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興味なくても推しメンはいる。

なかなかこうぐっとくる攻略キャラいないんですよね。

攻略外のお兄さんとか好きだったりする

そう主人公の彼女は中庭で出会うのだ


彼に


近衛綾斗に


攻略キャラの一人で不思議ちゃんキャラの彼とは

中庭で野良猫とたわむれているところに

主人公が中庭に迷い混むことで遭遇するのだ


つまり今まさに彼は中庭にいる


そう思うと一瞬だけ悩んだが私の行動は早かった

適当な理由をつけて一人になり人気のないトイレに駆け込んだ

学年がわかってしまうリボンを外し

綺麗に整えている前髪を適度にくずし

おろしている後ろ髪は2本の三つあみに

持ち歩いている化粧道具を確認して

あとですぐ戻せる程度に化粧を落とす

仕上げにメガネでもかければパット見の雰囲気で

今の姿と神宮寺麗香を結びつけはしないだろう

これで変装は完璧だ


何故私がこんなことまでしているのかというと

近衛綾斗というキャラが

前世の私の好みのドストライクのキャラだったのだ

神宮寺麗香となった今でも好みはさほどかわらない

まあつまりは恋愛とかそんなの関係なく

普通に見てみたいだけである


例えるならテレビでしか見ないアイドルが

近所にいると聞いて見に行くようなものだ


見に行くだけで変装までしてるのは

見てるのを見つかってしまった時のための保険だ


なんとしてでも今日見に行くしか綾斗を見ることはできない

なんせ初遭遇イベントしか綾斗のいる場所を知らないのだ

こんなことなら綾斗の攻略を調べておけばよかった。

普段から乙女ゲームは興味ないというスタンスだったので

誰に言うわけでもないが攻略を調べるのはなんというか

ポリシーに反するというか

後ろめたいというか

別に悪いことしてるわけじゃないのに

パトカー見るとちょっと緊張する

あれのような心境だったのだ。


何はともあれなんとか百合と綾斗の遭遇ポイントまでは来た。

問題は遭遇イベントが終わっていたらアウトなのだ

学園の昇降口まで案内してもらうはずだから

中庭からいなくなってしまう。


見つからないようにかつ

間に合うように慎重に進むと

綾斗はまだ中庭にいた。


遭遇イベントはまだのようだ

どこから百合が迷い混むのかわからないが

まだ来ていない百合と遭遇してもアウトなので

絶対に通らないだろう場所でじっと待機

物音を立てないように微動だにしない

そう忍者だ忍者になりきって

私という一人の人の気配を完全に消すのだ。


気配を殺しつつもじっくりと綾斗を観察する

乙女ゲームキャラがやたらいるのは何かの奇跡で

綾斗は存在しないのではという可能性もあった。

実際に百合と友達になるはずの同じクラスのキャラはいなかった。

大事な助言キャラなのだが

それゆえにメタな発言もあったので

実際にいたらどうなったかはちょっと気になるが

いないものはいない。


盗み見るために間近では見れないが

綾斗はやっぱり好みドストライクだった。

無表情ではあるが猫を見る目は少し優しい気がする

ゲームのスチルだと間近で何時間でもガン見できるんだけど

現実はそうもいかない

しばらくすると百合がやってきて

遭遇イベントがはじまった。


綾斗と百合が話してるのを見るのは

ちょっと羨ましくなる

初対面で話がはずむわけではないが

話しているという事実がもうすでに私には無理なわけで

絶賛かくれんぼ中の身としてはハードルの高いことだ


まあ別に見てるだけでも目の保養になるから

それで十分なんだけどね


しばらくすると二人が移動をはじめた

昇降口に向かうようだ

二人が見えなくなるまで待ってから

自分も帰るべくはりつめていた息を吐く

気をはってばれないために微動だにせずにいたので

ちょっとした解放感からその場でのびをしたりしていた。


油断していた

完全に油断していた

ここはゲームのキャラがいても

ゲームの世界ではないのだ

散々自分で言っておいて

ゲームとは違うことが起きるということを

すっかり忘れていたのだ


昇降口に向かったと思っていた二人が戻って来たのだ。


戻ってくるとは思いもしていなかった私はとっさのことで隠れることもできず、その場に立ちすくむ。

もう心のなかはヤバいの一言がぐるぐる回っている。


「あら?あなたは」


「…」


百合が無邪気に話しかけてくる。

その一歩後ろで綾斗は不審者を見る目でこちらを見ている。

やめて不審者といえば不審者だけど!

その目は辛いです。


ここで逃げたら余計不審者な気がするがどうだろうか。

混乱した私は適当に思い付いた言い訳を口にする。


「ここらへんに猫ちゃんがいるって聞いて来たんですけどまよっちゃってぇ」


なんだ私これ何キャラだ。

百合もびっくりした顔をしている。

綾斗はいうまでもなく不審者を見る目だ。

辛い。


こんなに怪しいのにさすが主人公は良い子だった。


「迷っていらっしゃるなら一緒に行きませんか?私も迷ってしまっていたんですけど、ここで綾斗くんに会って今から昇降口まで案内してもらうところなんです」


なんて親切なんでしょう!

ああでも綾斗は嫌そうな顔をしているぅぅぅ!

ひぃーごめんなさいお邪魔してごめんなさい!

会ったばかりでお邪魔も何もないかもしれないけどその目はそう言っていた。


「綾斗くんそれでいいですか?」


百合が綾斗に聞くが、断れるわけないだろう。

しぶしぶといった感じで綾斗が頷いた。

ここで断るのも変だし失礼な気もする。

何よりも一緒に昇降口まで行くということは


綾斗を間近で観察できる!


ということだ。

そんな美味しいこと断れるわけがない。


「よろしくお願いしま~す」


本当にごめんなさい会話のお邪魔はしませんからぁ!

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