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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十一章 学園に五段階目ツリーを広げよう大計画。

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#1013 〈キングアブソリュート〉最奥ボスに敗北!?




「みんなお疲れ様!」


「ん!」


「お疲れ様ゼフィルス」


 労いの言葉を贈りながらハイタッチ。

 近くにいたカルアやシエラとそれをすると、すぐにメンバー全員が集まってきたのでみんなタッチした。全員で2パーティいる。思ったより多いな!?

 今のボス戦は良かった〈キングアブソリュート〉にしっかり〈エデン〉の良いところを見せられたんじゃないかと思う。


「「おお~!!」」


 そこに拍手が降り注いだ。

 拍手していたのはアマテス先輩とアリナリナ先輩。


「お疲れ様ゼフィルス君。いやなんというか、月並みの言葉だけど、すごかったね」


「ありがとうございます」


 ユーリ先輩も少し困ったような表情で近づいてきてそう言った。

 いやぁ参っちゃうぜ。


「スキルの威力が高すぎますね」


「それだけではなく全員がしっかり動けていた。動きが悪い人物が1人もいないのが素晴らしいのぅ」


 ソトナ先輩とバルガス先輩がこっそり会話していたが、さすがに聞き取れなかった。


 ボスを倒したら宝箱回、と行きたいがさすがに人前ではっちゃけるのはダメとシエラから事前に注意をもらっているので俺は参加不可。

 宝箱に参加不可ってどういうこと!?

 しかし、シエラからの許可は降りなかった。


「ゼフィルス、ダメよ」


「あい」


 分かっております。

 シエラは俺の身を案じて言ってくれているのだ。甘んじて受け入れるしかない。


「ゼフィルスお兄様、大丈夫なのです? 元気がないのならルルがお手々をすりすりして――あれ? シエラ?」


「大丈夫よルル。ゼフィルスにそれをしてしまうと元気になりすぎてしまうから、一緒に向こうへ行きましょうね」


 おう。ルルまで連れて行かれてしまった。


 仕方ないので俺はユーリ先輩の下に向かい、宝箱の方はニーコやカルアに任せた。

 見ない振り作戦だ。


「「「おお~!」」」


 だから歓声を上げるのやめて!? 俺、とても興味があります。


 ドロップしたのは〈銀箱〉だったようだ。

 しまった! 戦闘前に〈金箱〉が欲しいと叫び、シエラに否定気味なコメントをしてしまったことで物欲センサーかフラグが仕事してしまったのかもしれない。


 しかし中に入っていたのは〈『ゲスト』の腕輪〉だったようだ。

 なかなかのアイテム。

 まあ、すでに持っている物でよかったよ(?)。


「なかなかの当たりだね」


「〈エデン〉は運が良いわね」


「はは、ありがとうございます」


 アマテス先輩とソトナ先輩に羨ましそうに見られた。

 そういえば道中、〈キングアブソリュート〉は〈『ゲスト』の腕輪〉のレンタル代だけでとんでもない額を支払中と聞いたな。上級ダンジョンに連れて行くサポーターだけでもかなりの数だし仕方ない。

〈エデン〉ではあまり使わないが、使うこともあるのでこれは譲れない。

 そっと〈空間収納鞄(アイテムバッグ)〉に仕舞わせていただいた。


 それからショートカット転移陣を起動した俺たちは再び〈イブキ〉と〈馬車〉に乗って移動を開始。


 そして夕方には最下層へと到着することに成功したのだった。


「ほ、本当に最奥まで来ちゃったよ! それも午後だけでー!」


 おお~。アマテス先輩が良いリアクションだ。

 あまりの事態にテンションが上がってメーターを振りきったのだろう。よくあることだ。


 バルガス先輩とアリナリナ先輩は終始無言だったよ。バルガス先輩の方は糸目がたまに見開かれていたけどな。アリナリナ先輩は、なんだかうずうずしているようだ。おそらくボスと戦うのが楽しみなのだろう。分かる分かる。


「はは、まさか〈エデン〉が到着したその日に最奥へ到達か……」


「私、ちょっと目眩(めまい)がしてきました」


 ユーリ先輩とソトナ先輩が参っていたが、車酔いかな?

