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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十章 〈学園出世大戦〉勃発、Aランク戦〈拠点落とし〉!

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#980 防衛モンスターズVSマッスラーズ!




「「「うおおおおお!!」」」


 筋肉たちがダウンから立ち直って叫んだ。

 たった1回のダウン。しかし〈エデン〉の前でダウンとか致命的すぎた。

 魔王の前にひざまずいた塵芥のごとく、半数以上が退場させられてしまったのだから。


「マーーーッスル!!」


「「「マッスラーズ! マッスラーズ!」」」


「おお!?」


 いきなりのマッスラーズコールが響いた。

 スクラム状態で重なり合うようにして転倒していた筋肉たちが起き上がっていく。

 そして一番下にいた最後の男が立ち上がった。それはランドル。

 マッスラーズのギルドマスター。


「「「「おおおおお!」」」」


 筋肉たちから歓声が響いた。

 あの即死の嵐を受けてもランドルは無事だったか。

 おそらく重なり合うように倒れたことで筋肉たちに守られたのだろう。


「お前たちの筋肉、忘れはしない!」


「「「「おおおおおおお!!」」」」


 筋肉に助けられたランドルが決意の表情を浮かべて叫んでいた。

 同時に筋肉たちの歓声が響く。自分たちの筋肉でギルマスを助けられたと感動している者もいるようだ。

 生き残った8人の中にはアランもいる。

 先頭を走り、重なり合うように倒れた事で一番下になって、筋肉に守られて助かったのだろう。

 しかし他の外側を走っていた【鋼鉄筋戦士】の2人は退場している。


 一気に数の上で逆転し、〈筋肉ビルドローラー〉も破ったのだ。

 これの意味する所は大きいぞ。


「フラーミナ、タバサ先輩。行けるか?」


「もちろん!」


「いつでもいいわ」


 筋肉がダウンしている間、エリサ1人で相手をしているときに俺たちはただ眺めていたわけでは無い。

 ほんの少しのミスで起きてしまうようなデリケートな〈睡眠〉を操るために邪魔はしなかったが、ちゃんとみんな準備を進めていたのだ。


「防衛モンスター及び、召喚体を展開!」


「いっけーチーちゃん! ミーちゃん! リーちゃん!」


「『式神ノ参』! 『式神部分変化』! 『式神の武器』!」


 登場するのは様々なテイムモンスターや召喚体。

 フラーミナは『三体導入』の効果で3体のテイムモンスターが飛び出した。

 上級モンスターに進化した〈ウルトラモチッコ〉のチーちゃん。

 同じく上級モンスターの〈ツルギノニャイチ〉に進化した猫のミーちゃん。

 そしてお披露目、中級モンスターではあるが、〈四季の妖精ダンジョン〉の30層で守護型ボスをしていた〈ハイフェアリー〉のリーちゃんが登場したのである。


 それに続き、タバサ先輩の式神、つまりは鬼が召喚される。

 だがそれに付与スキルが与えられ、『式神部分変化LV10』を使われて巨大化。『式神の武器LV10』が使われ巨大金棒がその手に握られた。


 タバサ先輩の役割は広く、マッスラーズを召喚体で迎撃しながら〈サクセスブレーン〉と戦っているリカたちの回復も担当している。

〈テンプルセイバー〉に居たときはもっと複雑な戦場で何カ所も同時支援回復をしていたことも有りこれくらいはへっちゃらとタバサ先輩はおっしゃっていたよ。


「!! なんの、筋肉で粉砕してくれよう!」


「「「「おおおお!!」」」」


 筋肉の士気は衰えることを知らない。そこは素直にすげぇと思うぜ。

 筋肉が召喚体に殺到し、筋肉対モンスター戦が勃発した。

 もう〈筋肉ビルドローラー〉はさせない。


「防衛モンスター、召喚ですわ。行ってきなさいな」


 リーナの言葉に登場したのは1人の女性型モンスター。その後ろから4体の妖精が出てくる。


「『あら? 可愛くない子がたくさんいるわ』」


「『筋肉だー!』」


「『ダルマさんだー!』」


「『可愛くなーい!』」


「『近づきたくなーい!』」


 それは喋るモンスター。〈四季の妖精ダンジョン〉のレアボス。

 ――〈妖精女王:シーズン〉だ。

 先日レグラムチームが〈妖精女王〉狩りをしていた時にポロッと召喚盤が大当たりしたので使用中。レアボスなのでコストは92ととんでもない数値を誇るが、フラーミナの『コストを下げよLV5』のおかげで15%削減でコスト78に抑えられている。問題は無い。


