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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第十九章 ランク6ダンジョン突入! 踏み込め、五段階目ツリー!

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#913 全メンバー集合! 上級ダンジョン見学会!




 上級の装備が出来上がって2陣、3陣の上級ダンジョン進出の準備が整ってきた。


〈アークアルカディア〉からの昇格組はまだ証も職業(ジョブ)LVも足りていないが、元々〈エデン〉にいたメンバーたちは大体が上級ダンジョンにすでに行ける状態だ。

 ということで、


「これからちょっと上級ダンジョンを覗きに行ってみるか!」


「「「「「ええーー!?」」」」」


 そういうことになった。



 思い立ったが吉日。

 今日は日曜日なので明日からは学校の授業だ。

 それも期末テストが再来週なので明日からはテスト期間に突入してしまう。

 テスト期間中はダンジョン入ダン不可になってしまうので、このままではテスト明け、つまり2週間後までダンジョンに行くのはお預けになってしまうのだ。


 しかもテスト明けは冬休み、つまりはギルドバトル〈拠点落とし〉が待っている。

 考えてみるとダンジョンに行ける時間は少ない。

 さらに問題なのが、今期のテストはいつもよりもハードなところだ。

 どういうことかというと、これは学園長のとある一言から始まった。


「前回は補習者が多かったからのう」


 学園長のこの一言で、赤点取ったら〈拠点落とし〉の参加は不可とすると決まったのだ。

 そんな通知が学園を震撼させた。絶対補習になるものか、そんな声を上げながら学生は勉学に一生懸命励んでいる。もし赤点保有者が出ればせっかくのチャンスをふいにしかねないと、猛烈に学生たちの焦りと意欲が湧き上げられているところだ。


 赤点を取れば〈拠点落とし〉は無しに加え補習が待っているため、冬休み中のダンジョンももちろん行くことは出来ない。恐ろしい。赤点恐ろしい。


 というわけで、これから勉強に次ぐ勉強、テスト対策が待っているのだ。

 テストの意欲を出してもらうことと気晴らしも兼ねて、上級ダンジョンをちょっとだけ体験させることにしたのだった。


「お、おいおいおい、あれって〈エデン〉一行ではないか!?」


「え、ええええ!? なになになんで!? 〈エデン〉って確か5人しかまだ上級に入っていなかったはずじゃ!」


「30人以上いるぞ!? ま、まさか全員で来たのか!?」


「ハンナ様もいる!?」


「おいおい、まさかなんだが、別の上級ダンジョンを攻略するつもりじゃないよな!?」


「な!? 二つ目だと!? いやいくらなんでもそれは、〈キングアブソリュート〉だってまだなんだぜ!?」


「だがあの大所帯で上級ダンジョンに挑むとすれば他に理由が……」


「〈エデン〉ってもう名声をほしいままにするくらい稼いでるからな! あれだけ有名なのに、まだ止まらないのか!?」


「いったいどこまで行く気なんだ〈エデン〉は……」


〈上下ダン〉に入ったところで上級生たちから一斉に注目されてひそひそされる。

 否、すでにざわめきだ。いつも5人で入るときはそうでもないのだが、今日はすごいな。

 まあ、それもそのはずで、カイリを除く全員で来たからである。


 実際入ダン条件を満たしているのはこの半分くらいしかいないが、元〈アークアルカディア〉組や生産組も行ってみたいとのことだったので、なら全員で行くことにした形だ。〈『ゲスト』の腕輪〉があれば全員入れるしな。


「すごいな。あれが噂の〈転移リング〉か」


「確か、上級ダンジョンでは〈転移水晶〉という転移アイテムがあるんだよね?」


 新しく〈アークアルカディア〉に入ったばかりの新参者であるラウとルキアも、初の〈上下ダン〉にはしゃいでいる様子だ。

 2人は先日加入したばかりで、今はメルトやセレスタンと交流しているようだ。俺も後でしっかりコミュニケーションを取っておかないとな。


「おや、またずいぶん大所帯で来たね」


「ケルばあさん! この人数の半分くらいの〈『ゲスト』の腕輪〉ってレンタルできますか?」


「あんたは運がいいねぇ。最近上級ダンジョンの需要が高まってるからね、ちょうどまとまった数があるよ」


「お! マジですか!」


「ただ、上級で取ってきた素材の幾分かを学園に納品してもらうことになるよ」


「それくらいお安いご用ですよ。じゃあ12個ほど貸してもらえますか?」


「あいよ、ちょっと待ってなねぇ」


 そう言って受付の奥に引っ込むケルばあさん。

 ダメ元で聞いたが、これはむっちゃラッキーだ。

 上級では『ゲスト』の上限はパーティと同じ人数までという決まりだ。5人パーティならゲストは5人までだな。なので、〈『ゲスト』の腕輪〉さえあれば全員を連れて行くことが出来る。


