夏休みの思い出。
唐突ですが夏休みに突入しました。
ひゃっほーう遊びまくるぜーとはいかないわけで。
いや別荘に泊まりに行ったりとかパーティーに参加したりとかも楽しいんだけどね、私の趣味はアウトドアじゃなくてインドアなわけで。
夏休みだとオンラインゲームもイベント多いんだけどなぁ。
だけど今年の夏休みはやることも多いしゲームをやる暇はなさそうだ。
それ以上に楽しくなりそうだけどね。
世の女性たちは夏が来る前からダイエットしなきゃと焦るけれど、私の場合は食費とかの関係で強制ダイエットになっているから慌てる必要はない!体型の変化もないのでじっくりと水着を選ぶことができた。
個人的には一着でいいと思うのだけれどお嬢様としては三着くらい用意しておかないといけないのだ。しかもそこそこのブランドのやつ。
見栄のために同じ水着は着れないのだ。
ちなみに友美の時は気にしなくていいのでふつうのワンピースタイプのシンプルなやつを用意してある。
ウエストは管理次第でどうとでもなるけど、どうしようもないのが胸だ。ないわけではないが平均あるかないかといったところ。だからあんまり胸元を強調しないやつが良いんだけど、そういうのって麗香には似合わないんだよねー。
友美とは別の意味でシンプルでセクシーなやつが似合うらしいよ。
落ち着かないけどしかたないよね、それがお嬢様らしいっていうんだからさ。
ま、麗香では海に入ったり泳いだりするつもりはない。万が一化粧が落ちた顔を隆臣や取り巻きに見られるわけにはいかないからね。
こうやって準備したり楽しみにしていた夏休みだけど。
夏休み最初の一週間の予定は宿題をすべて片付けることだった。
そして週末は隆臣の家とのささやかな食事会だった。
もっぱら話すのは私以外、とはいえ時々は相づちをうたないといけないから、ちゃんと聞いていないといけない。
自分の自慢を話したりお互いを褒めあうだけのつまらない会話。思い出したように私と隆臣の仲について聞かれたりもする。私はあたりさわりなく答える。隆臣は何故か偉そうに私を褒めてくれていた。
そして来週は百合の家、つまりは早乙女家のプライベートビーチにお呼ばれされている!もちろん友美で。翼ちゃんと由森も一緒だ。
プライベートだから他の人もいないし友美だから化粧が落ちる心配もない。メガネをはずさないといけないのは、百合にバレる可能性があがるかもしれない。一応気をつけておこう。
もしバレたら正直に謝る準備はできている。
麗香ではなく友美として行くので親には言えないが、今のところ信用を得ているので出発と帰りの日時を言っておけばそこまで詮索されない。
女の子だけの集まりだと言えばあっさりと許可はおりた。
家を出るときは麗香仕様のお嬢様ファッションで出掛けた。
よき所で友美仕様の動きやすい服に着替える。麗香用と友美用の服に、帰りに化粧するためのメイクセットだったりで、荷物が多くて大変だけど気合いでつめこんだ。
髪の毛は帰る前に美容院へ行って軽くセットしてもらう予定だ。お金がかかるけれどしかたない、セットされていないまま帰ればあやしまれる。
すばやく友美になると、待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所からは百合の家の車が別荘までつれていってくれるらしい。
先に待ち合わせ場所についていた二人に手をふりながら近づく。
「おーはよー」
翼ちゃんの服は白いワンピースに水色の薄手のパーカーにサンダル。
由森はジーンズタイプの短パンに柄物のTシャツとこちらもサンダル。
ふたりともサンダルだけどその雰囲気はまったく違う。
ちなみに私はブルーのワンピースだ。
麗香の服の上から着れるように少し大きめのやつだ。麗香の服が大分薄手なので、重ね着でもそんなに暑くないのでよかった。
「おはよう」
「おはよーさん」
翼ちゃんはにこにこと笑いながら、由森は少し眠たそうだ。
「由森あんた眠そうね?夜更かししたの?」
「あーギリギリまで荷物用意しとってん」
そういう由森の荷物はやけに多い。
よくここまで持ってきたなと思うほどに。
「何を持ってきたのよ」
「いやープライベートビーチなんて次いつ来れるかわからんからな。なんかいい絵描けるんちゃうかなって」
「なるほど画材か」
さすが芸術科!思い付きもしなかったわ。服つめるのに必死だったわ。
「私も一応スケッチブックは持ってきたよ」
なんと翼ちゃんも用意してた。二人ともすごい。悔しい。
私は着替えとかの他は浮き輪しか持ってきてない。
「わーどっかで買ってくるー」
「もう迎えの車の時間やから諦め」
「このスケッチブックで一緒に描こう」
由森の言うとおり三人の近くに車が止まり中から百合が顔を出した。
「おはようございます!どうぞ乗ってください」
荷物は?と思ったら使用人らしき人が降りてきて、三人の荷物をトランクへと入れてくれた。車の扉も開けてくれた。
車はなかなかの高級車で、私と翼ちゃんは普通にしていたが、由森は落ちつかなげにそわそわしていた。
リラックスしている百合を見て由森がつっこむ。
「いくら自分とこのやかてあんたこの前まで一般家庭やったんやろ?ようこんなん平気で乗りよるな」
お前それ言っちゃうのかよと思ったが、百合も笑って答える。
「叔父様が迎えに来てくださって初めて乗ったときは私も緊張したんですけれど、そのあともことあるごとに乗せていただいていたらなれました」
百合が嬉しそうに笑う。
家族が誰もいないと思っていたところに新たにできた家族に、自分が受け入れられているのが嬉しいのだろう。たぶん叔父さんの方もなれてくれたことを嬉しく思っているに違いない。
前に麗香で会ったことのある百合の叔父を思い出す。
優しそうな人柄のとても良いナイスなおじさまだった。