 妖精を見た筋肉たちが「げぇ!?」みたいな表情を浮かべた。


「な、あれは、妖精だと!?」


「ええい、筋肉と妖精は相反するというのに!」


 アランの苦いセリフが聞こえた。筋肉と妖精にいったい何があったんだろう?


「『焦げちゃえ~』」


「『凍っちゃえ~』」


「『痺れちゃえ~』」


「『イタズラしちゃえ~』」


「ええいやめないか、この!」


「く、小さすぎて捉えられん!」


「降りてこい!」


 なるほど、筋肉に妖精は天敵の様子だ。

 空を飛び、体が小さい妖精が筋肉を翻弄していた。

 まさかのぶっ刺さりを見た。

 スキルが使えないと、こうなるのか。

 まるで飛んでいる蝶を手で捕まえようとしているかのようだ。


 だが、まだまだこれからだぜ。


「良い感じに混乱していますわね。次を出しますわ!」


「おう!」


 続いて1体の通常モンスターが登場する。

 実はこれ、例の〈捕獲召喚盤〉で捕まえ登録したモンスターなんだ。

 それは体長120センチくらい。全身滑らかなフォルムの人型で、ピンクのツインテールをしているものの、目には水晶が使われていて無機物というのが見て分かる。

 上級下位(ジョーカー)ランク6〈岩ダン〉で30層付近に登場する強力な状態異常を投げてくるモンスター。


 ――その名も〈チャームゴーレム〉。コストは30である。抑えて25。


「――――」


「か、可愛いらしいですわね」


「可愛い見た目に惑わさせるのがこいつの常套手段だからな」


 いったい何人の〈ダン活〉プレイヤーがこいつの捕獲を試みたか。

 そして返り討ちにあったプレイヤーは少なくは無い。


〈チャームゴーレム〉が使うのはその名の通り『魅了』だ。『魅了耐性貫通』も持っているため超厄介。

 魅了するには見た目が良くなくてはいけないということで可愛く作製された、ゴーレム界の人気ナンバーワン。

 ちょっと浮いていてクリオネっぽいポーズをしていて可愛いのだ。


〈チャームゴーレム〉はスッと〈防壁〉から降りると腕を前に出して、そのまま『魅了』の魔法を使う。


「うお!?」


「おおおおおお!?」


 戦っている数人が直撃を受けたが、〈オール耐性ポーション〉のおかげで大体はレジストされたようだ。

 しかし、中には貫通した者もいて。


「ああ、愛しの筋肉よ。どうして君はそんなにも俺を惹きつけるのだ?」


「おお筋肉よ。君はなんて美しい筋肉なんだ」


 と言いながらお互いをハグして大変なことになっていた。あそこは見てはいけない。


 観戦席から黄色い悲鳴が聞こえているが気にしてはいけないのだ。


「モチモチーー……」


「ああ!? チーちゃんが!?」


 そうこうしている間になんと〈ウルトラモチッコ〉のチーちゃんが退場してしまう。

 モチッコは打撃に弱い。斬撃にはめっぽう強いのだが、餅はつくもの、打撃は非常に有効だ。

〈ウルトラモチッコ〉には秘技(スキル)、『ウルトラモード』という巨大化&『怪獣キラー』の付いたスキルが備わっていたが、相手がランドル先輩となると分が悪かった模様。

