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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十二章 秘湯巡りと〈ギルバドヨッシャー〉練習試合!

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#1051 来客〈集え・テイマーサモナー〉の頼み事。




 温泉から帰還したところで同じAランクギルド〈集え・テイマーサモナー〉から面会の申し出があった。というか直接来た。


〈集え・テイマーサモナー〉とは少し前にあった〈学園出世大戦〉でAランクギルドに昇格した同期の1つだ。


 確かBランク非公式ランキングで第八位にいたギルドで、優勝(昇格)候補と言われていた上位五位以外でAランクにランクアップした唯一のギルドだったはずだ。

 故に現在のBランクギルドでAランク戦を挑む権利を持っている〈世界の熊〉と〈ハンマーバトルロイヤル〉は防衛実績明けの〈集え・テイマーサモナー〉を狙っているという噂があったりする。


〈エデン〉とは、ついこの間ギルドハウスが近いということでご近所挨拶したくらいの繋がりだが、〈上級転職チケット〉の交渉となると〈エデン〉の右に出るギルドはいないだろう。〈集え・テイマーサモナー〉の見る目は確かな様子だ。


 交渉、俺は大賛成だ。

 今後は〈上級転職チケット〉が余ることは目に見えている。交渉で放出するのはまったく問題無い。むしろ歓迎したいくらいだ。


 問題は旅行帰りで交渉が得意のリーナやサブマスターのシエラが居ないことくらいだろう。

 セレスタンとアイギスに参加してもらう。

 Aランクギルドハウスに作られた客間で待っていると、セレスタンに連れられて3人の女子がやってきた。


「失礼します。今日はよろしくお願いします」


「ゼフィルス君、この前ぶり。あと紹介する。この子は――」


「初めまして! 〈集え・テイマーサモナー〉所属の1年生、アニィです。よろしくお願いします!」


 そう言って客間に入ってくるのは、ふわふわな桃色の髪を背中に流し、頭に二つリボンを付けている女子のカリンギルドマスターを筆頭に、黒髪ストレートで真面目そうな印象の女子であるエイリンサブマスター、最後の1人は素朴でブラウン系のショートヘアに体育会系の雰囲気を持ち、なぜかつなぎ姿のアニィと名乗る女子だった。こちらは初めましてだな。


「ようこそカリン先輩、エイリン先輩。アニィさんは初めまして、俺は〈エデン〉のギルドマスターゼフィルスだ。こちらこそよろしくな。――3人ともどうぞそちらに腰掛けてくれ」


「はい!」


 テーブルを挟んで前の席を進めると、体育会系女子の雰囲気を持つアニィが元気良く返事をする。

 カリン先輩とエイリン先輩は赤色の帯から2年生というのが分かる、アニィは自己紹介の通り青い帯だ。


 一度3人が席に座ると、改めてといった様子でカリン先輩が立ち上がって頭を下げた。


「……今日は、突然の申し出を受けてくださりありがとうございます。明日から学業が始まるという忙しい時に時間を作ってもらい、とても感謝しています」


「構わないさ。実はちょうど【モンスターブリーダー】について話しているところだったんだ」


「え、そうなの? こほんこほん! それは……なんとも絶妙な偶然のタイミングです、ですわね?」


「だな、俺もビックリしたよ。それとカリン先輩、話しづらいなら砕けた口調でもいいぞ。なんだか丁寧な話し方に慣れてない感じがするし」


「あ、えっと。見抜かれちゃった」


「はい。お察しの通りカリンは丁寧な口調は苦手。丁寧なカリンは見ていて気持ちが悪い」


「エイリン酷い!」


 なんだか慣れていなさそうに感じて聞いてみたら案の定だった。

 そしてエイリン先輩もカリン先輩の口調に違和感を持っていたらしい。

 ハッとしたカリン先輩が咳払いして空気をリセットして話を進める。


「え、えっと、こほん。ではお言葉に甘えさせてもらって、口調は少し砕けさせてもらって。本題なのだけど」


「ああ。〈上級転職チケット〉が欲しいんだろ? 状況からそちらのアニィに使う、と考えて良いのか?」


 カリン先輩は上級職の【ビーストテイマー】、エイリン先輩は上級職【ドールマスター】だったはずだ。この中で上級職に就いていないのはアニィだけ、そしてこのメンバーと共に現れた状況的にそう予想したのだが、どうやら当たっていたらしい。


