあの距離から見破られたのでしょうか?」


「だとすると調査系の上級職、オスカー君の仕業だろうな。確実にこっちの動きをリアルタイムで観測していると見ていい。そうなると、奇襲は使えないな。さっきより警戒している」


 ここは〈エデン〉本拠地。

 ゼフィルスの呟いた通り、今まさに〈エデン〉は小城マス取り中のメンバーをそれとなく集め、一気に〈ギルバドヨッシャー〉のBチームへ奇襲する戦法を立てていた。

 カイリのスキルにより集まる場所には強力なハイドを与え、リーナの陣地スキルによって援護。


 しかし、さあそろそろ行こうかというタイミングで突如〈ギルバドヨッシャー〉のAチームが反転した。


 このまま〈エデン〉が奇襲すれば、奇襲返しを食らうことになるタイミング。

 奇襲は奇襲に弱い。作戦は中止するしか無かった。


「さすがはギルドバトル最強の〈ギルバドヨッシャー〉ですわね。良い人材が揃っていますわ」


「奇襲が使えないなら正攻法で攻めるしかないな。多分待ち伏せもバレるぜ」


「……わたくしの得意戦法ですのに、本当にさすがですわね」


 リーナが困った顔をしながら〈竜の箱庭〉を覗き込む。

 巨城取りが終わり、続いて小城マス取り。

 本拠地が落とされれば一発逆転負けもあり得るこのフィールドでは、本拠地へ近づけさせない戦法が有用となる。つまり時間稼ぎ。


 この小城マス取りも点を確保するというより、相手の行動を制限しつつ時間を稼ぐことが主目的だ。できればついでに相手を各個撃破して人数を削るのが理想的。しかし、現状〈ギルバドヨッシャー〉は集団行動を継続していて分かれる様子は無い。


 17人18人行動というのはまともにぶつかれば確実に被害が出る戦力だ。

 誰1人犠牲を出さずに相手の人数を削りたいのなら奇襲が有効だが、それは逆にこちらのピンチにもなり得る手に変貌してしまった。


 索敵の有用性がここに表れていた。

 先ほどカイリにしてやられたことにより、オスカーが全力で警戒しているのだ。


「こうなったら、どこかでぶつかるしかないか」


「人数を集めますか」


「被害を出さずに勝利するのに有効な手段。単純に数で勝る、だな。だが、〈ギルバドヨッシャー〉の動きを見るにすぐに合流してくるだろう。数で勝ちたいのは向こうも一緒だ。俺たちは時間が稼げれば良い。そこを間違えてはいけない。例えば5分も〈ギルバドヨッシャー〉を足止めすればかなり勝ちに近づくと考えるんだ」


「なるほど……理想は理想として、別に無理に倒す必要は無い、というわけですわね。残り時間15分。ここから10分で〈エデン〉の本拠地を落とすのは難しいですからね」


「それと、巨城の方も警戒していくぞ。相手が本拠地を落として勝ちに来るとは決めつけない方が良い。巨城もたくさん取れば逆転できるんだ。妨害するぞ」


「はい!」


 方針は決まった。


〈エデン〉はこのままポイントで逃げ切って勝つ。

 そのために相手の妨害をメインに立ち回る。


〈ギルバドヨッシャー〉の勝ち筋は、白本拠地を落とす、もしくは巨城を落とし点で逆転するだ。

 どちらも難しいが、きっとやってくるに違いない。

 相手はギルドバトル常勝無敗の〈ギルバドヨッシャー〉。


 ならば、〈エデン〉は迎え撃つ。

 本拠地を落とそうとするのなら、そこに罠を張れば良い。

 対人戦でぶつかるときは近い。




 ポイント〈『白41,430P』対『赤28,410P』〉〈ポイント差:14,020P〉。

 〈巨城保有:白14城・赤5城〉

 〈残り時間15分22秒〉〈残り人数:白36人・赤36人〉





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
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[一言] オラ、わくわくすっぞ。
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