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客観的に見た自分。

頼んだ料理をゆっくりといただきながら、それとなく百合を観察する。

会話を聞き取ることはできないためわからないが、

なんとかスタッフに聞いて料理を注文したようだった。

席に座って待つよう言われたのだろう

きょろきょろとして席を探しているようだ。

途中私の方を見てきたけれど目をそらした。


こちらへ来てしまったらどうしようかと思ったが、一瞬目があってのをおもいっきりそらしたのもあってか、それで私の方に来てはいけないと判断したのだろう。

悲しそうにしていて本当に申し訳なかったけど、これもお互いのためである。

百合は迷った末に適当に空いている席に落ち着いた。


私は食べ終わったあとも少しだけゆっくりして百合の様子を観察した。

もちろんわからないようにさりげなく。

頼んだのはオムライスのようだ。

私が食べようと思ったら自分で作るしかないメニューだ。

ちょっとだけ羨ましい。

高級店の無駄にこだわったやつなら外でも食べられるけど。

たしかに美味しいのだけれど食べた気はしない。


オムライスの食べ方のマナーなんてそんな大したものはないけれど、百合はおおむね綺麗に食べていると言えるだろう。

これがナイフとフォークを使ってコース料理を食べるとなるとどうなるかはわからないけれど。

学園の食堂でコース料理を食べることなどないからあれなら大丈夫だろうと判断して、私は食堂をあとにした。


部屋に戻って鍵をかけてため息を吐く。

心が痛い。

悩んでも仕方ないのでお風呂の準備をする。

お風呂はもちろん各部屋についているので、スッピンを他の生徒に見られる心配はない。

沸かしている間に軽くメイクを落とす。

それだけでも少しさっぱりとした気持ちになる。


お風呂に入って寝間着である上下スウェットに着替えてソファーでくつろぐ。

スマホを見ると新しいメッセージが届いている。

それは百合からで、内容は

「神宮寺麗香さんについて教えて下さい」

だった。


難しい質問だった。

本来の私はこの通りお嬢様らしくない。

でもそれは完璧に隠している。

お嬢様らしく見えるように外面は取り繕っている。

その取り繕っているつもりの外面を説明すればいいのだろうか?

でも受ける印象は人それぞれで、私のことを他の人たちが実際はどう思っているのかわからない。

取り巻きたちだって好意があってよって来ているのかわかったものではないし。

そういう振る舞いを求められたからそうしてきたけど、関わりのない人からしたら良い印象はないかもしれない。


今日だってさっき百合に冷たくしてしまった。

この返事でフォローすることもできるかもしれないが、麗香と関わりのない友美がフォローするのは不自然な気がする。


高飛車な振る舞いとお嬢様らしい言葉遣い。

庶民を見下すような態度をとることもある。

西園寺隆臣の婚約者で、彼に近づく者には容赦しないという噂。


悩んだ末になんだかゲームのキャラクター紹介のような説明になってしまう。

読み返して自分のことながら関わりたくねぇと思う。

そう考えると百合はよく私に話しかけたなと思う。

まだよく知らないというのもあるだろうから、これで明日から麗香に関わることはないだろう。


百合が隆臣の攻略にのりださないかぎり。


それだけが不安だ。

私としては二人にひっついて貰って二人はハッピーエンド、私は婚約破棄で自由の身になるっていうWinWinの状態になるのがありがたくはあるが。

どのルートに進むかは百合次第だし、そもそもゲームと違って攻略キャラ以外と恋愛したってかまわないのだ。


悩んでること考えたこと全部話してすっきりしたい。

私はある人物に連絡をとった。

明日会いに行く約束を取り付けてホッとする。


目覚ましをセットしてベッドに入る。

明日の朝食は食堂だから早く起きなくてはならない。

明日は食材の調達もしなければならない。



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