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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十一章 学園に五段階目ツリーを広げよう大計画。

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#1029 〈岩ダン〉攻略と五段階目ツリー開放に乾杯!




〈上級転職チケット〉を交換に出したところ、〈獣王ガルタイガ〉が勝ち取った。

 以前から欲しかったアイテム、〈天魔のぬいぐるみ〉を欲しがってみたところ二つ返事でミミナ先輩が了承したのが決め手だった。

 やったぜ! なお、これを使う日が果たして来るのかは不明である。

 後でいただきに行くとしよう!


 その後はトオル先輩が転移陣で帰還し、ボスが復活したので第2陣パーティ、シエラ、ソトナ先輩、キリちゃん先輩、ミミナ先輩、ハクがボス攻略に挑むことになった。しかし、これが中々に大変だったらしい。

 俺たちのパーティよりポジションが充実していたはずだが、ハクは2回ほど戦闘不能になりミミナ先輩も1回戦闘不能になるほどの大激戦だったようだ。


 ただ、タンクのシエラがヒーラーのソトナ先輩だけはしっかり死守したため全滅することは無く、なんとか勝利を掴むことが出来たようだ。

 しかし、勝利は勝利だ! 大成功だ!


 これはお祝いだな!


「シエラ。よく頑張った。――みんなも〈岩ダン〉攻略、おめでとう!」


「「「「おめでとう!」」」」


 テンション上がりすぎてそのまま宴会に突入しようぜという話になったので、このまま帰還することになった。異論は無い! むしろ望むところだ!


 そして俺たちがウキウキ気分のまま転移陣で帰還すると、〈上下ダン〉ではとんでもない人で溢れかえっていた。


「来た! 帰ってきた! ドリームメンバーズの帰還だ!」


「あああ!! 見たこともない攻略者の証を付けてる!」


「あれが、〈岩ダン〉の攻略者の証!?」


「え? 攻略メンバー全員付けてるんだけど!?」


「全員が攻略したのか!? あの攻略不可能ダンジョンと言われた〈岩ダン〉を!?」


「歴史がまた一歩動いた! これは歴史的快挙だ!」


「おめでとう!」


「すげぇ! すげぇよドリームメンバーズ!」


「「「きゃああああ、ゼフィルスさんこっち向いて―!!」」」


「「「ユーリ殿下素敵――!!」」」


「「「ガルゼ先輩――!!」」」


 どうやら先に帰ったトオル先輩がしっかり広めたらしかった。なんて早い仕事だ。

 どうやってこんな短時間で学園中に知らせたのかはわからないが、とんでもない数の学生が押し寄せてきてる。〈上下ダン〉の入口にどんどん人が押し寄せてるぞ。

 で、出られない!?

 そこに救世主が現れる。


「ひぇっひぇっひぇ。お疲れ様だよ英雄たち」


「ケルばあさん!」


「ほんと、よく頑張ったねぇ。〈岩ダン〉の攻略、すごいじゃないか。おめでとう」


「ありがとうございます!」


 ケルばあさんがお祝いにやってきてくれた。

 そんなケルばあさんの歩みを妨げる者はここにはいない。

 だってケルばあさんがノーと言えば上級ダンジョンに挑めないからな。

 ケルばあさんが歩けば学生は道を開けるのだ。


「ほら、あれじゃ出られんじゃろ。私が先導するから付いてくるんだよ」


「助かります!」


 ケルばあさんにはいつもお世話になってます!


 結局ケルばあさんの先導の下、まるでモーゼのごとく左右に分かれる人波の間を歩いて行くという、ちょっとしたパレードっぽい感じで帰還することになった。


 その後は各自一度ギルドに戻ってシャワーを浴びた後、もう一度集合となっている。


「おかえりなさいませゼフィルス様、シエラ様」


「「「おかえりなさい!」」」


「おう。ただいま」


「ただいま帰ったわ」


「それにしてもこれはいったいどういう状況だ?」


 俺とシエラがギルドハウスに到着すると、大ホールはすでにお祝いムード一色だった。

 すでに情報が伝わっているらしい。仕事が早すぎるぞセレスタン。

 ギルドメンバーがそこら中に色々と飾り付けを行なっている。


 いや、〈岩ダン〉を攻略するのは初ではないんだが。


「正式に攻略をしたのは今日ということになりますから。間違ってはいません」


「そ、そうか?」


 セレスタンがそういうのならそうなのだろう。

 よし、宴会をしよう!


