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強制連行。

翌日朝起きていつも通り朝の支度をすませて寮をでた。


そこで待ち構えていた車に有無をいわさず乗せられて連れていかれる。

特に縛られたりとか拘束されているわけではないので、ため息を吐きながら百合と隆臣、翼ちゃんと由森にメールを送る。

ちょっと考えてから綾斗にも送った。


なんでこんなに落ち着いているのかっていうと、この車が実家の車で、迎えに来たのは昔から我が家で執事として働いてくれている人と、お抱えの運転手だったからだ。

逃げたってあとで捕まるので大人しく乗っておいたほうがいいのだ。

なんせ中学のとき同じように迎えにこられて拒否して逃げたらサングラスに追いかけられてマジびびりした。


なんでこんな急に迎えをよこしたのかわからない。婚約破棄のことについてだろうか?母親は最後までぐだぐだ言っていたものの、相手があることなので、どうしようもないのと渋々納得したはずだ。


ではなんだろうか?この間ブチキレた時のお嬢様らしからぬ振る舞いや言葉使いをチクられたにしては、対応が遅い気もする。最近になって話しただけかもしれないけれど。黙ってようと思ったけど腹立つから腹いせとかで。

私が親にそのへん厳しく言われているのはだいたいの人が知っているからね。中学のときに連れて帰られたのが少しだけ噂になったのだ。


何を言われても落ち着いていられるように、あらゆる想定をしておく。

へたをすれば家から出してもらえなくなるかもしれないのだ。実際に中学のときは一週間ほど軟禁されて、お嬢様とはどうあるべきかというのをみっちりと教育された。

ほとんどどうでもいいことだった。


髪型やメイクだってそうだ。ネイルはゲームがやりにくくなるからなんとか言いくるめて、手入れをするだけにとどめているが、ほぼすべて母親の指示である。別にこだわりはないから髪型とかはいいんだけど、少しでも崩れると小言を言われるのでちょっとうざい。


特に前世の庶民の記憶を思い出した今、より価値観があわなくなってしまったので、辛いところだ。

反抗したら泣くし。


いろいろと考えていたら家についていた。車の扉を開けられて、仕方なく降りて玄関へ向かう。憂鬱な気持ちで玄関の扉を開ける。



「あっおかえり」


扉を開けたところで私は固まってしまった。そこにいることがありえない人物が立っていたからだ。


「お…お兄様?」


そう神宮寺家の長男であり、私の兄である神宮寺麗一であった。

この兄は自由人である。世間の目や両親の言葉をものともせず、高校生の途中で家出をして強者である。しかも少ししたら帰ってくるとかではなく、家出先で金を稼いで自立するということをやらかしたため、まったく帰ってこなくて、両親が私の時のように迎えに行ったのだが、逃げ切られて諦めていた。

それからまったくこの家には帰ってこなかったというのに、なんで急に帰っているんだろう?どういう風のふきまわしだろうか。


兄の外見は一言で言うならチャラ男だ。茶髪にピアスにサングラス。へらへらとした笑みを浮かべながら、何やら手に持ったものを食べている。そんなことをしていたら母親が激怒しそうだが、兄のことは諦めているから無視なのかもしれない。

こんななのに実は以外と真面目だったりする。高校中退になったあと、ちゃんと高卒の資格とったりしてるし。


私は兄のことは嫌いではない、むしろちょっと尊敬してる。それでいてちょっと恨んでもいる。兄が家出をしたおかげて、母親の私に対する執着が強くなったから。まあそのお詫びはゲームで返してもらってますけどね。

ぶっちゃけオンラインゲームで一緒に遊ぶ仲なのだ。

クリスマスのリア充爆破会にも一緒に参加してた。

オンラインだと性別逆なのが受ける。なんだかんだ似たもの兄妹なので、わりと仲がいいほうだと思う。


「うわっ久しぶりに聞いたそれ」


ゲームでチャットする時はお兄だの兄貴だの言ってるからな。


「なんで帰って?」


「まあちょっと思うところあって?お前婚約破棄したらしいじゃん?教えろよお兄様にも」


そういえば言ってなかった。じゃあなんで知ってるんだこの人。両親が話すとも思えないんだけど。


「ああうんまあね。しばらくいるの?」


「一応そのつもり」


「ふーん」


玄関で話してても仕方ないので、私はいったん部屋に向かうことにして、兄と別れた。

しかし兄が行儀悪くも立ちながら食べていたお菓子に見覚えがあるんだけど、どこで見たか思い出せない。


久しぶりといっても正月に帰ってきていたから、そうでもない実家の自分の部屋に入る。とりあえず連れて帰ってこられたけど、特にあとは何も言われてないので、いずれ呼び出されるだろうと思う。

なんにせよ着ていても仕方ない制服を着替える。


部屋着になると少しホッとする。


そのままお昼までは何もなく時間が過ぎていった。

携帯を確認すると、心配をする内容のメールが届いていたが、大丈夫だと返しておいた。


寮まで迎えにも来てくれた執事さんが、昼食の用意ができたと呼びに来る。ダイニングに入ってげんなりする。母親と兄が喧嘩、というよりも母親が兄にひたすら苦言をていしている。

兄は全部受け流しているけれど。


しれっとした顔で私が席につくと昼食がはじまった。

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