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四季サイコロ

作者: 若葉茂


 四季サイコロは永らく僕の想像の様式だった。正直なところ、ぼくは初恋に呼ばれることを望んでいたのである。その正四面体の透明なサイコロには、表に、「春のワルツ」、「夏の香り」、「秋の童話」、「冬のソナタ」というタイトルが、裏にそれぞれ「よ」、「だ」、「き」、「す」という一字の平仮名が書かれている。このサイコロをふりこ細工のように振ると、ぽろぽろと転がってゆき、初めて織り姫と彦星が別れあった日のように潤みを帯びる。

 ーー 数学に必要なのは、想像力と好奇心、そして情緒です ーー

 この日は、冬のソナタが出た。



 どうか美しい色の目で振り返って

 ここにいる私を見つけてください

 あなたの愛で私を奮い立たせてください

 ツバメを運ぶそよ風のように

 太陽のように

 嵐のように

 私たちをどうか遠くへ運んでください

 それでも私の初恋が

 また私を呼んだら

 どうしたらいい?


 ○ちゃん


 先輩の小説でも、中学生の小説でも、よいものには打たれる魂をもちたい、他人の中にある何物かに愕く心は自分に愕く心であり、他の発見は、自己の発見であり、他に感動しなくなれば自己の発見も終る、僕はかういふ信念を川端さんから学びとりました。-1947年12月25日清水基吉宛て書簡


 ぼくは、今、ツイッターのスワイプを終えてこれを書いています。○ちゃんのことは一つだけ分かりました。それは、それが大切なことなら何でも書き留めようとしていることです。いつか言の葉で部屋が潰れてしまう頃、部屋を音なうものがあるでしょう。それはノルウェージャンと名乗るはずです。そして脱いだ長靴を差し出します。○ちゃんはノルウェージャンと聞いてやっぱりノルウェージャンと思うので、怪訝な色を一つも浮かべず受け取るはずです。するとその長靴が圧しつけている言の葉を巻き上げてしまいます。恬淡とした部屋には、昇華した意識の上澄みの言の葉だけが残るはずです。○ちゃんは、不思議な長靴に、「この長靴は?」と問うはずです。しかし、ノルウェージャンはその長靴のふしぎには一切触れずにこう応えます。



「その長靴はカラバ公爵様のものです」と。


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