「待ちなさいゼフィルス、この後は〈キングアブソリュート〉のギルドハウスで打ち上げの予定でしょ?」


「おっとそうだった!」


 今日ばかりは戦友たちと一緒の打ち上げをしなくては。でもギルドでの打ち上げも大事だぞ? 俺はどうしたらいい。そうだ、両方やろう!


「私たちはもう数日したらやりましょう。その頃には帰省組も帰ってくるでしょう」


「昨日から続々とお戻りになっておりますね。メルト様とミサト様はあそこで飾り付けを手伝っております」


「そうだな。やるならラナたちが帰ってきてからにするか!」


 今日は1月5日。ラナたちが帰ってくるのが8日、遅くとも9日くらいとのことなので、お祝いはその時にやろう。この内装は……うん。それまでこのままだ。ルルたちも喜んでいるしな。

 え? あれは上級ぬいぐるみ!? もう出来たの!?


 それからシャワーを浴びて身だしなみを整え、少しばかり休憩していると、ユーリ先輩からメッセージが届いたので待ち合わせ場所へと向かう。


 だが行くのは〈エデン〉メンバー全員でだ。


「ぜ、ゼフィルス君!? 私も行くの!?」


「もちろんハンナもご招待だ。〈エリクサー〉や〈回復薬の息吹〉をとても気に入ってたぞ」


「お、恐れ多いんだけど!?」


 なにしろ行く場所は〈キングアブソリュート〉のギルドハウスだからな。

 実は俺も初めて行く。

 それにハンナのポーションを褒めていたのは本当だ。

 というのも〈フルート〉を使ったエリアボス周回を教えたからだ。

 ボスを周回するためにはMPを回復する手段が必要。それに最も適しているのがハンナ印の〈エリクサー〉だ。もちろん〈マグメタ〉戦で大活躍した〈回復薬の息吹〉も含め、すでに大量発注も受けている。

 お土産にちょっと包んで行こう。きっと喜ぶぜ?


 到着した〈キングアブソリュート〉のギルドハウスは、まるで豪邸だった。

 うん。なるほど。ユーリ先輩って王族だもんな。デザインが自由なら王族が住むのに適した姿にするのは有りだな。

 ゲーム〈ダン活〉でも同じように、キャラによってギルドハウスのデザインを決めていた人は少なくなかったしな。


 代表してセレスタンが取り次ぐと、すぐに係の人(?)が出迎えてくれる。

 セレスタンの同業の人かな? ってくらいぴっちりした執事さんだった。

 その人に連れられて、大ホールに案内されると、そこはすでに宴の会場になっていた。

 おお、メイドさんや執事もしくはウェイターっぽい人がすんごいいる。

〈助っ人〉なのだろうか?


 後で知ったのだが、ここで執事やメイドの格好をしていたのは〈総商会〉のメンバーだそうだ。つまりは〈ダンジョン営業専攻・商業課〉の学生たち。〈総商会〉ではこういうサービスもやっているとのこと。ここの飾り付けや宴の準備も含め、全部〈総商会〉の仕事らしい。すごいな〈総商会〉。


「やあ、ゼフィルス君。さっきぶりだね」


「ユーリ先輩、ご招待ありがとうございます!」


「ふふ、今日は思う存分飲み食いしていってくれ。いいものをたくさん揃えたからきっと喜んでもらえると思う。――〈エデン〉〈アークアルカディア〉のみなさんも、是非楽しんでいってくれ」


