#6 視線
夜道は案外暗くなかった。
むしろ明るい位か....?
田舎育ちの俺には新鮮な風景だ。
街灯やお店が立ち並びその場を明るく照らしてくれている。
「いらっしゃいませー」
コンビニに到着。
視線はというと....まだ感じるな。
こういう物って1回気になり出したらずっとつきまとうようなものだ。
とりあえずご飯を決めよう。
ドリアやスパゲッティ、ハンバーガーなどコンビニの食べ物は豊富でどれにしようか悩む....。
「立花くん....?」
「うぉあ!?」
どれを食べようか悩んでいたら隣から百井さんが!!
視線とかに気を取られ過ぎて結構びっくりしてしまった。
「ご、ごめんなさい!驚かせてしまいました....」
「いやいや大丈夫だよ!百井さんも夜ご飯を買いに来たの?」
「そうなんです。ラーメン屋に入っていく生徒とかもいたんですけど、私はコンビニでいいかなって」
ラーメン屋か。なかにはそういう店に行く人もいるんだな。
「あ、あの....そういえばの話なんですけど....」
「ん?どうしたの?」
急に百井さんがオドオドとした喋り方で話出す。なんだろうか....。
「きょ、今日部屋に戻った後立花くんと連絡とれないと大変だなって思って....。LINE、交換しませんか....?」
あ、LINEの交換か。
確かにしておいた方が便利かもな。
「ああ、いいよ。やっぱり連絡取れた方がいいよね。あんまり考えてなかったよ。ありがとう」
「あ、ありがとうございます!どう言い出そうか悩んでたんですよ....」
ちょっと恥ずかしかったのか?
まあ、今日初めて会ったんだし当然といえば当然かもしれない。
百井さんと俺はスマートフォンを取り出しLINEを交換した。
ちなみに俺のLINEに交換した人はお母さん、お父さんに次いで百井さんが3人目だ。
「とりあえずご飯買おうか」
「そうですね。何にしようかな....」
2人で店内をうろちょろとして回る。
そして悩んだ末に俺はスパゲッティ、百井さんはサンドイッチとブリトーを夜ご飯として買った。
「ありがとうございましたー」
コンビニを出た時、視線を忘れていた事に気がついた。
さっきよりかは感じないな。ちょっとだけ見られてるかなーってくらいで。
百井さんと一緒にいる事で気が紛れるからかもしれない。
「よし。帰って食べよう」
「コンビニ、学校の近くで便利ですね」
「やっぱり都会は便利だと思う事が多いな」
「私もそれ思いましたよ。至る所にコンビニがありましたからね」
そんな話をしながら学校へと戻っていく。
視線の正体は掴めないままだ....。