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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十二章 秘湯巡りと〈ギルバドヨッシャー〉練習試合!

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#1059 巨城取り合戦最善手。お互い理想の手。




「次の2手目、次取る2城は〈中央巨城〉とその手前の〈北西の3〉巨城だ」


「『ギルドコネクト』! パメラさん、相手の巨城へ向かうのは中止。〈中央巨城〉を取ってくださいませ。『ギルドチェーンブックマーク』! 『投影コネクト』!」


 俺は指揮官と同時にリーナの補佐。

 2手目を変更し、〈中央巨城〉とその一つ手前にある巨城を取ってもらう。

『投影コネクト』でブクマしたメモをメンバーに共有する。

 そのメモを書くのは俺の役割だ。


「Bチームは〈北西の3〉を取ってくださいまし」


「良いペースだな」


 またこの巨城の呼称だが、少し特殊なので注意。

 他のフィールドだと〈北西巨城〉や〈中央東巨城〉など名前が付いているが、ここまで巨城の数が多いとそれは無理。

 名前が付いているのは中央に(そび)える一つの巨城、〈中央巨城〉とその東西南北7マス離れた位置にある〈東巨城〉、〈西巨城〉、〈南巨城〉、〈北巨城〉だけだ。他は番号で呼んでいる。


 呼称を付ける際、〈ダン活〉ではフィールドの巨城をエリア別に分けて考えていた。


 19城を、北西エリア、北東エリア、南西エリア、南東エリア、そして中央エリアの五つに分ける。つまりはクロスの端と真ん中だ。

 中央エリアにある巨城がさっき言った5城、残りは14城。

 3城、3城、4城、4城で分けられる。


 3城しかないのは北西エリアと南東エリア、つまりは俺たちの本拠地があるからその分巨城が一つ減っている。


 4城あるのが北東エリアと南西エリアで、俺たちの本拠地が建っている位置に四つ目の巨城が建っているわけだ。ちなみにその巨城は〈◯◯の0〉と呼称している。


 本拠地、または0から見て近くにある巨城が1と2、中央エリアに近いのが3と名付けられている。呼ぶときは〈北西の3〉などで呼ぶわけだ。

 細かく言うと1と2は、1が本拠地から見て南北にある巨城、2が本拠地から見て東西にある巨城を指している。これは言葉で言うより地図を一見した方が理解出来るだろう。

 ただ単純に1番~19番と番号で呼ぶ人も居た。そこら辺は自由だった。


 閑話休題。

 そして〈エデン〉チームは〈北西の1〉と〈北西の2〉の巨城を落とし、残りの〈北西の3〉も落としつつ、その先にある〈中央巨城〉をいただく2手目だ。

 これには守りを万全にして本拠地に近寄らせないという防衛の意味と、攻撃の要となる天王山を抑える手だ。


 巨城の数は19城、奇数だ。むしろ素数だ。

 別に素数は関係無いが(?)、その中心地にある巨城(天王山)が要であることには変わらない。

 ここを抑えることで攻撃の足がかりとし、各方面、どこに向かうかも相手の動きに合わせられる。これに〈ギルバドヨッシャー〉が動くとすれば。


「〈ギルバドヨッシャー〉が動きましたわ! 〈南東の3〉を取らず、狙いは〈南巨城〉と〈東巨城〉ですわ!」


「さすがだな〈ギルバドヨッシャー〉は。良い手だ」


〈ギルバドヨッシャー〉も俺たちと同じく大人数の2チームを動かす戦法で1と2の巨城を獲得後、そのまま〈南東の3〉をスルーして〈中央巨城〉の近隣である南と東を抑えに来た。


 素晴らしい対応力だ。

〈中央巨城〉を抑えられたら〈南東の3〉をスルーして半分囲うのが正解。

 これ、相手にも観測するスキル持ちがいるな、おそらくオスカー君と、もう1人くらいいるだろう。

 面白いなぁ。



〈ギルバドヨッシャー〉が後攻で妙手を繰り出してきた。

 中央の南と東の巨城が抑えられたら、〈エデン〉は動きづらくなる。

 その上〈ギルバドヨッシャー〉の本拠地に近い〈南東の3〉をスルーするというエサを撒いてきた。


 ここから〈エデン〉が動く選択肢はいくつかある。

 まずは〈ギルバドヨッシャー〉がスルーした〈南東の3〉へ進む方法。

 相手の本拠地にほど近い悪くない巨城だ。ここを抑えておく意義は大きい。


 しかし、安易に食いつくとその後が大変だ。

 俯瞰してみれば一目瞭然だが、〈南東の3〉の周りにある4つの巨城がすでに〈ギルバドヨッシャー〉の手の中なのだ。〈南東の3〉を取った後、次の巨城まで走るとなると、かなり距離があり時間をロスする。