 少し休憩しよう。救済場所(セーフティエリア)だしな。


 セレスタンがすぐに準備してくれた。

 長テーブルを何個も出し、白のテーブルクロスを広げて雰囲気を出す。


 今回のティーは料理アイテムでは無い。ただのお茶だ。


「ふう。落ち着いてきました」


「それはよかったです」


 ソトナ先輩が紅茶を飲んで一息つくと、セレスタンが優雅に一礼しておかわりを差し出していた。


「なんだか改めて非常識を垣間見たよ。〈エデン〉って非常識って言われない?」


「言われていませんね」


「嘘だ~」


 なんだか力が抜けたようなアマテス先輩までそんなことを言うので俺は正直に答えてあげるのだ。

 だからシエラ、そんなジト目で見ないで……いや、見てもいいかな。ははは!


「こうして〈エデン〉の影響に周りが染まっていくんだね」


「ん? ニーコ何か言ったか?」


「いや……次のボスをどうしようかなと」


 そうだな。

 俺はユーリ先輩たちに〈霧ダン〉を攻略してもらいたい。

 ついでに俺たちも攻略しよう。ふはは!


 しかし、まずは〈霧ダン〉のボスをどうやってユーリ先輩たちが倒すのか、だな。

 ユーリ先輩にこの後のことを聞いてみる。


「そうだね。まずは僕たちのパーティで挑んでもいいかい?」


「もちろんです」


「ありがとう。では、お言葉に甘えさせてもらうね」


 百聞は一見にしかず。

 まずは見て経験してもらうのが良いだろう。

 俺からの提案はその後だ。


 すぐに準備して〈キングアブソリュート〉の第1陣パーティが門の前に立つ。

 全員が1度目で攻略してやるというやる気を感じさせる佇まいだ。なにか触発されることでもあったのかもしれない。


 そしてさすがはSランクギルドのトップランカーたち。

 迫力と雰囲気がある!