「「「「ありがとうございます!」」」」


 ギルドハウスに入るとなぜか真っ先にユーリ先輩が自ら来たのでまずは挨拶。

 公的な場所(?)なので敬語で話した。


 ユーリ先輩の格好は白をベースとしたタキシードっぽい装備だった。

 その胸に一つだけ攻略者の証が輝いている、〈岩ダン〉の攻略者の証だ。

 ちなみに俺とシエラも着けている。俺たちは学生服だけどな。

 一つしか付けないのは今日が〈岩ダン〉の攻略を祝うパーティだと強調する目的だからだそうだ。


 ユーリ先輩とその後一言二言話すと、他の挨拶があるからと言って去って行った。

 どうやら〈エデン〉を優先したくて他の方を待たせているらしい。大変そうだ。


 その後〈獣王ガルタイガ〉とガルゼ先輩、ミミナ先輩がメンバーを連れて来て、続いては〈千剣フラカル〉、〈百鬼夜行〉と続いて挨拶していた。

 もちろんサポートとして同行したユミキ先輩を始めとしたメンバーも来ている。トオル先輩だけ見当たらないが、まあその内来るだろう。


〈ギルバドヨッシャー〉からは残念ながらオスカー君だけの参加だ。

 他のメンバーは絶賛ダンジョンで修業中らしい。なら仕方ないな。


「ゼフィルスさん、素晴らしい混沌、とても助かりました。最高でした。あ、あとインサー先輩から練習ギルドバトルについて日時を聞いてきてほしいと伝言を預かっています」


「? そうだな。冬休みが終わってからを予定している!」


「冬休みが終わったらですね。わかりました。そのように伝えておきます」


 オスカー君の混沌はボスのことかな? でも助かったってどういう意味なんだろうか?

 まあ、その辺は気にしなくてもきっと大丈夫だろう。そんな気がするのだ。


 全員が集まると用意された舞台、ステージの上に立ったユーリ先輩が演説を行なう。

 ちなみにそれ以外の9人の攻略者たちもしっかり集められて横に並んでいた。


「みんな、今日は実に素晴らしい日だ。僕たちは今日、このメンバーたちで上級下位(ジョーカー)の一つ、〈浮遊の巨石ダンジョン〉の攻略を果たしたのだ!」


「「「「おおおおおお!!」」」」


「苦難の道のりであった。〈浮遊の巨石ダンジョン〉は攻略不可能ダンジョンとも言われていた魔境の地帯! ――しかし、〈エデン〉がその攻略法を発見、示してくれたことで我々は第2層以降の攻略が可能になったのだ!」


「「「「おおおおおおおおお!!!!」」」」


 ユーリ先輩が〈エデン〉を持ち上げる。

 以前学園祭で〈エデン〉が上級ダンジョン攻略に大きく貢献したという情報を言えなかったが、今回はラナも居ないし、むしろ積極的に〈エデン〉の功績を称える発言が多く飛び出した。


「そして我々は〈浮遊の巨石ダンジョン〉を攻略した!! 〈エデン〉がいなければここまで早くスムーズに攻略出来ることはなかっただろう! しかもそれだけではない! 新たなレベル上げの秘技も授けてもらった。それがこの〈フルート〉だ!」


 そして〈フルート〉もこの場で発表する。

 ここに集められたのは関係者だけだ。〈笛〉の類いにレシピはないためレシピ公開は出来ないが、ここに参加している5ギルドは今後〈フルート〉を多用する。その〈フルート〉を誰がもたらしたのかということをユーリ先輩は周知していた。


「―――そして我々はこの〈フルート〉のおかげでLV30の大台に乗り、五段階目ツリーを完全開放したのだ!!」


「「「「おおおおおおお!!!!」」」」


「「「「〈フルート〉! 〈フルート〉!! 〈フルート〉!!!!」」」」


 LV30と五段階目ツリーの完全開放の部分で大ホールは大きく盛り上がった。

 それほど五段階目ツリーというのはこの世界では希少で魅力的で切り札的なものだ。


 スキルはツリーなので、一定値まで下位スキルのLVを上げ条件を達成すると上位ツリーが開放される場合がある。これを利用し五段階目ツリーの一部を使えるようになった人は多いが、完全開放した人はこの世界にはいなかったのだ。


 未知のスキルも非常に多く、新たなる時代の幕開けに盛り上がりが最高潮に達した。


 ちなみにここに招待されていたレンカ先輩が、盛り上がる〈フルート〉の歓声に盛大に頬を引きつらせていたのはそっと見なかったことにした。

 頑張ってほしい。新時代の幕開けはレンカ先輩のその手に掛かっている!