「そうなの。実は今日〈ファーム〉でとんでもないことがあったのよ。〈ファーム〉に預けていた子が、脱走しちゃったの!」


「なに!? 詳しく聞かせてくれ」


 なんとも驚くビッグニュースがカリン先輩の口から放たれた。

 ――〈預けられていた上級モンスター、〈ファーム〉から大脱走!〉。

 とんでもないことだ。おそらく、学園ニュースにも載っているだろう。

 今日は帰ってきたばかりで学園ニュースを見ていなかったため俺は知らなかった。


 とはいえダンジョン内の出来事だ。人的被害なんて無い。〈道場〉の受付人が〈秩序風紀委員会〉の人なのでこういう時は鎮圧に動いてくれるからだ。実際、すぐ鎮圧されたらしい。


 カリン先輩の説明とエイリン先輩の補足によると、逃げ出したのは上級モンスターの一体、〈ライトローヴォルフ〉という二足歩行のワーウルフ種だ。電撃を纏ったアウトローなワーウルフである。やんちゃ系だ。

 実はこのモンスター、カリン先輩のテイムモンスターらしい。


「その子は昨日テイムしたばかりのほやほやだったの。でも駆けつけた〈秩序風紀委員会〉に狩られてしまったのよ。うう、〈ライトローヴォルフ〉は凶暴だからしばらく御霊石(みたまいし)から戻さないでくださいって言われちゃって」


「カリンカリン、要点がズレてる」


「あ、ありゃ? あはは」


 話がだんだんとズレていきエイリン先輩がそれを諫めていた。


 テイムモンスターはHPがゼロになると〈御霊石〉をドロップして光に還る。

 復活させるにはアイテムを使うか【ブリーダー】系テイマーのスキル、【神官】や【巫女】など特定職業(ジョブ)の復活魔法などが必要だ。〈支援課〉か〈回復課〉に頼むのが一般的。〈エデン〉で言えば〈支援課〉のタバサ先輩だな。Aランク戦でフラーミナのモンスターが何体か〈御霊石〉にされた時も、タバサ先輩が試合の後で復活させてくれた。


「あと最近〈ファーム〉で騒動が多くなっているって話だけど、大体私たちのギルドのモンスターが原因なの。このままだとみんな〈御霊石〉にされてしまうわ。そんなの可哀想よ。そうならないために私たちには【モンスターブリーダー】が必要なの!」


「そこで僕の出番です!」


 カリン先輩の説明に立ち上がるのはアニィだった。


「僕が【モンスターブリーダー】に就き、ギルドのモンスターをおとなしくさせてみせますよ!」


「補足すると、最近上級ダンジョンに入ダン出来るようになって、カリンたちが調子に乗って上級モンスターをテイムしまくった。それが最近の〈ファーム〉の騒動の原因。要は自分たちで後始末したいの」


 いやぁ、エイリン先輩の補足が助かる。さすがはサブマスターだ。


「なるほど。よく分かった。もちろん〈エデン〉も協力するのはやぶさかじゃない。ここに〈上級転職チケット〉がある」


「「「わぁ!」」」


 スッとセレスタンがこれ以上無いタイミングで差し出してきたので受け取って3人に見せると、感嘆とした声が広がった。さすがはセレスタン。準備が良すぎるんだぜ。


〈集え・テイマーサモナー〉が自前で【モンスターブリーダー】を拵え、〈ファーム〉の騒動を治めてくれるのなら〈上級転職チケット〉を渡しても問題は無い。

〈集え・テイマーサモナー〉の方も自分たちのギルドのモンスターが騒動の原因というのは印象が悪いため、これをなんとかしたい。

 利害が一致したな。


〈ファーム〉の騒動が収まればゼニスを〈ファーム〉に預けることもできるだろう。

 こちらにとっても実に都合の良い、渡りに船な話だった。

 もちろん俺は頷く。


「〈エデン〉には〈上級転職チケット〉を交渉する用意がある。それで〈集え・テイマーサモナー〉は何を持って来てくれたのか、是非見せてほしい」


「もちろん。これなんてどうでしょうか?」


 そうカリン先輩が言って取り出したのは、金色に輝く卵だった。


「血統は〈プリミティブ・エミュー〉。それに〈ボスコッコ〉の血を混ぜて〈ピュイチ〉への進化ルートが開放されたモンスターの卵。これなら期待に添えると思っています」


 なるほど。こいつはすごい!

 あの〈戦車鳥(・・・)ピュイチ〉ルートが開放された卵か!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] これはチョコ〇なのかフィー〇なのか。
[良い点] 戦車鳥···馬車を引ける位デカいのか、はたまたラオ○の愛馬・黒王みたく騎乗して敵を蹂躙可能なタイプなのか?
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