〈ハイフェアリー〉のリーちゃんの回復も上回る速度でやられてしまっていた。


 もう1体の猫〈ツルギノニャイチ〉は〈猫侍のニャブシ〉から進化しただけあって侍型の和服二足歩行で、一本の刀で切り伏せる猫侍だ。

 しかし、筋肉を相手に大変苦戦している模様。STR型だからな。フラーミナは魔法型のモンスターをもっと増やさないといけない。

 フラーミナ自身が魔法型なので足りない要素を補っているのは分かるのだが、相手が筋肉の時、テイマーの強みが封じられてしまうぞ。


 タバサ先輩の鬼だが、こちらはいつの間にかアランとやり合っていた。

 振られる巨大金棒をアランが鋼鉄の筋肉で防ぐ。

 お返しとばかりに跳んで反撃すると、鬼が棍棒で防御。しかしその衝撃は凄まじく、ズザザザザと足が地面を引きずるほどだ。

 しかし、距離が空いたためまた棍棒の間合いで長さ5メートルを超える棍棒がアランを捉える。


〈妖精女王・シーズン〉の方はまさに筋肉特効だ。

 完全魔法型に加え空を飛んでいるために攻撃が掠りもしない。

 さらには『妖精のイタズラ』を始めとした状態異常攻撃を連発。いくらハンナ印の高品質〈オール耐性ポーション〉を飲んでいるとはいえ耐性は耐性。たまにレジストに失敗する。


〈オール耐性ポーション〉は効果時間10分。ハンナ印のポーションなら1本10万ミールで『状態異常耐性LV7』が付くだけなのだ。連発されればどれかは通ってしまう。


 筋肉が状態異常を負うとポーション類でしか回復出来ないので飲むために隙が出来てしまうのだ。そこへチビ妖精たちが群がってボッコボコにしていた。


 また、〈妖精女王・シーズン〉はレアボスだが、残念ながら『ユニークスキル』は使えない。あれは強すぎる上にレアボススキルなので封じられているのだ。

 まあ、封じられているのなら解放すればいいのだが。


 む、ランドル先輩の機転で妖精4体が一瞬で倒された。

 さすがだ。ランドル先輩を止めないと被害が増すなこりゃ。


 なら、次を投入だ。


「リーナ、あそこに送ってくれ、ランドル先輩を止めるぞ」


「わかりましたわ。さあ、大トリですわよ!」


 召喚盤の防衛モンスターがこれだけだと思った? 残念。まだある。

 現在フラーミナの『上限を上げよLV5』の効果で上限は230だ。

 そして『コストを下げよ』の効果で85%小数点切り捨ての数値でモンスターを召喚出来る。

 現在使っているのは〈ウルフ〉12体12P。〈妖精女王・シーズン〉78P。〈チャームゴーレム〉25P。計115P。まだ半分しか使っていない。


 ということで、大物を召喚してしまおう。

 リーナが召喚するのはついこの前まで周回しまくっていた上級ダンジョン最奥のボスから出た召喚盤。

 そこから登場するのは1体の怪獣だ。

 そう、上級下位(ジョーカー)のランク1、〈嵐ダン〉最奥のボス。

 コスト124。抑えて105P。


 ――〈暴風爬怪獣(はかいじゅう)・クジャ〉だ。


「ギャアアアアアアアオ!」


〈防壁〉を乗り越え、巨大な翼を広げて暴風をまき散らしながら、〈クジャ〉が筋肉たちの前にズドンと降り立った。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] ゲームでも人気だったらしいが現実になると尚更チャームゴーレムをテイムしたがるやつは多くいるだろうな。中にはチャームゴーレムを生涯の伴侶にするやつも出てきそうだ。現実ではロリに手を出したら捕ま…
[一言] >>〈防壁〉を乗り越え、巨大な翼を広げて暴風をまき散らしながら、〈クジャ〉が筋肉たちの前にズドンと降り立った。 なんつーことするんじゃ! ユーリ先輩が泡吹いて倒れるぞ!w
[良い点] クジャ対筋肉···筋肉も頑張ったが、さすがにこれは範○勇次郎vsオリ○みたいな結末になるか? [一言] ファイナルファンタジ○シリーズのリボンみたく、ゼフィルスが認知してないような新アイテ…
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