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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十二章 秘湯巡りと〈ギルバドヨッシャー〉練習試合!

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#1050 ゼニスの進化は近い。こんな日にお客さん?




「ゼフィルスさん、ご相談があるのです。そのゼニスのことなのですが」


「もちろん構わないぞ? どうしたんだ?」


 ウキウキで〈秘境ダン〉から帰還し、メンバーと解散したあとギルドハウスに戻ったところでアイギスから相談を受けた。

 もちろん俺は問題無いので快く受ける。


「実はもうすぐ進化の規定値にLVが達しそうなのですが、進化の相談をしたくてですね」


「ああ! もうそこまでLVが上がっているのか」


「クワァ!」


 雄々しくアイギスの上を飛びながら返事をする〈聖竜の幼竜〉であるゼニス。

 うむうむ。かっこいい感じを出したいのかも知れないが、つぶらな瞳と小さくてスマートな体のせいで可愛いにしか見えない。


 どうやらゼニスがもう少しでLVが目標の進化の規定値に届くらしい。

 モンスターのLVは(キャラ)とは別物だ。全てのステータスが自動で成長するシステムだしな。あとは条件を満たして進化ルートを選択してあげるくらいだ。


「ゼニスの今のLVは?」


「はい、LV18ですね」


「あと2か」


 ゼニスは幼竜ではあるものの、〈竜〉なので上級職換算で成長する。

 (キャラ)に例えれば上級職LV18みたいなものだ。低位職換算だけどな。一度進化すれば中位職くらいまで能力が上がるだろう。


 またモンスターの場合LVが規定値に達すると進化出来るのだが、ルートによってその規定値が変わる。


 ゼニスの進化ルートだと〈闘竜の若竜LV15〉、〈黒竜の若竜LV18〉、〈聖竜の若竜LV20〉となっていて、〈闘竜の若竜〉と〈黒竜の若竜〉の規定値はすでに満たしている。

 だが、俺的には〈聖竜〉ルートを進んでほしいので進化させずに待ってもらっているのだ。


 じゃあ、なんで相談なんかするの? と思うかもしれないが、問題は別にある。


「ゼニスは進化すると乗れるくらいの大きさになるのですよね」


「ああ」


「それほどの大きさとなるとやはり家の中にいてもらうのは難しいでしょうか?」


「まあ、難しいだろうなぁ。ドアから出るのは不可能になるし」


 そう、問題はゼニスの体格だ。

 進化すると頭から尻尾の先まで入れると7メートルを超える大きさになってしまう。部屋で飼育は難しい。というか無理だ。


 そうなると――〈ファーム〉に預けることになる。


「フラーミナもテイムモンスターたちを〈ファーム〉に預けているし、ゼニスもそろそろそっちに移動かな」


「〈ファーム〉に預けて虐められないでしょうか?」


「竜を虐めるモンスターは、いないんじゃないかなぁ?」


 テイムモンスター同士が争うこともあるが、〈ファーム〉ではテイマー系統である【牧場主】のスキルで平和を保っているので争いは抑えられていたりする。しかし。


「ですが、最近はその〈ファーム〉でもモンスターが暴れていると聞きます」


「まさか、あそこも上級職の人材不足だとはなぁ」


 ―――〈ファーム〉。別名預かり屋とも言う。

 その名の通りモンスターを預けることができる牧場的な場所のことだ。学園が運営している牧場の一つだな。

 エクストラダンジョンの一つ、〈試練の門塔(もんとう)ダンジョン〉1階、転移陣がある場所と塔を挟んで反対側にそれはある。


 ゲームではテイムしたモンスターは自動でここに送られて預けられていたのだが、リアルでは普通に預けに行く必要がある。

 リアルではあまりに大きくなりすぎてしまい、家で飼うことが不可能になってしまったモンスターなんか預ける施設という位置づけだな。

 ちなみに、モンスターを預けられるのはダンジョンにある唯一の牧場であるここだけだ。地上にも馬を預ける牧場などはあるが、モンスターは地上には預けられない。


 また、ここへ入るためのQPは掛からない。

 他のエクストラダンジョンは普通、入ダンする時にQPを支払うシステムなのに対し、この〈道場〉だけは入ダンしたあと、塔の転移陣を使用するときにQPを支払うシステムなのはそのせいだ。

