表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

青春前奏曲(プロローグ)

生温い風が吹き抜けていく、校舎のそばにある木にはまだ桜の花びらが色をつけていた。


入学式を終えて、慣れない匂いがまだ鼻に付く教室の扉を通り抜けたのは絵にいたような青空が広がる生温い日のことで、席に着く頃には大体予想してた通りのことが起きた。


山崎寅之烝(やまさきとらのじょう)12歳、新生活の始まりである。


クラスの出席番号は男女別に分かれていて、男子の最後の番号である19番の寅之烝はクラスの入り口から横4列目の先頭の席に座ることになり。背後には5人の女子が並んで座っていた。


「ただでさえ小学校の同級生が少ないのに、後ろが女子。右隣の男子の西村君はなんだか静かそうで、冴えない感じだし。左側は女子ばかり。そして極め付けは教卓の目の前。」


最悪の始まりだと思った。






中学校は丘の上にあってどこの窓から観ても街の景色が見下ろせた。


教室の窓から見える景色はどこまでも続いていて、グラウンドの先に、遠く離れたショッピングモール、その登場によって衰退してしまったシャッター商店街、電車が走り抜けていく景色、そしてその向こうには地平線まで見えた。


「この街ってこんな景色だったんだ。」と四階の校舎のベランダ越しに見える今までの人生を過ごして来たこの街の景色に見惚れていると担任の福井先生が大きな声で言った。


「そしたら今日からこのクラスで1年間!みんなで仲良くやっていきましょう!それじゃあ、また明日!さようなら!」


「仲良くってなんだよ?仲良くなれるようにしてくれるのか?こいつらと?」と思いながら真新しい大きめの学ランのポケットに両手を突っ込んだまま教室の扉を通り抜けた。


廊下側の窓からは校舎の向かいにある大きめの公園がすぐ下に見えて、その向こうに広がる街の景色。さらにその先にある大きな煙突とセメント工場。それらすべての先にはどこまでもどこまでも水平線が広がっていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