 今のところ〈エデン〉〈アークアルカディア〉の36人のメンバーの中で上級ダンジョンに入ダンできる基準をクリアしているのが、


 俺、シエラ、ラナ、エステル、カルア、リカ、ルル、シェリア、シズ、パメラ、リーナ、メルト、ミサト、アイギス、ノエル、ラクリッテ、レグラム、タバサ先輩、ニーコ、カイリ。

 計20人だ。なお、ここにはカイリだけいない。


 満たしていない16人中、俺たちは今まで4個の腕輪をゲットしているので12個をレンタルした形だ。


「ほい。待たせたね。〈『ゲスト』の腕輪〉12個、ちゃんと数えておくれよ」


「オーケー」


 腕輪を受け取り、それぞれまだ上級ダンジョンの基準を満たしていないメンバーたちに装備してもらう。


「気をつけて行っといで」


「大丈夫ですよ、今日は浅い階層にしか行きませんから」


 そう言って俺たちはケルばあさんに手を振って別れ、ランク3である〈山ダン〉へと入ダンしたのだった。


「ここが、上級ダンジョン!」


「うっわー、ひっろいなぁ。というか山デッカ!」


 まず第一声はハンナとアルルの生産組だった。

 キョロキョロ見渡し、大きな山々や壁のような断崖絶壁に圧倒されていた。


「みんな、あまり入口から離れるなよ! まずは索敵してからだ!」


「あい!」


 ルルの良い返事に癒しを感じる!


「ん、『ソニャー』!」


「安全を確保すればいいのデスね! ――『索敵』デース!」


「では西は私がやりましょう『索敵』!」


「私も! どれくらい索敵が出来るのか試してみたかったの! 南側は任せてね! 『ハミングサーチソナー』!」


「おーいそんなにやらなくても大丈夫だぞー?」


「みんな、はしゃいでるわね」


 カルアだけで索敵は十分なのだが、パメラ、シズと続き、ノエルまで加わって四方を索敵していた。

 みんなはしゃぎたい気分なんだな。隣のシエラがクスッと笑っていた。


「安全確認デース!」


「こっちはモンスターがいますね2グループです」


「こっちにも1グループいたよ~!」


「んじゃ、東に進もうか。足場が悪いからみんな十分に注意して歩いてくれ」


 次々上がってくる報告に苦笑しつつ、モンスターがいないというパメラのほうへ行くことにした。

 全員で少し移動する。

 道中、上級ダンジョンの歩き方をレクチャーしつつ、どこら辺に採集ポイントがあるのかなども教えながら進んだ。しっかり採集もしないとな!


「というわけで、ダンジョンギミックが弱い〈山ダン〉はこうやってみんなを見学させるのに便利なわけだ」


「なるほど、そうだったのか。いきなりランク3に潜るものだから何事かと思ったよ」


「はは、悪い悪い」


「いや、ゼフィルスはいつもギルドのことを考えている、そこに不満は無い」


 リカが疑問が解消できてすっきりという顔をしていた。

〈嵐ダン〉だと万が一突風が吹いてメンバーが吹き飛ばされたら危険なので、今日は〈山ダン〉を選んだわけだな。

 しかし、リカの信頼が思いのほか厚いな。


「ん、そう。敵があっちとあっちにいるときは、真ん中を通ると危険。どっちかと戦ったほうがいい」


「「なるほど」」


 カルアもいつの間にか斥候の先生役になってる。ラウとフラーミナがそれをしっかり聞いていた。ゲスト組は索敵を含め戦闘行為が一切出来ないため、しっかり見て聞いて覚えているようだ。


 各所でそんな光景が見られ、モンスターの〈トラキ〉の群れと遭遇した日には。


「わ、私がやってみていいですか!」


「私も戦ってみたーい!」


「俺も参戦しよう」


「ちょ、みなさん、せめてパーティ二つまでですよ!」


 とちょっとした争奪戦にも発展している。

 みんな上級モンスターに自分の腕がどれだけ通用するか見たいんだ。

 ラクリッテが盾担当で前へ出ると、ミサトがサポートしてメルトが魔法を打ち込んだ。

 そして恒例の〈トラキ〉の溜め、からの首から上が吹っ飛ぶと。


「「「「頭が吹っ飛んだーー!?」」」」


「あはははは!」


 と大合唱。俺もお腹を抱えて笑ってしまった。

 うむうむ、誰もが通る道なのだよ。

 みんな良いリアクションだぜ。


 そんなこんなありながら、とある開かれた空間に出ると、俺はそこで停止した。


「さて、この辺でいいだろう。実は今日、みんなに見せたい物があるんだ」


 良い機会なのでお見せしよう。

 上級の乗り物のお姿を。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
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