「では、先に入らせてもらうよ」


「「がんばってください!」」


 ユーリ先輩率いるパーティがボス部屋の扉へ進むのをラムダと一緒に応援しながら送り出す。

 5人がボス部屋に入ると、門がシンっと動かなくなった。

 中の様子は分からない。

 後は待つだけだな。


「セレスタン、おかわりを」


「畏まりました」


 そんな感じで俺たちが優雅に待っていると、20分後。

 突如扉が起動して5人の人間を放り出した。

 文字通りポイって感じに。


「はぁ、はぁ、はぁ―――負けたかー」


 ユーリ先輩が大の字に寝転がり荒い息をつきながらそう言った。

 どうやら負けたらしい。まあ、ここを初見で突破するのは難しいからな。

 それでもユーリ先輩たちのLVは〈嵐ダン〉でエリアボスを狩りまくった影響で25という限界まで育ててきている。

 それで負けたのだからここのボスはごり押しが通じない相手なのだ。

 さすがは最奥を守るボス。


「うがー! あの霧を充満させるのとヴァンパイアがウザすぎ!」


「あの〈ヴァンパイアバイカウント〉は54層で退(しりぞ)けた徘徊ボスでしょうか?」


「同じ個体かは分からないが、能力は下がっていたわい」


「斬った感触は少しこちらの方がダメージが伸びていた気はする」


 すぐに起き上がり意見交換している4人は、どうやら先に〈敗者のお部屋〉へ送られていたようだ。

 息を整えているユーリ先輩が最後まで残っていた様子だな。負けたみたいだが。

 すぐにラムダや〈先速のツヴァイ〉が駆け寄り復活系アイテム〈復活の秘薬〉を使用していた。


 あれは〈精霊樹の成樹〉からドロップした〈精霊の果実〉、それをハンナが加工して作って〈救護委員会〉に納品していたアイテムだ。

〈救護委員会〉と交換した〈精霊樹の成樹〉だったが、ちゃんと役立っている様子だ。

 復活アイテムを使ったのは時間があまりない現状、クールタイム節約のためだな。復活系の魔法はクールタイムが長いので連続で使用ができないんだ。


 ちなみに最奥のボスはヴァンパイアではない。

 しかし、最奥のボス戦に徘徊型の〈ヴァンパイアバイカウント〉が参戦してくる場合がある。

 つまり2体のボスと戦う必要があるのだ。

 ただ〈ヴァンパイアバイカウント〉は徘徊型ボスなので道中倒しておけば最奥のボス部屋に登場しない特性を持つが、大体の場合は逃がしてしまうので初見だとこうなるのだ。


 その〈ヴァンパイアバイカウント〉が徘徊型より弱いと感じるのは人数的なものだろう。複数パーティでやっていたからパワーアップ無しの〈ヴァンパイアバイカウント〉が弱く感じるのだ。さらに〈徘徊型ボス参戦現象〉はボスの能力を下げる性質もある。


 とはいえ2体だ。ボスが2体。

 1体でも強力なのに一つの部屋に2体のボスがいるのだ。しかもこちらは5人しか挑めない。非常に難易度が高いのが分かるだろう。


 これが〈霧ダン〉がそう簡単に攻略できない理由である。


 初級者はまずランク4で砂をゲットして徘徊型で襲ってくる〈ヴァンパイアバイカウント〉に使用し、霧化させず逃げられなくして撃破。その後最奥ボスに挑むのがセオリーだ。

 とはいえ倒せない敵ではないし、〈ヴァンパイアバイカウント〉はあくまで徘徊型のボス。一度倒されると翌日までリポップしないので最奥ボスの周回をすると登場しなくなる特性もある。


 つまり、強いのは最初だけだ。1周目は強いメンバーを固めていくべし。

 ということで、俺はユーリ先輩にこう提案してみた。


「ユーリ先輩。一度〈エデン〉とパーティメンバーをシャッフルしてみませんか?」


「なんだって?」


 俺の提案に〈キングアブソリュート〉のメンバーが目をパチクリする。

 パーティ編成はダンジョンの中では変えることができない。

 しかし、最奥のボスだけは入れるのが5人までなのでパーティという枠組みから解放されるのだ。要はボス部屋に入った5人が自動でパーティ扱いになる。


 これを利用し、異なるギルドからメンバーを出し合い、臨時でパーティを組んでボスへ挑むことができるんだ。


「ほら誰とボス倒しても攻略者の証をもらえますし、〈エデン〉の人材は強いですよぉ」


「そうだね。なるほど……それは良い経験になりそうだ」


 俺の提案にユーリ先輩が手を顎のところに置いて考える仕草をすると頷いてくれた。

 どうやら自分たちだけではボスの1体も倒せなかったことから様々な試行錯誤が必要だと見抜いたのだろう。ユーリ先輩は優秀だ。


「ではユーリ先輩、こっちは俺とシエラ、カルアを出すので、〈キングアブソリュート〉からはユーリ先輩とソトナ先輩が出てくれませんか? ソトナ先輩は対アンデッド魔法使えますよね?」


「え? ええ、使えます。ですが〈ヴァンパイアバイカウント〉にはあまり効いていませんでしたが」


「十分ですよ。撃ってほしい時は声をお掛けしますので。タンクはシエラに担当させてください。複数を相手取るのに長けています」


「ん」


「カルアも役に立ちますよ」


「わかった……。ゼフィルス君、いや〈エデン〉に、ボス攻略の応援を頼むよ」


 オーケーオーケー。

 ここのボスは強い。なにしろボス2体だからな。

 しかし、ちゃんと攻略の手順を踏めば問題無い。

 それを解明するのに〈キングアブソリュート〉だけでは時間が掛かりすぎるだろう。

 まかせろ!


 俺たちが1発で攻略してやるよ!





後書き失礼します。


昨日よりコミカライズが更新されます!

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コミックス版〈ダン活〉もよろしくお願いいたします!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[良い点] 言葉遣いこそ幼いけど基本礼儀正しいルルがシエラのことお姉ちゃんなどの敬称なしで呼ぶのすき。 対等の友人というか、幼なじみの気安さがあるよね 幼少シエラとルルがどんな風だったか見てみたいわ…
[一言] シエラさん!もっとこの勇者様を抑えて!
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