#8 ホラーな登場
シャワールームで身体を洗い、お湯の溜め終わったお風呂に入る。
シャワールームとバスタブ、トイレが一緒になった部屋があるなんて、やっぱりこの寮は快適過ぎるな....。
今日あった事などを考えていたら意外と時間が経ったのか、体が暑くなってきた。
そろそろお風呂から出るか....。
お風呂から出て手洗い場の鏡の前で体を拭いているとふと、鏡に何かが写った気がした。
ん....?今鏡に大きな影が写った様な....。
静かな空間、そして気になった鏡。
1人でお風呂でこんな状態になると、とてもじゃないけど恐怖感を得てしまう。
よし、着替えてテレビでも観よう。
すぐさま着替えてリビングに早足で戻ってくる。
そしてリモコンを取りテレビをつけようと思ったその時、
テロリン!!
「うわ!!!」
「にゃ!?!?」
静かな部屋でいきなりスマホが通知音を鳴らした。
びっくりさせるには最適と言うかのような酷いタイミングだ。
で、それより気になったのが....
「今驚いた時、へんな声聞こえたよな....!」
俺以外の声....?
ちょっと待って怖い怖い!
ホラーだよもう!!
気のせいにしてはヤケにはっきりとしていたし!
周りを見渡しても誰もいない。
テレビ、スマホ、そして俺しか音の発生源はないはずだ....!
テロリン!!
(ビクッ)
また通知音が....。
コンビニの時もそうだけど、俺今日びっくりしてばっかりだな....。
スマホを手に取って見ると、LINEの通知が25件あった。
確認してみるとお母さんから1件。そして百井さんから24件だ。
どっちも15分程前。お風呂に入っていたから気が付かなかったのか。
それにしても24件って、百井さんどうかしたのか....?
メッセージを開いてみる。
『ご飯は食べ終わりましたか?』
『おーい』
『おーい』
『おーい』
『お風呂に入ってますか?』
『おーい』
『無視じゃないですよね』
『おーい』
こんな感じの文面がずっと続いていた。
これもまあまあホラー。
って言うより早く返信返さないと!
無視かと疑われたりしてるし!
『ごめんごめん。お風呂に入ってたんだ。』
これでよし....。
すこし落ち着いて座り込む。
スマホの音量、下げるか....。
スマホの音量を下げるため、ボタンを押してみると電源が消えてしまった。
画面が暗くなると俺の頭、そしてもう1人、顔が写った。
......!!!
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
凄い勢いで振り返り、バック!
そして目の前にいたのは....女の子!?!?!?
「だ、誰だ!!!!」
「ご、ごめんごめん!驚かせるつもりはなかったんだけどね」
いや!完全にホラー映画みたいな登場だったんだけど!
「まあまあ。とりあえず落ち着いて」
「は、はあ....」
落ち着いて、と言われて落ち着けるものではないが、ちょっと疲れて落ち着いてしまった。
テロリン!
「おぅわ!!」
「にゃ!!!」
またしても通知音でびっくりする。
目の前の子もびっくりした。
その声....さっきのはやっぱり君だったのか....。
テロリン!テロリン!テロリン!
めちゃくちゃ通知来るし確認したいな。
「すいません。ちょっといいですか」
「あ、はいどうぞ」
スマホを開いて見るとまた百井さんからのLINEだった
『やっぱりお風呂だったんですね!良かったー』
『少し声が聞こえたんですけど、どうかしました?』
『なんかありました?』
『大丈夫ですか?』
『おーい』
『おーい』
やっぱり声聞こえてたか....。
メッセージを打とうとしたらすぐにまたメッセージが来た。
『部屋、行きます』
えぇ!?
『いやいや大丈夫だよ!少し足をぶつけてね!心配かけてごめん!』
すぐにメッセージを返す。
『なんだー笑 立花くんに何かあったのかと思いました! 良かったー笑』
またすぐに返って来たメッセージは普通。
はぁ....。
「あのーー。そろそろ大丈夫?」
「え?あぁ。うん」
目の前にいる女の子が問いかけてきた。
よく見ると女の子には変なところがあった。
肩につかない程度に短く伸びた黒い髪。その上には何やら猫の耳の様なものが生えている....。
いわゆる猫耳というやつだ。
怪しい....。怪しすぎる。
「よし! じゃあ今から私が何故ここにいるのか、何者なのかを教えるから驚かず、焦らずに聞いてね!」
「お、おう」
そして突然仕切り出した女の子。
いったいなんなんだ....。