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文化祭準備。

文化祭の準備は順調にすすんでいるようだった。

詳しくは知らない。

ずっと手伝わないのもどうかと思ってやろうとしたら止められた。麗香様にそんなことさせられませんって私は何もんだよ。

絵はへただけど不器用ではないぞ?

無理やり残ってやることもできたのだが、取り巻きがうるさすぎて逆に邪魔になりそうだったので諦めた。

ごめんクラスの皆マジごめん。


しかしそうなると暇である。


ぼーっと美術室で座っていると、美術部の顧問の先生がきて、文化祭の美術部の展示に作品を出してみないかという。

私は部員じゃないですし、と断ろうとすると、それは皆知っているし、話したこともないかもしれないけれど、部員はみんな仲間だと思っているよと嬉しいことを言ってくれた。

いいのだろうか?私のあの絵を一緒に並べてしまって。


そう思って翼ちゃんや由森に聞いたら二人とも喜んでくれた。

何を描けばいいかわからなくて参考までに由森のスケブを覗き見した。

生徒会長のスケッチがいっぱいあった。


「お前もう告白しろよ」


「むちゃ言いなや」


ごもっともである。

とにかくなんの参考にもならなかったので、仕方なく一人で悩んでいる。まあなんでもいいと思うけどね。

画材も悩むところだ。

普段はえんぴつか色鉛筆でしか描いていない。

いきなり絵の具なんて使ったら大惨事になることしか思い浮かばない、というか絵の具もってなかったわ。


最近は綾斗も姿を見せない。

作品に集中しているのだと思う。

綾斗といえば、中庭であったあの日が懐かしい。ってそうだ!ネコちゃんにしよう。入学当初はよくネコちゃんに会いに行っていたが忙しくてご無沙汰だった。元気にしているだろうか。


スケッチブックとえんぴつだけ持って中庭に行く。


「ねこー?」


制服が汚れないように注意しながらしゃがみこんでネコを探す。

やっぱりエサがないとダメだろうか?可愛いし誰かに拾われた可能性もある。明日またエサを持って出直そうかと思ったとき。


ニャー


と小さな声が聞こえて、近くのしげみから見覚えのあるネコが姿を現す。よかった元気そうだ。


「久しぶりねぇ元気にしてた?ちょっとあんたモデルになってよ。モデル料は出すからさーネコ缶で」


ネコはわかってるのかわかってないのか私の差し出した手にすり寄ったあと、その場で毛繕いをはじめた。

私は近くのベンチに座ってスケッチブックを広げてネコのスケッチをはじめた。


うん。

描けば描くほどなんか違う。


もっと近くで観察したいが相手は地べただ。

近くで観察するには自らも地面に寝そべらねばならない。ベンチに乗ってくれてもいいのだが、それはなんか違うと思う。


明日はネコ缶とレジャーシートを用意してこようと思う。


スケッチブックには前衛的なネコの絵が増えていく。

動くもののスケッチは思った以上に難しかった。よく考えたら今まで描いていたものってほとんど止まっていた。

海の波は動くけれど砂浜との境さえ確定してしまえばあとは適当だった。カニはもっと適当だった。


ネコは自由だ。

今だってよく座ってくれていると思う。エサを食べている間ならまだしも、そのあともここにとどまる必要はネコにはないと思われる。食べ終わったらさっさと茂みにもぐってしまってもおかしくはない。


その場にとどまってはくれているものの、毛繕いをしたりのびをしたりとネコは忙しく動きまわる。絵を描く私にはおかまいなしにすり寄ってきたりもする。

すり寄られるとスケッチブックを手放して、遊んでしまう。さてはネコちゃんめそれが狙いだな。レジャーシートの上で転げながらネコと遊ぶ。スカートがめくれるけど気にしない。だってこんなとこ誰も来ないし。


「にゃんにゃんにゃん」


ニャー


やっぱネコ可愛いわぁ。

ネコにメロメロだった私は油断していた。


「友美。あのっ」


「ふぉっ?綾斗?」


声をかけられてびっくりして振り向くとそこには綾斗がいた。

綾斗は何故か顔を横に背けた上片手で覆っている。


「あのっスカートなおして」


「ん?ほげぇっ!」


やべぇスカートめくれてパンツ見えてたわ。

慌てて起き上がってスカートをなおす。めっちゃ恥ずかしいし物凄く申し訳ない。


「お見苦しい物をお見せしました」


私は綾斗に土下座して謝った。


「えっいや、うん。気を付けてね?」


いやほんと見たくもないもの見せて申し訳ない。

綾斗もさぞ困ったことだろう。しかし何故ここへ?あれかな、ネコちゃんに癒されにきたのかな?だとしたら余計なもの見せて本当に申し訳なかったなぁ。


「ネコ描いてたの?」


「ああうん。でも難しいね」


「まあネコは自由だしね」


綾斗が手を伸ばすとネコは甘えるように綾斗の手にすりよる。綾斗はなれた手つきでネコのあごを撫でてやる。ネコも気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす。


鼻血ものの光景に感動で震える。

写真に撮りたい。でもカメラないし!携帯は…やべぇ置いてきた!

いや待て私にはスケッチブックがあったー!

私はえんぴつを持つとがーっと描き始めた。



うん。

前衛的!


人か?これ人か?そういや前世でも綾斗描こうとして別のもの生み出していたわ。2次元から2次元でもダメなのに3次元からとか描けるわけなかったわ。

そしてやっぱりネコも前衛的ね。かろうじてネコだけど。


描いた本人としては無いわって感じだったけど、綾斗がやたら気に入って、欲しいと言うので恥ずかしいけどあげた。


あんなんで喜んでくれるなら嬉しいかぎりである。

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