初日の夜...
今俺は初めてのクエストに出発するためにカバリイの街の門の前に居る
そして
「なんであんたがいんのよ!」
「いいじゃない、中級モンスターの討伐クエストで近接職業の剣士と貧弱職業の自由職じゃ不安でしょ?だから後方職業の魔術師の私が着いて行ってあげるの...あと保護者としてw」
「余計なお世話っ!」
俺はサリアとマジョリーとクエストに向かうことになった
どうしてこうなったのか...
ー遡ること1ヶ月前
「あなた来たばかりでパーティメンバーとかいないでしょ!私がパーティに加えてあげるわ!」
「え?」
「お断りします」
「なんでよ!?」
だってそうじゃん!さっきあれ程俺がギルドに入るの嫌がってたやつがパーティに誘ってきたんだよ?そりゃ勿論お断りするだろ!
「私がパーティに誘ってあげてるのよ!ボソッ(別にさっきはちょっと言い過ぎたから仲良くしたいとかそんなんじゃない…)とにかく私のパーティに加わりなさい!」
途中ボソボソと何言ってるかわからないけど絶対に嫌だ!
「だいたいなんで俺がお前とパーティ組まなきゃいけないんだよ!」
「私はお前じゃなくてサリアよ!」
「じゃあサリアっ!なんで俺はサリアとパーティ組まなきゃいけないんですか?」
「それは...あんたが来たばかりだから寂しいと思って誘ってあげてるのよ!感謝しなさい!」
「余計なお世話だよ!」
やっぱり見た目通り気が強くて偉そうな女だな!
って言うか俺は今日転生されてモンスターに追いかけられてこいつを助けるために腕持ってかれて散々な目に会ったのにこんなやつと会話してたら疲労困憊になるわ!
「そういうことだから」
「ちょっとどこ行くのよ!」
「どこって今日はもう疲れたから部屋に帰って寝るんだよ」
「あ!そうよね...今日色々とあってあんたも疲れてるよねごめんなさい...じゃなくてちょっと待ちなさい!」
「あの〜マサカ様、その事なのですが...」
「「うわっ!」」
話しかけてきたのは受付嬢のお姉さんだった
急に横に立ってるもんだから俺もだけどサリアもビックリしちゃったじゃん!
「どうかしましたか?」
「あのですね...実は...」
-
夜も老けどんちゃん騒ぎをしていた酒場もすっかり静かになりもう人も数名しか残っていない中、俺は頭を抱えていた...なんと
寝るところがない!
お姉さんの話によるとギルドの個室は宿になっているためお金がかかるらしい
俺はてっきりギルドの人がサービスでご利用できる部屋だと思ってた
そして俺は1度個室を利用しているという扱いになってしまっているらしいのでその分の宿代を払わないとならないことになっている
しかし俺は今日転生された身であるため当然ながら一文無しである
「どうしよぅ〜」
「あなた!ちょっと聞いてるの!」
「まだ居たのかよ...」
俺が頭を抱えてる横でずっとこの女...サリアが話しかけてくる
「ミサさんが言ったいた事から察するにあなた寝るところがないみたいじゃない!」
ミサさん?
あーあの受付嬢のお姉さんの名前か
「煽ってんのか?」
「違っ...そうよ!悔しいかしら?まぁでも困ってるんだったら私がお金を貸してあげなくもないけど?」
「お前友達作るの下手だろ?」
「うるさいわねっ!!」
図星だな
でもそうだな...こいつからお金を借りて部屋を確保した方がいいのは事実
仕方がない、今日のところはお金を借りて後日返せば...
「お金...どうやって稼ぐんだ?」
「そんなの討伐ギルドなんだからクエスト受ければいいに決まってるじゃない」
「クエストなんてあるの?」
「あんたここをなんだと思ってるのよ!」
そりゃそうだ!ここギルドだしクエストの依頼とかあるに決まってますよねー
しかし討伐ギルドのクエストか...やっぱりモンスター討伐がメインのクエストが多いのかな?
「そういえば今日サリアが戦ってたドラゴニクスとかいうやつもクエストとかなのか?」
「そうよ!なのにあんたが割り込んで邪魔したんじゃない!」
「それはお前が危なかったから助けようとしたんじゃねーか!」
「余計なお世話よ!それに上級モンスターは本来4人パーティでやっと倒せるレベルなんだから私はあれでも善戦してた方なのよ!」
「それで死んだら意味ないだろ!」
やっぱりこいつムカつくなぁ!美少女を助けてこんな後悔するのは始めてだよ!
「本来4人で挑むんだったら即席でもいいからパーティ組むかどこかのパーティに入れて貰ってから挑めばよかっただろ?」
「うっ...」
サリアが一瞬固まったと思ったらめちゃくちゃ目が泳ぎ始めた
「それは...あれよ!そう!私が今どのくらいの実力が試したかっただけよ!決してパーティに誘った全員に断られたからとかそんなんじゃないんだら!」
「...ごめん」
「哀れまないでよっ!」
そっか、こいつそれほど友達作るのがド下手だとは思わなかった
しかしそうだなー
散々断ったが実際俺はお金が欲しいわけなんだし、クエストは基本的にパーティで挑むのがなんかセオリーらしいし、それにこのサリア・フォーン・なんちゃらさんは戦闘しているところを実際に見てだけあって強いのは確かなわけだらこいつとパーティを組むのはかなりありなのでは?
「あの〜サリアさん」
「なに?」
「俺とパーティを...」
「あの〜マサカ様、サリア様...」
「「うわっ!!」」
ビックリした〜!
後ろを振り返るとそこに居たのは受付嬢のミサさんだった
って言うかミサさん目の下にちょっとクマができてる、寝れてないのかな?
「どうかしましたか?」
「一晩中声を掛けようか迷っていたんですが...深夜の酒場はもう少しお静かにお願いします」
「あっ!すいません」
「ごめんなさい...」
「そしてもう朝です」
「「...」」
日が登り外はもう明るくなっていた
俺の異世界転生1日目は転生直後から散々な目に会い、挙句全く休めなかった
「そういえばマジョリー様からマサカ様のご宿泊の料金を預かっております...1週間分」
「それは早くに言って欲しかったです!!」
俺はそれを泊まるところがあることが分かり安心したのか急に眠くなった
サリアが何か言ってるけど眠過ぎてなんて言ってるのかわからない
多分クエストとかパーティとかのことなんだろうけど眠すぎる!また今度話すればいいじゃんと思い俺はフラフラと2階の個室に行った
それから俺は2日...3日くらい個室のベッドの上でぐーたらと寝て起きてを繰り返した
相当疲れてたんだな
この世界にはスマホもパソコンもないから起きたところで暇なんだよなー
そういえばサリアと話の途中だったしそろそろ酒場に下りることにした
酒場は祭りのように賑わっていた
普段でもこんな感じなのかよ
俺はサリアを探すために辺りを見渡すが見る限り姿は確認できない
と酒場のカウンター席にマジョリーの姿を発見した
「おはようマジョリー」
「やあ久しぶり...って程でもないねゆっくり出来たかな?」
「ゆっくりしすぎて3日も自堕落してました」
「見た感じ初日だったし仕方ないよ」
「?」
「いやなんでもない」
「そういえばマジョリー、聞きたいことがあるんだけど...」