 俺が〈ギルバドヨッシャー〉なら〈エデン〉が〈南東の3〉に食いついたら、〈南西の3〉と〈北東の3〉をゲットする。そうなると〈エデン〉が次に行くことができるのが南西か北東の1、2となる。むちゃくちゃ遠い。向かっている間に巨城取られるね確実に。つまりは逆転を許すことになる。


 またそのまま本拠地を攻めるという手もあるが、その時は攻め手を戻せば容易に囲えるため、囲まれる前に本拠地を落とす速攻が求められる。所謂賭けだ。

 へたをすれば〈南東の3〉へ向かった部隊が根こそぎ刈られるという事態もありうる。

 相手の本拠地へガチで攻めるぞという時以外は〈南東の3〉を取るのは悪手だな。


〈ギルバドヨッシャー〉の本拠地に残っている1人の存在が気になるところだ。

 きっと〈ギルバドヨッシャー〉の奥の手だろう。

 この選択肢はスルーで。


 ならば〈エデン〉が〈南西の3〉と〈北東の3〉を取った場合はどうか?

 そうなるとエリア巨城の取り合戦となり、最終的に0を〈エデン〉が取ることが出来る。

 巨城の獲得数は過半数の10城を〈エデン〉が取ることが出来、ポイントで勝ることができるだろう。


 その代わり〈エデン〉が0を取っている間に〈西巨城〉と〈北巨城〉を相手に抑えられ、天王山が機能しなくなり本拠地がピンチになるな。リスクが非常に大きい。


 この選択肢も取りづらい。


 そう、0の巨城とは危険物。

 これを取っている間は部隊が本拠地からかなり遠ざかり、引き返すのに時間が掛かる位置だ。

 0を落とそうとしたがために本拠地が手薄になって落城なんて割とある話。

 そのため、どうやって0を相手に取らせるか(・・・・・)も重要な戦術となるのだ。〈ギルバドヨッシャー〉の誘いの線が濃厚だな。


 0を最後に取らない、もしくはお互いが0を取り合うという展開にして、その上で打ち勝ち先取するのが理想。これなら相手を巨城に釘付けにできる。

 相手を見て、0を取るべきか否か、そのタイミングを計るのがこのギルドバトルの行き着く先であり、プレイヤーの腕の見せ所だった。


 俺はこの展開に持ち込んだ〈ギルバドヨッシャー〉に敬意を表する。素晴らしい。

 後攻が先攻に勝つ素晴らしい戦術だ。後で称えなくては。しかし、勝つのは俺だ。


 俺は別の作戦を選択する。


「リーナ〈北巨城〉と〈西巨城〉を取るぞ。Aチームは〈西巨城〉。Bチームを〈北巨城〉へ向かわせてくれ」


「はい!」


 巨城を落とす速度は〈エデン〉の方が速い。しかし、遅ければ遅いなりの戦術が存在するのがギルドバトルの面白い所だ。

 それに、相手にはロード兄弟が居た。道を走るとき、その速度は〈エデン〉の上を行く。速いな。

 そして本拠地は常に狙われていると見て良い。


 ああ、面白いなぁ。こういう駆け引き。本当に久しぶりだぜ〈ギルバドヨッシャー〉!


 俺は、心の底から嬉しいぞ!




 その後の展開は――。


〈エデン〉――〈北巨城〉〈西巨城〉取得。


〈ギルバドヨッシャー〉――〈南西の3〉〈北東の3〉取得。


〈エデン〉――〈南西の1〉〈北東の2〉取得。


〈ギルバドヨッシャー〉――〈南西の2〉〈北東の1〉取得。


 残りの巨城は〈南西の0〉〈北東の0〉と〈南東の3〉の3城。


 仕掛けるなら、このタイミングだ。




挿絵(By みてみん)

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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
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