 その後、ランク6の〈岩ダン〉を初攻略した者として1人1人名前を言われてアピールし、俺たちの出番は終了。


 ステージから降りるとむっちゃ囲まれた。主に女子から。

 ちなみにガルゼ先輩は男子に囲まれている。

 ヨウカ先輩やカノン先輩の方に行く人も多い。

 第1陣パーティとして〈岩ダン〉の初攻略をしたと思われている俺たちは特に人気が高かったようだ。


 というかむちゃくちゃお礼を言われたよ。

 特に〈獣王ガルタイガ〉〈千剣フラカル〉〈百鬼夜行〉のメンバーたちに。

 彼ら彼女らはもう卒業が近いギルドマスターのことを考え憂いていたらしい。上級攻略に今から手を着けて間に合うのかと。

〈キングアブソリュート〉がその攻略に5ヶ月以上掛けたという話が有名すぎたからだ。


 それがランク6の〈岩ダン〉攻略を達成したどころか五段階目ツリーを完全開放したのだからもう大変。彼ら彼女らの気持ちは察するにあまりあった。お礼の言葉はみんな受け取ったよ。


「ガルゼ先輩たちも、メンバーに好かれてるんだな」


「なんだそりゃ、そんなの当り前だろうが」


「ははは、そうだな」


 ガルゼ先輩とガツンとジョッキを合わせる。

 他のギルドマスターたちもそうだ。みんなギルドメンバーにとても好かれている。


 だからこそ宴がこんなにも楽しいんだ。


「ゼフィルス、今回はありがとよ。あんとき声を掛けて大正解だったぜ」


「妾も同意じゃ。無理を言ってすまんかったとも思うが、とても感謝している」


「私もだよ~。ゼフィルス君が何か困ったことがあったら言ってね? 私なんでもしちゃうから!」


「なんの、どうってことないさ。はっはっは」


 ああ、宴楽しい!


 攻略メンバーで飲んでいると、先ほどまで色々な人に捕まっていたユーリ先輩が少し疲れた顔をしながらやってきた。


「お、ユーリ先輩、おかわりいりますか?」


「いや、ごめんね。いっぱい注がれちゃったから飲み物はもういいかな……」


 ユーリ先輩は飲み物をいっぱい注がれたらしい。さもありなん。

 ユーリ先輩にはこれからの〈岩ダン〉攻略や五段階目ツリーの完全開放、そして学生が安全に〈岩ダン〉を攻略するための道を引くために今後全力を注ぐことになっている。


 そして、〈キングアブソリュート〉の活動は大幅に縮小するとのことだ。

 卒業までは、学生たちのために時間を使うと宣言していた。


「ゼフィルス君、改めてありがとう。当初の予定よりも大きな成果を持って帰ることが出来たのはゼフィルス君のおかげだ」


「ユーリ先輩が頑張ったからですよ」


「いや、僕だけでは〈霧ダン〉の攻略は難しかっただろう。道半ばで諦めていた可能性は高かった。それなのに今の僕は〈嵐ダン〉〈霧ダン〉〈岩ダン〉の攻略者で有り、五段階目ツリーの開放者だ。ゼフィルス君の貢献は計り知れない」


 ユーリ先輩の表情はとても清々しく輝いていた。

 やりきったという充実感に溢れている表情で俺を見つめていた。


「もう一度言わせてほしいゼフィルス君。ありがとう」


「はは。どういたしまして」


 俺だってユーリ先輩に面倒なことを押しつけたんだからお互い様な気はするものの、感謝は素直に受け取っておくべきだ。

 グッと握手を交した。


「「「「おおおおおおおお!!!!」」」」


 すると大歓声が上がった。

 俺たちに注目していた人たちが騒ぎ始めたのだ。


 ユーリ先輩と俺はお互いを見て笑い合った。




 第二十一章 -完-




後書き失礼いたします。


活動報告に第二十二章の予告を貼り付けました!

気になる方はどうぞ!

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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
読み返しは3度目になりますが、二十一章は特に好きです。 ダン活からしか取れない成分がいっぱい詰まってる感があります。 …よく考えたらガルゼ先輩が好きなだけかもしれない
[一言] 〈岩ダン〉の攻略者の証について疑問があります。 帰還後全員がこの証をつけている、とありますが、既に〈岩ダン〉の攻略者の証はおそらく自宅のギルドハウスに保管してますよね? ここで質問なんです…
[気になる点] ついに公開されてしまったフルートによるボス周回。これでレンカ先輩は爆弾制作よりフルートの回数回復を優先してくれとか言われるんだろうな。 お労しや先輩。
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