表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/52

ハーレムルート(非公式用語)

買い物に行った翌日、私は友美になって美術室にいた。

今日は昨日の顛末の報告会である。


今は翼ちゃんが尾行は大変であったがドキドキして楽しかったと話している。

百合に見つかりそうになって焦ったことや、見知らぬ男性に声をかけられて見失いかけたことを聞いた。


見知らぬ男性ってまさかナンパ?ナンパなの?

まあ心配しなくても翼ちゃんはさらっとかわしてしまったようだが。


そして私の報告。


無事に百合と隆臣が遭遇したこと。

会話イベントの詳しい内容はわからないけれど、概ね隆臣の好感度はあがったのではないかということ。


それを聞いた由森が難しい顔をする。


「由森?」


「あんた二周目の話しって聞いたことある?」


「あーなんかパラメーター引き継げるとかいう?」


「それ。攻略難易度下げるための措置やってんけどそれによって大変なことがおきたんや」


「大変なこと?」


私と翼ちゃんは固唾を飲んで由森の言葉を待つ。


「ハーレムや!」


「?」


「は?」


ハーレムルート。

それは公式の攻略には言及されていないが、ファンの間では有名な奇跡のルートである。

ゲームのシビアなところは選択肢を間違えると攻略が一気に不可能になるという鬼のような仕様だったわけだが、それというのもパラメーターによって選べる選択肢が増減することにもあった。

パラメーターに影響される選択肢はゲームの序盤からあるのだが、最初は選ぶことは不可能だ。

ただし一周目の攻略を捨ててパラメーターをマックスにすることについやして二周目に突入すると、すべての選択肢が選択可能となるのだ。


さらにはパラメーター上げを気にしなくていい分、すべての時間を攻略対象の好感度上げに使えるという。

物理的にすべてのイベントを発生させるのは無理がある。

キャラによっては同じタイミングでイベントがあるからだ。

それでも序盤から好感度の上がりやすい選択肢が選べると全キャラ満遍なく好感度を上げるということが可能になったのだ。


これはもちろん簡単にはできない。

あたりまえだが選択肢を間違えたらそこで終わりだし、かぶったイベントのどちらをとるかで取らなかった方のキャラの好感度が足りなくなったりする。


みんな二股程度はよくやったらしい。

攻略対象のキャラが選びきれなくてギリギリまで粘るのだ。

そしてゲームのシステム的にクリスマスイベント以降は本命一本に絞らされるため全員の好感度を上げきろうなんて猛者はなかなかいなかったのだ。


それがある日突然動画サイトに投稿されたプレイ動画でそのハーレムをやらかしたやつが出てきて一気に有名になったのだ。


ゲームのキャラがそのままそっくり生きていようとこの世界はリアルだ。現実なのだ。

物理的に二周目などありえない。

ゲームでは二択しかないような選択肢でもリアルであれば、無限にあってもおかしくない。

だからパラメーターがどうあれどんな選択肢でも選べるのではないか?

そう私は結論付けた。


だが由森は。


「たしかにその可能性はある。でもなうち昨日なんもせんのもあれやったから知らん間の百合の行動調べとったんよ」


すごいな由森、探偵になれるぞ。

そう思えるほどだった。


百合が隆臣とのイベントの前に遭遇していたのは三人。

生徒会長と保険医と綾斗の三人だ。

そのすべてでパラメーターをあげていないと選べない選択肢を選んでいたというのだ。

どうやって調べたのかというと、生徒会長のは生徒会役員の下っぱの生徒に聞いて、保険医のはその時保健室を利用していた生徒に聞いたのだという。

保健室を利用していた生徒なんてよく見つけられたなぁと思った。

保健室でのイベントに描かれたモブキャラの雰囲気に似た、怪我した生徒を探したらビンゴだったとか。


ちなみに綾斗には直接聞いたらしい。


その選択肢がお恥ずかしいことにまさかの私の絵なんだそうだ。

美術室には有名な画家の作品の模写や、今までの生徒の作品が飾ってあるのだが、その中から好きな絵を選ぶわけだ。

選択肢としては有名画家の作品か生徒の作品かといったところ。

パラメーターが高いと選べる選択肢に私の絵が入るという。

ゲームでは誰の作品かは最後までわからないそうだ。


案外ゲームでも麗香の作品やったんかもなと由森は言う。


ちなみに綾斗の私の絵に対する感想は面白いだそうだ。

下手くそすぎて笑えるとかではなくて、個性が出ていて味があるとかなんとからしい。

嬉しいやらはずかしいやらである。

描いた人を聞かれたけれど、そこはちゃんと誤魔化してきたらしい。

私はホッとした。

絵に対しては好意的でも私自身はどうなのかというのもあるし、やっぱり何よりも恥ずかしいから知られたくはない。


「ほんで今日は体育科のスポーツ少年とのイベントがあるはずや。ゲームと同じやったらここから見れるかもしれん」


なんだと!?

由森の指差す窓に向かう。

翼ちゃんもついてきた。


「あっ下の水道の所にいるね」


翼ちゃんが見つけて指を指す。

たしかにそこには百合と、なんとなく見覚えのある少年が立っていた。

離れているので会話はまったくわからないが、百合が少年に謝っているようだった。

少年の方も気にするなというように手をふっている。

百合がタオルを少年に渡して二人は離れた。


「由森。今のはどうなの?」


「パラメーターが必要な選択肢やったな」


「まじか」


ゲームと現実は違う。

それでもここまでとなると百合はもしかしたら。


「あの百合は完璧超人かもしれんな」


パラメーターオールマックスの状態をそういう。

まだわからない序盤の選択肢はパラメーターが必要と言っても低めだ。

それでも百合には二周目並みのスペックがあると言わざるをえないだろう。


恐ろしい子。


もしも完璧超人ならば、完全ハーレムエンドも夢じゃないかもしれない。

システム的な制限がない分ハーレムを続けられるかもしれないからだ。

まあ逆にモラルというか倫理というか的にはどうなのって話にはなってくるけどね。

あと百合はそんなことしなさそうだけどね。


クリスマスイベントで告白して恋人になるからそれまではセーフだ。

そこまでこぎつければグッドエンドで、そこから婚約までこぎつければハッピーエンド。

私の自由のためには百合には是非とも隆臣とのハッピーエンドを目指してほしい所存です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