メリーメリークリスマス。
無事にテストを終えればクリスマス!そして冬休み。
メリークリスマスって言うけどメリーって何よ?羊?
まあどうでもいいわ。
百合からクリスマスは隆臣と過ごすのだと聞いた。
嬉しいけど本当にいいのだろうかと悩む百合に、いいんだよー楽しんでね!と背中を押してやった。
どんなデートするのか気になるところだが、こっそりついていくのも野暮というものだろう。邪魔はしたくない。それに私は私で楽しむのだ。
ぼっちだけどね!
それというのも言わずもがな百合は隆臣とデート。
翼ちゃんは実家のパーティーに参加しなくてはならないという。
由森は普通の一般家庭なので当初は特に予定もなかったのだが、まさかの生徒会長からのお誘いがあったらしい。あわあわしていた。
毎年会長の家でやっているパーティーらしく、堅苦しいものではないから大丈夫だと言われたけれど、マナーとかよくわからないと泣きついてきた由森に最低限のマナーだけ教え込んでやった。
いつもいろいろ教えてくれるお礼になればいいのだけど。
私はどうせ暇だし、困ったら連絡してと伝えてある。
ちなみに服装に関しては翼ちゃんと二人で由森を着せ替え人形にしてこだわりにこだわり抜いたコーディネートとなっている。
楽しかった。
うまくいけばいいのにと思っている。
私の実家の方は、これまたデートだと言っておけば煩わしいパーティーなどに呼ばれなくてすむ。
去年までは毎年くそつまらないパーティーに付き合わされたものだけど今年は違う。一人だけど自由だ。
昼間は寮の部屋でゴロゴロしながらゲームをしていた。時々翼ちゃんや由森からくる実況メールを見て返信したり、リア充爆破会とかいうオンラインゲームでの集まりに参加したりして楽しんでいた。
夕方をすぎて食堂が夕食で賑わう頃に、私は寮を抜け出た。
そろそろ値段が下がっていそうなケーキを買いにいくのだ。
なまものだから売り切らないといけないケーキは、閉店時間が近づくと値段が安くなる。今日はクリスマス普段とは少し違うかもしれないが、安くなっていたら買おうかなと思っている。
本当はチキンも欲しいところだが、それは贅沢というものだ。
すれ違う人々を観察しながら道を歩く。いつもと変わらない感じで家路に急ぐもの、今日は特別といった感じでお土産らしき包みをかかえて歩くもの。もちろんベッタリとひっついて歩くカップルの姿も見られた。
羨ましいかと問われれば、どうてもいいと思うが、場合によっては少し目障りだとは思う。特に何も言わないけどね。
目的のケーキ屋さんについたが、なかなかの列ができていた。
クリスマス用のケーキの列は別にあるようだが、ワンホールはいらないけれどケーキは欲しいと考える人の行動がかぶってしまったようだ。
ならんでもいいのだが、時間がかかりそうだ。
適当にぶらついて時間を潰してから改めて様子を見に来ようと思い、そのあたりをうろうろする。イルミネーションが綺麗な方へふらふらと歩いていくと、大きなツリーがあった。適当に写真をとって翼ちゃんと由森に送る。ふと顔をあげたらまわりはカップルだらけだった。
あらやだ私が寂しい子みたいじゃない?
カップルの女の視線が可哀想なものを見る目で腹立つ。
クリスマスツリーはお前らバカップルのためだけのものじゃねぇんだよ。ぼっちで見てもいいんだよ。
とはいえやっぱり居心地は悪い。待ち合わせのふりをしてもいいけど、やる気のない服装でバレバレであろう。仁王立ちしてるしな。
「友美?」
ふいに後ろから声をかけられる。
一瞬反応できなくて慌てて振り向くと、そこには何故か綾斗が立っていた。
「あっ綾斗?なんで?」
私服の綾斗がカッコいい!!
もしかしてこれは見ることの叶わなかった綾斗ルートでのクリスマスデートの服装なのでしょうか?眼福です。
「ケーキ買いに来てたんだけど友美を見かけたから」
なんてことでしょう!こんな人混みの中から私を見つけてくれるなんて感激過ぎる!この私のやる気のない服装が残念でならない。
「そうなんだ?私もケーキ買いに出たんだけど列がスゴすぎて」
「あー長かったね。皆同じこと考えてるんだね」
「だねー」
ぼっちで寂しいクリスマスかとおもいきや、短い時間でも綾斗と一緒にいれるなんてなんと幸せなクリスマスだろう。
さっき私のことを哀れむように見てきた女が驚愕の表情を浮かべておるわ。あんたの彼氏より綾斗の方がカッコいいもんね。
まあ綾斗は私の彼氏じゃなくて友達なんだけども。
「そういえば友美は夕飯は食べたの?」
「食べてないよ?ケーキ夕飯にするつもりだったから」
「…それで足りるの?」
「足りない」
足りないけど経済的なものをね?考えたらね?ケーキって一切れで500円近かったりするじゃない?高いよね。
デートの軍資金としてお小遣い貰えたらいいけどうちの両親はデートの代金は男が出すものだと思ってるからね。私としては割り勘のが落ち着くんだけどそこはほら男としてのプライド?とかあるわけでしょ?よくわかんないけど。だから隆臣が出してくれる時は特に断ってない。
「よかったらどこかで一緒に食べない?」
なんですと!?
会えただけでも嬉しいのに一緒にご飯とかこれ大丈夫?今年の運使い果たしたんじゃない?あっ今年あと一週間くらいしかねぇや。
ああでもお金がない!
ファーストフードならなんとかいけるけど、せっかく綾斗と一緒なのにそれはないでしょ。
「どうしたの?嫌?」
「嫌じゃないよ?むしろ畏れ多いね。問題はお金がないのね」
慌てていらんこと言った気がする。
「?俺が出すよ?」
「そんな申し訳ない」
「俺が誘ってるんだから気にしなくていいのに」
気にするよぉ!!だってそんな綾斗の彼女でもないのに奢りとかダメでしょ!?刺される!誰にかはわからないけど。
「あっじゃあこの前くれた絵のお礼ってことで」
「いやいやそんな価値ないっすよぉ!?」
「じゃあ今日は俺が出すから。また今度何か奢って?」
「そっそれでいいなら」
「じゃあ決まりだね。何食べようか」
次があっていいのですか?そんな幸せなことあっていいのですか?
なんでもない普通の喫茶店でご飯を食べたのに、高級レストラン並みに緊張した。食べ物が喉を通らないんじゃとも思ったけれど、さすがにそれはなかった。普通に美味しくいただいた。残すなんてもったいないことできるはずがない。
そのあとは寮の部屋に帰りつくまで夢見心地だった。




