恋ってなんですかぁ!?
なんというかめんどうくさがらずにちゃんと話せばいろいろ変わったんだろうなぁと思う。
両親が聞く耳持たない人だったから話す前から諦める癖がついちゃったのかもしれない。
頑固な家系だからなぁ。
というか綾斗がなんでそんなに私のことを気にしてくれたのかわからないけど、つい最近とかここ一年とかですらない前から私のことを知っていたのが一番びっくりである。
ちゃんと真面目に返事を返したいのだけど。
ぶっちゃけ自分の気持ちがわからない。
混乱の原因はここにある。
「麗香が混乱したのは自分の気持ちがわからなくてかな?」
「うん。好きか嫌いかで言えば好きだよ。でも恋愛の好きはまた違うでしょ?」
「うん、そうだね」
「私はずっと自分は恋はしないって思ってたから。わかんなくて。今までは口説かれてもあしらってたし、あんな壁ドンされるほど近寄られたこともなかったし何も考えられなくなっちゃって」
「うん。綾斗くんもなかなかやるなぁ」
百合はのほほんと言う。いや本当にそれ。あんなタイプとは思わなかった。あーー思い出したら恥ずかしくなってきた!
「あんなにドキドキしたのは初めてで、落ち着いてから考えたらこれが恋なのかも?って思ったけどわかんないし」
人の恋愛話とか聞いたり、恋愛メインの少女漫画とか読んだことはあるけど、自分に当てはまる気がしないわけで。
漫画だとカッコよくて優しくってとか、ぶっきらぼうだけど、いざというときは助けてくれたり、そういったエピソードがあって、女の子が男の子に恋をする描写とかあるけど、あくまで漫画だし。
友達とかの恋愛話はリアルすぎて逆にねぇ?
前世の記憶もあって恋愛に夢も希望もなかったんだけどね。
出会いもなかったしね。
「恋の感覚っていうか定義もよくわからないし」
「うーん。それは確かに難しいなぁ人それぞれ違うだろうし」
「ちなみに百合はどうなの?」
ゲームでは百合の心情は特に語られない。好きだと告白するセリフがあったとしても、そこまで細かい心情の描写はなかった。と思う。
ゲームの百合はつまりはプレイヤーだからね。操作する人次第で印象もかわる。設定上は清楚で明るく真面目な子だけどね。
「私はねぇ、実は隆臣くん最初の印象はよくなかったの。えらそうな人だなぁって」
百合が笑いながら話す。まあですよねーって感じだ。隆臣もあれは猫かぶりだったんだろうな。回りの女の子たちがそういう振る舞いを求めていたから、その期待に答えただけって感じ?
「でもね、何回か会って普通に話すようになったら、この人真面目な人なんだってわかって、見た目とのギャップに最初はやられた感じかなぁ」
ギャップ萌えかなるほど。わからなくもない。
あれだ不良少年が雨の日に子犬拾うやつだろ?
「それからそばにいて支えたいって思うようになったの」
それは百合だからだろうな。私だったらお前偉いな頑張れぐらいにしか思わないと思う。
「人によったらそばにいると落ち着くとか、一緒にいると楽しいとか、極端な話カッコいいからだけだったり。好きな理由なんてそんなもんだよ。以外と皆本当の意味では説明できないんじゃないかな」
「そんなもん?」
「うん。返事に困るんだったら正直に言えばいいと思うよ。それで最終的にふることになっても、それは綾斗くんの頑張りが足りなかったってことね」
百合はふふっと笑う。
ふることにはならなさそうだなぁと思う時点で答えは出ているような気もするけど。今日一日はゆっくり考えたいと思う。
自由になりたくて婚約破棄したのに、別の人と付き合い始めるってどうなんだ?と思わなくもないけどね。まあでもほら綾斗は束縛はしなさそうだし?好きになったものはしょうがないといいますか。
っていうか私今普通に綾斗のこと好きな人で認識してたわ。
何て言うかもうずっと前から答えは出てたんだよね。
恋はしませんって宣言してたっていうのと罪悪感で認めたくなかっただけでさぁ。
私も綾斗が好きって言ったらどうなるんだろう?
綾斗はどんな反応をするんだろうか。
考えただけでドキドキする。
今日なんて告白するために壁ドンなんてものをされたのだ。
果たしてどんなイベントが待っていることか!
その夜私はそんなことを考えて、ベッドの上で悶えていた。
明日だ、明日になったら綾斗に気持ちを伝えに行かなきゃ。
ふわふわそわそわした気持ち。
完全に浮かれていたその気持ちが沈む。
大変なことを思い出した。
あの両親が許すのかという問題だった。
あの人たちはどうでもいいことを気にする。
家柄だったり身分だったりってどっちも同じようなものだわ。
綾斗の実家がどんなところか知らないけれど、そこそこいいところじゃないと文句を言われそうだ。
だからってはいそうですか、で諦めるつもりは微塵もないけれど。
あとは綾斗の将来の仕事とその収入だ。
母親は金は男が稼いでくるものだと思っている。
もし綾斗が画家になるとして、その収入が不安定と思われる職業に、果たしてどう思うのかというところ。
私個人としては、綾斗が画家になりたいなら応援するし、なれると思う。とはいえ稼ぐとなると難しい可能性もあるだろうけど、そこはそれ私が稼げば問題ないじゃない?って思ってる。
両親とも私のことを思ってくれているのはわかるんだけど、価値観が違うものだから困るのだ。押し付けないでほしいというのが本音である。
未成年である今、反抗することに少し躊躇してしまう。
まあ躊躇せず家出できる人もいるだろうけどね。
私はちょっと無理だった。
明日はそのへんも含めて話さなくてはならない。
明日に話すことを脳内でまとめながらその日は眠りについた。




