#920 上級職ランクアップ! フラーミナ編!
「じゃあ続いてフラーミナの番だな!」
「よろしくお願いします!」
元気良く片手を挙げるポーズを取るフラーミナに癒される。
やっぱロリって癒しだと思うんだ。
「おう! では早速発表しよう。フラーミナに就いてほしい職業は――七つの大罪の一つ【傲慢】だ」
「【傲慢】!?」
そう。「犬人」「狼人」カテゴリーの大罪系の一角――【傲慢】。
【犬力者】の上級職にしてテイマー系の能力を持つ大罪だ。
その罪は普通ならばその能力が何割かカットされて繰り出すボス級モンスターを、時間制限有りとはいえ本来の能力値で繰り出すことが出来る破格の能力にある。
本来ならば【テイマー】系がボスモンスターを所持している時、その能力はボス補正を受けていないため何割かがカットされる。カットされないままボスが繰り出されたらとんでもない事になるためバランス調整は必須だ。本来なら。
しかし、そこは大罪。そんなルールなんて破ってやる。そこに痺れる憧れる~。
レイド系モンスターを複数所持していたときなんてやっべぇことになるからな。
自分の所持モンスターに依存するとはいえ、所持モンスター次第では最強を名乗れる職業の一つだ。
さらに〈拠点落とし〉では防衛モンスターにも大罪が適用される。
〈拠点落とし〉のルールでは防衛モンスターは出せる質と数に制限が設けられている。
コスト100までとか、計10体までとかな。これも一部破ってしまう。コスト120とかにして、追加で召喚盤のコスト削減なんかまでしてしまう。結果強力なモンスターが増える。なんて罪深いんだ。
フラーミナには、是非【傲慢】に就いてほしい。
他にテイマー系だと【大群の犬力王】があるが、こっちはリーナと同じ司令官系。数は力だよを地で行く職業であり、こちらも十分強いものの、やっぱり俺的には量より質だと思うんだよ。
「ミサトと同じ大罪系なんて! それすっごく強いやつじゃないかな!?」
「すっごく強いやつさ! どうする?」
「もちろん決めたよ! 私、【傲慢】の職業に就きます!」
「よく言った!」
再び片手を挙げるポーズで主張するフラーミナに俺は拍手で歓迎した。
「ええ! フラウちゃんも大罪系になるの!?」
「すっご~い!」
「大罪系持ちが2人目って、やっぱり〈エデン〉ってとんでもないギルドだよね」
大罪系職業はこの世界でも有名な、貴族系で言えば伝説級の職業群に相当する。
専用の武器を持って〈上級転職〉することが条件の一つだと判明しているため、この世界では時々見かけることがあるが、どの大罪も最強格。
この学園にはミサトを除いて2人の大罪系持ちが所属しているが、2人とも二つ名が与えられる程の有名人だ。1人はSランクのサブマスター、そしてもう1人は新進気鋭のAランクギルドのギルドマスターという役職に付けるほどの職業である。
ミサトだけ役職を持たないヒラであるが、許してほしい。〈エデン〉には大罪系に負けず劣らず強力な職業持ちがたくさんいるのだ。
もちろんフラーミナもヒラである。これも仕方ない。
あと【傲慢】もどちらかと言えば大器晩成型だ。
【傲慢】が最強を語れるようになるのは最上級ボスまで手持ちを進化させたときだから仕方ない。その時が楽しみである。
おっと話が逸れたな。
「じゃあ、早速フラーミナには【傲慢】に就いてもらおうか。というわけでじゃじゃじゃん! 【傲慢】に就くための専用武器、〈狩猟解放杖〉だ!」
「わわ、とんでもない物が出てきちゃった!? というか〈エデン〉ってこれ持ってたんだ!?」
「持ってたのさ!」
俺は満を持してじゃじゃじゃんというテロップが付きそうな感じにそれを取り出した。
さすがにフラーミナはこの杖がなんなのか知っていた様子だ。
この杖は首領が狩猟を解放する杖だ。
ボスモンスター限定ではあるが、その力の解放を手助けするヤバい杖である。むしろ解放しちゃダメなやつである。
「じゃ、〈天罪の宝玉〉を使った後、それと〈上級転職チケット〉を持ってタッチしてみよう~」
「いつもながらゼフィルス君はとんでもないものをさらっと出すよね!?」
ふはは! フラーミナのツッコミが心地良い。
他にはフラーミナがボスモンスターを3体以上所持していることが条件になるのだが、〈バトルウルフ(第三形態)〉へと進化したウーちゃんルーちゃんフーちゃんのウールーフートリオを所持しているのでこれもクリアしている。
「じゅ、準備オーケー……?」
「良し、タッチだ!」
おっかなビックリで〈天罪の宝玉〉を使ったフラーミナが確認してきたので〈上級転職チケット〉を渡してゴーサインを出す。
「うん!」
ドキドキ緊張しているフラーミナがついに〈竜の像〉へタッチする。
するとジョブ一覧が現れ、【傲慢】の文字が輝いていた。
「やった! 私、【傲慢】の職業に就くよ!」
一瞬ではしゃいだフラーミナがテンション高めにタップすると、他の一覧がフェードアウトして【傲慢】だけが残り、フラーミナの上に輝いた。
そして起こる覚醒の光。フラーミナがフワッと浮き、周りを覚醒の光が包み込んだ。
「わ、わわわ!?」
「フラウちゃん!? これって何!?」
「これは多分アレだよ! アレアレ! すっごいやつ!」
「エミ、それでは伝わらないよ!? これはミサトちゃんが言っていた覚醒の光ってやつだと思うな」
「ユウカが正解だ。これこそあの伝説の覚醒の光だ」
「「「おお~!」」」
ノーカテゴリーでは覚醒の光は起こらないため普通は知らないらしいが、ミサトに教えてもらっていたようだな。ミサトは覚醒の光が起きたことを自慢していたからなぁ。
なお、滅多に見ることの出来ないはずの覚醒の光であるが〈エデン〉では普通に見られることは言わないでおいた。
淡い緑色の光に包まれ、少しだけ宙に浮いてあわあわしているフラーミナを4人で眺める。
「でもフラウちゃん綺麗~」
「うん! すっごく可愛――幻想的な光景だと思うな~」
「これは目に焼き付けないとね」
「うわ~、なんだか恥ずかしいよ~」
全員に見られて顔を赤くするフラーミナと目を輝かせる仲良し3人娘が印象的だった。
少しして徐々に光が収まると、フラーミナがゆっくりと地面に足を降ろす。
「うう~ん。まさか私が覚醒の光に選ばれるなんて、なんだかまだふわふわしてるよ~」
「良かったなフラーミナ」
「うん! 戻ったらカタリナやロゼたちに自慢してあげるんだよ!」
多分カタリナやロゼッタも覚醒の光に包まれるだろうがそれは言わないでおこう。
ということでフラーミナに賛辞を贈る。
「フラーミナ、これでフラーミナは大罪系の一角、【傲慢】の職業の覚醒者だ。おめでとう」
「「「おめでとうフラウちゃん!」」」
「うん! みんなありがとね!」




