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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十章 〈学園出世大戦〉勃発、Aランク戦〈拠点落とし〉!

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#984〈表と裏の戦乱〉VS〈エデン〉――これが絶望だ。




 時間は少し巻戻る。

 ギルド〈表と裏の戦乱〉のギルドマスター、センウは必死に時間を稼いでいた。


「うおおお! ――『爆火炎付与』!」


「『氷室』!」


 相手が氷の箱を召喚して閉じ込めようとしてくるが、センウはその両手に1本ずつ持った斧にエンチャントを施して粉砕する。しかし、今ので〈火属性〉バフスキルが解けてしまった。MPも心許ない。だんだん焦りが大きくなる。


 相手はそんなセンウの焦りを見透かすかのように回復の隙を与えない怒濤の攻めを行なう。


「もう諦めなさい! 『(ひょう)氷柱(つらら)雨』!」


「ざっけんな! 『ブラストアックス』!」


 小さい氷柱の形をした雹が降り注ぐが、センウが火炎斧でなぎ払う。


 戦っているのは上級職、中の上、【業火双斧士】に就くセンウと、もう1人はギルド〈氷の城塞〉のギルドマスター、下級職、高の中【氷城主】に就くレイテルだった。

 上級職対下級職の戦いのはずだが、その戦いは互角。むしろ下級職であるはずのレイテルの方が押している。これは戦闘までの流れが起因していた。


〈表と裏の戦乱〉は備えで攻城兵器のアイテムをAランク戦に持ち込んでおり、〈氷の城塞〉を相手に特効を持っていたため攻めに出た。しかし、攻城兵器を天敵と分かって対策していた〈氷の城塞〉がこれを粉砕し、〈表と裏の戦乱〉は敗走。

 そのまま逆侵攻を受け、現在〈表と裏の戦乱〉の拠点近くで追ってきた〈氷の城塞〉と〈表と裏の戦乱〉が戦闘中だった。


「はっ! こんなところまで追って来やがって、城主さんが大事な拠点を守っていなくて良いのかよ!」


「問題ないわ。あなたの拠点を落とせば試合は終わるもの」


「そう簡単に落とさせるとは思わないことだ!」


 センウが2本の斧を交差し気炎を吐く。

 これはポーズだ。センウの狙いは時間稼ぎ。

 正直なところ、状況は不利だった。敗走からの逆侵攻で〈表と裏の戦乱〉はバラバラ。

 上級職であるハズのセンウが下級職を相手に押されている状況を見てもその押され具合が分かる。拠点が落ちるのも時間の問題だった。


 センウの最後の希望は時間を稼ぎ、〈サクセスブレーン〉または〈集え・テイマーサモナー〉からの援軍か、どこかのギルドの敗退による試合終了だった。

 だからこその時間稼ぎ。時間を稼ぎさえすれば事態は好転すると考えて踏ん張っていた。


 だが、応援は来ない。

 その代わりに、希望を絶望へクルッと変更する存在がやってきた。


「戦闘中ね! 私たちも混ぜてもらってもいいのかしら?」


「――は?」


 その声に振り返ったセンウは、自分が見ているものが信じられなかった。

 自分たちは南にある〈氷の城塞〉から逆侵攻を受けていたため、当然拠点の南側で撤退戦を繰り広げていた。


 そこへ自分たちの真後ろ、つまり〈表と裏の戦乱〉の拠点から〈エデン〉のメンバーがひょっこり現れていたからだ。

 今のはどう考えてもあの神々しい神聖な聖女服を着た王女様から発せられた台詞。


 センウからしたら必死に守っていた拠点が自分の知らないところでいつの間にか超強大な勢力にタッチダウンされていたような心境だ。

 サッと血の気が引くセンウ。


 Aランク戦は混戦を極め、現在11ギルドが退場。残り1ギルドが退場した瞬間試合終了となる。

 後もう少し、あとほんのちょっとでAランクに至れるのだ。

 ここで落とされてたまるか! そんな思いが格上の〈エデン〉メンバーへ挑む勇気を生んだ。


「うおおおお!! 全員拠点を守れーーー!! ユニークスキルを使え―――『パワーMAX・フルスイング・ファイアアックス』!」


 今まで相対していたレイテルに背を向け、メンバー全員に指示を出しながら、強力なユニークスキルで斧を強化しながら〈エデン〉へ挑むセンウ。

 数が残り10人に減ってしまった〈表と裏の戦乱〉も慌てて〈エデン〉へ向かう。


 レイテルは背を向けたセンウを討ち取るチャンスだが、動けない。


 急遽〈エデン〉と〈表と裏の戦乱〉の戦いが始まる。

 だが、それは戦いにもならなかった。ただの蹂躙だ。


「『古式精霊術』! 『大精霊降臨』! 『テネブレア』! テネブレア様、お願いいたします『テネブレア・ダウンダーク』!」


 まずはシェリアの召喚。召喚されたモンスターは術者から2マスまで減退なしで動くことが出来る。

 少女型の闇の大精霊、テネブレアはデバフ担当。スッと浮遊しながら滑らかに進んでマスを移動し、ガンガンデバフで相手の能力値を下げていく。テネブレアのスキル、『テネブレア・ダウンダーク』を使うのも忘れない。