〈ファーム〉へ向かうだけならQPを取られないエクストラダンジョンなのである。


 そしてこの〈ファーム〉だが、現在未曾有の人材不足に悩まされているというのだ。

 その人材とは【牧場主】の上級職、【モンスターブリーダー】が少ないこと。

 上級のモンスターは当然のように【モンスターブリーダー】でないと制御が上手くいかない。なのに〈ファーム〉に在駐している【モンスターブリーダー】は1人だけなのだという。

 少なっ!?


 今までは上級モンスターが預けられることなんて極僅かだったため問題無かったが、最近は上級職も増えてきて、上級ダンジョン進出によって上級モンスターのテイムも活発になり、結果そのしわ寄せが〈ファーム〉にまで及んでいるのだという。


 アイギスはゼニスを進化させるのは構わないが、〈ファーム〉にいる制御できていないモンスターから虐められてしまうのでは、と危惧しているわけだ。


 こればっかりは学園側が対応する案件なんだが、まだまだ〈上級転職チケット〉が足りていないからなぁ。


〈エデン〉は冬休み中、なんだかんだメンバー全員が上級職になったことに加え、ほとんどが上級ダンジョン進出を果たし、中級上位ダンジョンのボス周回のおかげで〈上級転職チケット〉は3枚ゲットできていた。

 とはいえ、これを無償で渡すことは出来ないし、売ることはもっと出来ないんだよなぁ。


 さすがに【モンスターブリーダー】は活躍の場が限定的過ぎて〈エデン〉ではあまり必要ではないし、〈ファーム〉で働くのは学園側の公共事業の人たちだ。それに手を出すのはギルドメンバーからの許可が下りないだろう。


 ちなみに【モンスターブリーダー】はゲームでは預けることのできるモンスターの数が増えたり、特定のモンスターの進化ルートが解禁されたり、モンスターのLVが上がりやすくなるなどのサポート的な職業(ジョブ)だった。


 となるとどうしようか。

 このまま進化させないという方法もあるが、それだとゼニスは弱いままなんだよなぁ。

 部屋で飼える場所を作ってみるか?


 そんなことを考えている時だった。

 そこにセレスタンがやってきた。


「お話中に失礼いたします。ゼフィルス様、お客様がいらしております」


「え? お客? アポは入っていないはずだが? 誰だ?」


 ビックリして聞き返してしまった。今日は旅行帰り、アポを入れているはずがない。

 時刻は16時過ぎだが、すでにほとんど日が暮れている。こんな時間に誰だろう?


「はい。Aランクギルド〈集え・テイマーサモナー〉のギルドマスターとサブマスター様、そのお連れ様でした。どうしても繋いでほしいと言われまして、その理由についてゼフィルス様に伝えた方が良いと判断しました」


「続けてくれ。――アイギス、悪い」


「いえ、ゼフィルスさんこそお疲れ様です」


 話を割ってしまったことへアイギスに一言添え、セレスタンの続きを促した。

 なんとなく、これは聞いておいた方が良い気がしたのだ。

 その勘は、やはり当たっていた。

 フラグが立ったのか?


「【モンスターブリーダー】の人材不足を受けて、〈上級転職チケット〉の交渉をしたいと申しております」





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] 戦闘職ばっか増やしてもインフラが支えられないし、環境整備は学園案件なのは確かだけど、どうにも動きが異常に鈍い無能組織に感じられる描写が多い。 学園がちゃんと動いて事態を解決した描写が無さすぎ…
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