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女子は恋の話がお好き。

百合は無事に隆臣のルートに入っているようだ。

相変わらずハーレムぎみではあるものの、好感度の上昇値が一番高いのは隆臣のようだった。

とはいえまだ恋愛に発展する様子は見られない。

せいぜいが友達か、ちょっと気になる程度のようだ。


百合の話を聞き出すのはしやすい。

百合が素直というのもあるけれど、女の子だから恋ばなふっても違和感ないのだ。

自分が恋愛する気はないけれど、人の恋ばなを聞くのは楽しいものだ。

百合は反応が可愛いからつい楽しくてからかいまじりになってしまう。


ちなみに翼ちゃんはうまくかわしてくるのでからかえない。というかこの世に翼ちゃんに釣り合う男がいるのだろうか?よっぽど良い男でなければ私は認めんぞ!まあ翼ちゃんの気持ち次第だけど。


由森は私と一緒で恋愛に興味はなさそう。

というか三次元の男より二次元の男って感じだ。


からかえるのが百合だけなのでちょっと調子のってからかってしまったバチがあたった。


課題の締め切りが近いとかでここ最近、由森は美術室に来ていなかった。同じく芸術科の綾斗もそのようで、二人で話した日以来しばらく顔を見ていなかった。


今日は久しぶりに私と翼ちゃんと由森と百合と綾斗が美術室に揃った。

前と同じように綾斗は百合と話している。

まあ急に人前で親しげには話せないわなと思う。

ていうかあれは本当に私の夢だったとかないよな?現実だよな?


描いていいよね?


いそいそとスケッチブックを取り出す私を見て、翼ちゃんと由森が不思議そうな顔をする。


「あれ?絵ー描くん?ええの?」


私はこそこそと綾斗と会ってバレたことを話した。

本当に簡単にだけしか説明していない。絵を描いてるところを見られて、また描いたら見せてくれてと言われたとだけ話した。

テンパって変なしゃべり方になってたことは秘密だ。


「ふふ友美ちゃんの絵が久しぶりに見れるのね」


翼ちゃんが嬉しそうに微笑む。

私はそれに気をよくして、はりきって描き始める。

はりきったところで上手くなるわけではないので、相変わらず前衛的な何かを生産しているが。

ちなみに百合も何か描いている。

何度か見せてもらったが翼ちゃんには劣るものの、かなりうまかった。やはり完璧超人なのだろうか。


綾斗はここでは描かない。百合と話しながら他の人が絵を描くのを観察しているだけだ。

今日も百合が描くのを見ながらいろいろ話している。


私が描きはじめても百合も綾斗も何も反応しなかったので、油断していた。絵をかくのに私は集中していた。そして前衛的ではあるが、今までで一番よく描けた気がして満足気に眺めていた。


そこへ後ろから声がかかる。


「できたの?オレにも見せて」


「はっほっへいっ!」


慌てた私は持っていたスケッチブックを綾斗に差し出した。

隣で由森が笑いをこらえているのがわかる。こらえきれなくて漏れでた声が微かに聞こえる。あとで覚えてろ!

翼ちゃんは優しく微笑んでいる。


「やっぱり面白いね」


「ぐぬぬ」


「友美ちゃんが描いたんですか?私も見てもいいですか?」


百合がワクワクといった感じで聞いてくる。

期待に満ちたその目を見て、断れるやつがいるのだろうか?いやいない。まあ断る気もないんだけどねってことで私は頷く。


「あら?これって前に見た絵と似ていますね」


「ああ同じ人物が描いてるからね」


「じゃあ前に見た絵も友美ちゃんが描いた絵だったんですね」


うん、なんで綾斗が答える。まあいいけど。

百合はにこにこと何故か嬉しそうだ。

しかし私の絵ってそんな特徴あるだろうか?下手くそという共通点はあるけどね!まあ自虐的。


「ありがとう」


そう言って綾斗がスケッチブックを差し出す。


「あっいえ、とんでもねぇ」


「ブッはっあかん!ひーっ」


由森が爆笑し始めた。こんにゃろ!

百合も控えめだけど笑っている。

翼ちゃんは微笑みを絶やさない。

あーもー恥ずかしい!

私はスケッチブックを抱えてうつむいた。


綾斗は動じていなかった。


「この間の課題、思ったように描くことができたんだ。きみの…友美の絵のおかげだ」


「そんな!」


私は顔を勢い良く上げた。

ら、目の前に綾斗の顔があった。

近い!思った以上に近い!あばばばば。

ああ絶対顔赤い。


「じゃあオレは行くね。またねバイバイ」


「はいまた」


「さようなら」


「さいなら~」


綾斗が美術室から出ていく。


「さて、話し聞かせて貰おか?」


「そうね」


「私も聞きたいです」


逃げ場はない。

三方囲まれてしまった。

三人の笑顔が逃がしてなるものかと言っている。


「話すことなんて何もないよ?」


「いやいやいやあの反応はなんなん?あれ完全に好きな人に対するやつやったやん!」


翼ちゃんと百合が、同意するように頷く。


「べっ別に好きとかそんなんじゃないよ?私は恋愛とか興味ないし!あれよ恋愛には興味ないけど好みのタイプぐらいいてもいいでしょ?綾斗はその好みドストライクなの!だからちょっとテンパってただけ!」


「ほー?ほんまかなぁ?」


「ほんとだってば!好きなアイドルが目の前にいたらあんな感じになるでしょ!」


「たしかに泣き出す子とかもおるけど、あんたはそんなタイプちゃうやろ?」


「ぐっ」


たしかに私はそんなタイプじゃない。

どちらかというと嬉しいのを隠そうとするから逆に無反応になるというか、どちらにしろあんなに慌てるタイプではない。自分でもそう思っていた。

いざそんな事態になると、ああも取り乱してしまうとは。


「あんたも恋してたんやなぁ」


「あんな友美ちゃんはじめて見ました」


「いつも私の話を聞いてもらってばかりですから。友美ちゃんもよかったら話してくださいね」


ああダメだ!

三人の中では私が綾斗に恋してることになってる。

本当に違うのにぃ~!

たしかに好きは好きだけど恋愛的な好きじゃないし恋なんかじゃないというのに。

アイドルに憧れる感じのやつなのに。

否定しても照れてるだけと思われてそうだ。


早くなれないとなぁ。


自分の言い分が信じて貰えないのは少し辛い。

まあ誤解させてもしかたない反応を私がしてしまってるんだけどね。



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