 驚く相手に続いて行くのはメルトとミサト。


「呆けている場合では無いと知るのだな――『ドラゴン・ロア』!」


 疑似ドラゴンブレス。

 それはメルトが持っている両手杖〈竜杖〉のスキル。

 膨大な威力の攻撃が集まろうとしていた〈表と裏の戦乱〉の3人を巻き込んで吹き飛ばした。


「たはは~、私はこんなことも出来るんだよ~『マジックパフパフ』!」


 ミサトはこっちに攻撃を放とうとしていた1人に魔法を発動。

『マジックパフパフ』は、突然のパフパフ快楽を与える魔法。首の後ろなどにいきなりパフっとくるだけの魔法だ。なんの状態異常も与えないのでなぜこれが〈四ツリ〉? と思うかもしれないが、これを与えられた人の動きを見ればその威力が分かる。


「『フレアバースおっふ!?」


 相手の動きを止め、スキルを失敗(ファンブル)させてしまうのだ。

 これが『マジックパフパフ』の能力。

 突然のパフに魔法使い風の男子がビックリして魔法を途中で止めてしまう。


「むう。ちょっとタイミングが早かったかなぁ~」


 ミサトがぼやく。『マジックパフパフ』のすごいところは相手がスキル発動中に失敗(ファンブル)させるところにある。要は集中力を切って相手のスキルや魔法を消してしまうのだ。それがどんなに強力な攻撃であろうとも、である。そうすればMPも削れる上に攻撃も阻むことが出来、さらには隙を作り出すことも出来るのだ。強い。

 ただ気をしっかり持てば耐えられてしまうので奇襲や初見殺し系の技だ。


 今回は発動前に潰してしまったのでMPの消費もクールタイムも無し。すぐにやり直せてしまう。


「くそ! 『フレアバースト』!」


「『鏡の中の結界愛』!」


『鏡の中の結界愛』は、相手を囲うように鏡のドーム型結界を設置する魔法だ。

 この中で下手に遠距離攻撃を使うと、こうなる。


「ぶああああああ!?」


 ドーム状結界で囲っているので逃げ場無し。鏡はもちろん反射付き。

 ドーム状結界を粉砕出来なければそのまま跳ね返って自分に命中するエグい防御魔法だ。

 他にレグラム、オリヒメ、シズが周りの〈表と裏の戦乱〉メンバーを迎え撃つ。


 続いてルルやパメラが行く。


「とう!」


「行っくデース!」


「ぬぁに!?」


 ルルとパメラが相手にするのは、2本の斧を右に振りかぶった状態で駆けるセンウ。

 2対1。

 しかも、ルルとパメラは先ほど戦っていたレイテルとは格が違う。


「『ディストラクションブレイカー』! 『ジャスティスヒーローソード』なのです!」


「『真・お命頂戴』デース!」


「うおおおおおお!!」


 ルルの1回目のブレイク攻撃とセンウのユニークスキルが激突し、相殺。

 ほとんど間を置かずにルルの二撃目が発動してセンウを斬った。二回攻撃だ。

 さらにそこへパメラが対人特効のあるスキルで斬ったことで、VITに自信があったセンウのHPが4割まで削られてしまう。

 そこで終わればもう少し救いがあったかもしれないが、ダメージを負って目を見開いて驚くセンウの目に、10本の光の宝剣が飛んできていた。


 3対1だったようだ。


「あ」


 ズドドドドドン!

 光の宝剣が降り注いだ後にはセンウの姿は無かったのである。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] ぱふぱふは女子でも効くのかな?
[一言] 初見殺し対策のため 『マジックパフパフ』屋に通って対策する男子たちを想像したが・・・ これって色欲の四ツリだからミサト以外にはまだ居ないな。 となると、男性陣で訓練できるのは メルト…
[良い点] 『鏡の中の結界愛』はアレか、相手を「貴様は電子レンジの中に入れられたダイナマイトだ!」状態にしちゃうスキルか···。
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