トカゲとオッサンとトカゲと女の子
俺の名前は真坂祐介!ただ今絶賛モンスターに追いかけられてます!
「たーすーけーてー」
俺が叫んでる後ろでトカゲ型の巨大モンスターの群れが「グガガガガガガァー」と奇声をあげながら追いかけてくる
なんて言うかこいつら速い!そして俺は速さ変わってない!チート能力どこ行った!速さどころか身体能力すら変わってない!
バサつ
「え?」
羽生やしやがった!ありなの!しかも天使の翼みたいなやつ!
「「バサバサバサ」」
速い速い速い!食われる食われる!
刹那
後ろのモンスター達が一斉に何者かに斬られて行き飛んでいたモンスターが地面に落ち砂埃が舞う
これ知ってる!俺多分美少女に助けて貰ったパターンだよ!
全てのモンスターが倒されたのか砂埃が薄くなっていきその中から多分美少女であろう人影が姿を現す
「大丈夫だったか坊主!」
「オッサンじゃねーか!」
砂埃から出てきたのは日に焼けた黒い肌とつるっパゲの巨大な斧を持った屈強なオッサンだった
「何泣いてんだよそんなに怖かったのか?」
「期待してた展開と違すぎてちょっと悲しくなっただけです...」
「展開?よくわからんが無事でよかった!」
こんな展開あんまりじゃん!だってここは普通に考えて美少女に助けて貰って「大丈夫だった?」って声をかけてもらってその子と後々コンビを組んで恋が芽生えてってパターンじゃん!なのにオッサンだよ!そりゃ泣くでしょ?
というか泣いてる場合じゃない!
「オッサン...」
「ん?」
「ここどこなんですか?」
「どこって?そりゃカバリイ広野に決まってるじゃねーか!」
「カバリイ広野?」
詳しく聞いたところここはカバリイという街の付近にあるモンスターが多く生息している広野らしい
今の時期はちょうどあのエンジェリウスというかっこいい名前をしたあのトカゲ型の巨大モンスターの産卵の時期らしい
知らねーよ!俺今来たばかりなんだよ!
と思ったが一応助けて貰ったのでお礼は言っておく
「助けてくれてありがとうございます!俺 真坂祐介といいます」
「いいってことよ!俺はエリンギ!カバリイの街にあるギルドで狩人してんだ」
変な名前!じゃなかった。ギルド!ハンター!早々に異世界っぽい!多分そのカバリイって所に行けばギルドに入れるんだろう
「あの〜...」
「どうした坊主?」
「カバリイの街はどっちの方に行けばいいんですかね?」
「坊主カバリイの街に行くのか!丁度俺も帰るところだったんだ!一緒に行こうや」
ナイスタイミング!これで迷うことなく街にたどり着く
俺とエリンギのオッサンはエンジェリウスの死体を後にカバリイの街に向かった
「マサカっつったっけか?お前さんどうしてカバリイの街に行くんだ?」
「ギルドに入りたいなーって思ったからです」
「じゃあなんで広野にいたんだよw」
ごもっともだわ!オッサンにしてみればただ俺が広野で道に迷ってただけにしか思えないのだろう
違うんだよ!転生して目が覚めたらあそこにいたんだよ!
なんて言えないよなー普通
そんなことを思いながら歩いていると
「見ろ坊主あれがカバリイの街だ」
「おぉ!」
多分距離的には結構あるであろう先にはデカい街が見えてきた
あの街から俺は冒険者になって英雄伝説が始まるのだろうと期待を膨らませながら街を眺めていると
ドォーンという音が広い広野に響き渡った
「誰かが近場でモンスターでも狩ってるのか?おい坊主!お前は先に街に行ってろ」
「オッサンはどうするんだ!?」
「ちょっくら支援に行ってくるわ」
「それだったら俺も行きます」
「はぁ?」
オッサンは俺の言葉に困惑していた
何せ丸腰の俺が戦場に行こって言うんだ!困惑するのも無理はないが...俺も俺でそろそろ自分の能力を確かめてみたい気もある
オッサンは少し考えたが
「死んでも知らねーぞ」
と俺の同行を許してくれた
俺はすかさず返答する
「そのつもりです」
そして俺とオッサンは音がした方に向かった
そこにいたのは見るからにドラゴンみたいなモンスターとそいつに応戦している女の子だった
「オッサン!あれはドラゴン?」
「あれはドラゴニクスだな!ドラゴンに見えるがドラゴンに1番近いトカゲ型のモンスターだ」
知らねーよ!俺からしてみればさっきのエンジェリウスの方がドラゴンっぽかったわ!
「見ろよあの嬢ちゃん!そろそろやばいんじゃないか!?」
確かにやばそうだな...
ツンとした目に赤い髪の毛をなびかせながら険しい顔をして...ん?
俺は知ってるぞ...多分あれだ。
あの女の子は気の強いタイプかもしくはツンデレタイプだ!助けた時には相当罵倒されるはずだ!声優を付けるとしたら多分釘◯さんが声を当てるタイプのやつだ!
そんなことを考えながら俺はオッサンの肩に手を置いた
「オッサン...助けなくていいんじゃないですか?」
「坊主鬼畜生か!」
「いや多分あの子1人で倒しますよ」
多分テンプレ的にああいうタイプはとにかく強いのが一般的だ
そう思っていたが予想外なことにそういう訳には行かなかった
ドラゴニクスというモンスターは予想以上に強く女の子が持っていた剣が当たり負けをして弾かれてしまった
「おいおい!さすがにまずいんじゃないか!」
「オッサン!」
オッサンは斧を両手にドラゴニクス一直線に走り出して行った
「このエリンギ!駆け出しではあるがやる時はやる男だ!」
マジか!オッサン駆け出しの狩人だったのかよ!
まぁ駆け出し狩人がドラゴンに最も近いと呼ばれるモンスターに勝てるわけもなくあっさり吹っ飛ばされていく
「オッサン!」
オッサンが吹っ飛ばされたあとドラゴニクスは女の子の方に向かって大きく口を開けて迫っていく
「...あー!もうどうにでもなれー!」
俺は女の子の方に走っていった
俺にはチート能力がある!多分ドラゴンニクスに勝てる力を持っているに違いない!
「止まれこのトカゲ野郎ー!」
俺は女の子を庇うようにドラゴニクスの口の前に行く
グジャッ
「え?」
右腕が持っていかれてしまった
俺はここで意識を失った