#113 マリー先輩が干からびる。これがレアボスの力!
初の〈ビューティフォー現象〉だったが、ドロップは普通だった。
その後、レアボスドロップを回収する。
こっちは大当たりが出た。〈二戦小狼の大毛皮〉が3つもドロップしたのだ。
〈一戦小狼の大毛皮〉が昨日52周を通して13個しかドロップしなかったので、これは重畳。単にレアボスの方がドロップの種類が少ないので確率高いだけだけどな。
しかし、レアボスの〈大毛皮〉を3枚もツモった事でハンナの防具がこれでさらにアップグレードが期待出来る!
ラッキーだったぜ。
「それで、今はまだ15時前だが、素材も集まったし一度戻るか?」
「何言ってんのよ! まだ時間あるじゃない、やるに決まってるわ!」
「あの、できれば私も再戦を望みたいのですが」
ラナと、意外にもエステルがやる気を見せる。
先ほどの失態を挽回したいのかな。良いだろう。
そういうモチベーションはゲームには大切だ。
悔しさをバネに、ボスへ再戦するのはゲームの醍醐味。
しかし、残念ながらレアボスに遭遇出来るかは運だけどな。
俺は〈レアモンの笛(ボス用)〉を持っているけど、できれば初級中位より高いランクのダンジョンで使いたい。その方が強力なドロップが増えるからな! その分ボスも強くなるけど!
と、いう事で、シエラとハンナも問題ないとの事で再開が決まった。
ちなみに、今のレアボス戦でハンナがついに【錬金術師LV35】とレベルカンストしたらしい。
さすがレアボスだ。経験値量が違う。LV30を超えるとボスしか経験値が入らなくなるし、高レベルになればなるほど、ボスとのレベル差が開くほど取得経験値は減る。つまりLVは上がりにくくなる。レアボス様々だ。俺ももう何度かやり合いたい。
ハンナはLVカンストしたが、これはハンナの防具素材を集めるための周回(なお規定数はすでに集まっているが)なので参加を強く表明していた。
やる意味は別に無いけど楽しいから良いんだ、って奴だな! 深く考えてはいけない。これもゲームの醍醐味。
ハンナも素材収集家なので無駄にやる気を見せているし、良い傾向だ。(?)
「では、ボスリポマラソン、再開だ!」
「「「「おー!」」」」
俺のかけ声にみんなが答える。楽しい楽しいボス周回。
今日も夜ギリギリまで挑んでやるぜ!
そうして3時間強、〈バトルウルフ〉第一形態狩りをした。
最初威勢の良かった〈バトルウルフ〉も最後は何故か怯えていたように見えたのが不思議だった。
また遊ぼうな!(「キャイン!?」震え…)
「エステル、今日の周回はいくつだった?」
「はい。今日はレアボスを除いて72周回でした」
「72周回!」
エステルがなんてこと無く答え、その言葉にラナが驚愕する。
エステルは今回もちゃんと数えていたようだ。俺は途中で諦めた。
しかし72周は頑張ったな。みんなどんどんレベルも上がって、一戦のスピードもガンガン上がっていたからな。この記録も納得だ。
尤も、ダンジョンの等級が上がるほど一戦に掛かるタイムは延びていくので72周もできるのは初級ダンジョンだけだけどな。
MPポーション、補充しないとなぁ。
「マリー先輩の驚く様子が目に浮かぶわね!」
「今回はさらにレアボスドロップがあるからな。度肝を抜けるんじゃないか?」
結局再戦はならなかったが、普通レアボス素材がある事自体驚愕ものらしいからな。
まあ、一ランク上のボスが相手だし。準備も無しに遭遇したら普通は全滅する。
俺たちは装備が以下略だしな。
レアボス素材は結構貴重で、俺も〈エンペラーゴブリン〉素材の時は査定がオークション日まで待たされたほどだった。
今回もオークションにかけたいところだが、〈大きな魔宝石・トパーズ〉の方が高値が付くので見送りだ。こっちは換金専門のアイテム。ミールの数が違う。たとえレアボス素材だとしても換金アイテムには敵わない。
〈エンペラーゴブリン〉の時は170万ミールだった。同格の〈バトルウルフ〉第二形態もオークションに掛ければ同じくらいだろう。なら通常価格が100万ミールの〈大きな魔宝石・トパーズ〉ならどうなるか。
予想では300万ミールは狙えるとにらんでいる。そんな金額で買って何に使われるのかは知らないが…。
ま、そんなわけでレアボス〈バトルウルフ〉第二形態の素材は〈ワッペンシールステッカー〉に買い取ってもらおう。マリー先輩、飛びついてくるぞ多分。
ドロップを回収し終わると今日は撤収だ。
もう日が沈みかけの時間だが、俺はこのまま〈ワッペンシールステッカー〉に向かう。
普段はダンジョンから帰ったらシャワー優先の女性組も今日は付いてきた。マリー先輩の反応が気になるらしい。昨日は良い驚きっぷりだったからなぁ。
「なんや、またか。またうちを困らせに来たんか!」
「任せてくれマリー先輩! 今度はもっと度肝を抜いてやるぜ!」
ノリの良いマリー先輩に宣戦布告みたいな事を言いつつ素材を取り出していく。
数が1000を超えだしたあたりからマリー先輩が悲鳴を上げ始めたが、まだまだこれからだ。
「これを見よ!」
「な、これはぁ!!?」
本命のレアボス、〈バトルウルフ〉第二形態の素材を取り出した途端、涙目だったマリー先輩が驚愕にクリクリのお目々を丸くした。
「またレアボスドロップかいなぁ!?」
「どうだ。すごいだろう。しかも今回、オークションに掛けず全部ここに卸そうかと思っている」
「マジでか!?」
「これ以上肝を取られたら、うち干からびてまぅ!」とか言いながらマリー先輩が素材に飛びついた。
ほら、予想通りだった。
その後、あまりの量に昨日の素材すら査定がまだと言われ、明日からの土日で頑張って査定してくれるとのことだ。土日潰してしまってすまん。
ハンナの装備については予定を変更可能とのことなので、〈二戦小狼の大毛皮〉3つを装備に組み込んでもらう事で話が付いた。
査定が終わり次第、早速取りかかってもらえるとの事なので任せる。
週明けが楽しみだ。