第四話 再出発
自衛隊生徒の結果がついに分かるのだが、
予想外の結末を迎えたのだった……
試験日から1週間立ち
結果が分かった
結果は……不合格だった。
結果が分かった瞬間、
俺は自分の部屋の中で大泣きした。
「あぁぁーーーーーーーー……!!!」
俺は叫びながら泣いたのだ。
自分の部屋の床が涙で
いっぱいになるほど、
床がびしょびしょになっていた。
鼻水も垂れ流していた。
これほど泣いた事は初めてだった。
この日のために
ずっと勉強してきたのに……。
この日のためにどれだけ
時間をかけてきたか……。
自分の命を捧げてもいいと思うほど
自衛隊の事を思っているのに……。
そういった思いが自分の頭の中で
交錯するようにかけめぐっていた。
1日中、俺は部屋の中で泣いていた。
ご飯を食べては部屋で泣き
ご飯を食べては部屋ので泣く。
風呂に入って、風呂場で泣き、
風呂から上がっては泣き。
寝床にいっても泣いたのだ。
そんな日がしばらく続いていたのだが
ある日を境にまた立ち直る事が出来たのだ。
それは家族や広報官に慰めてもらったからだ。
家族には高校を卒業すればまた
自衛官になれるチャンスはいくらでも
あると言われ、広報官には
高校を卒業すれば防衛大学校に行けば
幹部になれるし、一般曹候補生や
自衛官候補生を受けて自衛官に
なれるから等と言われた。
俺は次第に元気になっていき、
自衛隊生徒に落ちた事等
気にしなくなっていった。
その後、なんとか前向きな
気持ちになっていき中学を卒業した
俺は私立の高校に進学した。
高校に入学すると人生で
初めて師匠と呼べる人に出会った。
その人は俺にとって雲の上の存在であり、
この人なしに俺の自衛隊人生は
語れない大きな出会いがあった。
その人と知り合ったのは
高校一年生の時でテニス部を入部した日だった。
高校一年生の時に上田という同級生がいた。
上田はDえもんに出てくる
主人公のような風貌をしている。
上田はPケモンやYぎおうが大好きなため、
いつもその話をしていた。
まるで小学生がそのまま
高校生になったような人物なのだ。
そんな上田なのだが性格は
優しく、誰にでも気さくに
話しかけたりする性格ため
俺はすぐに上田と仲良くなっていった。
部活が終わって上田と高校の最寄り駅まで
一緒に帰る事になり、
駅まで歩きながら色んな話をした。
改札口の前で止まると
俺が上田に将来の夢を話し出した。
すると上田はこう答えた。
「南、自衛隊になりたいん?」
上田の問いかけに俺は頷くと
上田が話を続けた。
「俺のお父さん、自衛官やねん。」
「……!!!」
俺はその言葉に耳を疑った。
上田のお父さんが自衛官?
嘘だろ??
俺は上田が冗談を
言っているのだと思い、上田にこう言った。
「嘘、嘘。絶対、嘘や!
冗談やろ?」
俺は上田の言った言葉に信じる事が
出来ずに上田にそう問いかけた。
すると、上田が真顔でこう答えた。
「ほんまやって!
俺のお父さんは幹部の自衛官や。
確か、一尉とか
なんとか言ってたな……。」
「なんなら、今、電話してみるか?」
俺はその上田の言葉に思わず唾を飲み込んだ。
なんだって!?
か、幹部の自衛官……?
で、出来るなら……
すぐにかけてほしい。
話したい!
そう思った俺は上田にこう言った。
「うん、かけて!」
俺は目を輝かせて上田にそう言ったのだ。
俺のその言葉を聞いた上田は
すぐに携帯をかばんから出して
電話をし始めた。
「もしもし……。」
上田が携帯を右耳に置いて話始めた。
俺は固唾を飲んでその場を見守っていた。
緊張する……。
まさか幹部の自衛官と
話が出来るなんて夢のようだ。
俺、なんて話したらいいんだ……。
緊張がピークに達していた。
もう、どうにでもなれ!
そんな気持ちで見守っていた。
すると上田がこう言った。
「……なんや!
留守番電話か!」
上田が上田の父に電話をかけたが
その時は留守番電話サービスが
流れるだけで上田の父に電話が
繋がらなかったのだ。
ふう……。
助かったぁ……。
今、電話が繋がっても
絶対に緊張して俺から
話されへんわ。
あかん、あかん!
危ねぇぇ……。
そう思った俺はその場で
大きく深呼吸をした。
その後、五分ほど上田と
話した後に上田の携帯に着信がかかった。
「電話や。
はい、もしもし……。」
上田は携帯を手に取ると電話に出た。
上田がそう言うと会話し始めた。
まさか、電話してる相手って……。
そう思ってゆっくりと
上田の様子を見ていた
その時だった!
突然、上田は俺に変わると言って
携帯を渡してきたのだ。
緊張しっぱなしだった俺は
『大丈夫かな……?』
と小さな声で上田に問いかけた。
上田は大きな声でこう言った。
「お父さん、優しいから大丈夫!
さぁ、電話に出て話してみ。」
上田はそう言って笑顔で答えた。
渋々、渡された上田の携帯を
手に取るとゆっくりとこう話した。
「初めまして……。南です。」
俺は緊張しながらもなんとか声を出して
上田の父にそう言って挨拶をした。
すると上田の父は俺に気さくにこう話しかけた。
「初めまして。
南くんは自衛隊を目指してるのかな?」
上田の父が俺にそう問いかけた。
「はい!今日、お父さんと
お話が出来て嬉しいです。」
俺は目を輝かせながらそう答えた。
しばらく、話していると
上田の父は需品科の某駐屯地に
勤める一等陸尉の人物だった。
さらに驚く事にその方は
自衛隊生徒出身だったのだ。
この出会いはまさに運命であり、
こんな事が本当にあるのか?
そう思うほど信じられない
出来事が起こっていると思った。
この人に自衛隊の全てを教わり、
この人についていきたい!
そして、この人のようになりたいと思ったのだ。
この人に自衛隊の色々な知識を教えてもらった。
まさに豪華で最高の助っなのだ。
その後、俺は自衛官に必ずなる
という気持ちを抱きながら
高校生活を歩んでいった。
気がつけば高校3年生になっていた。
9月に入り、受験シーズン
真っ只中だった。
俺は自衛官候補生、一般曹候補生、
航空学生の3つの試験を受ける事になった。
その試験を受験する
数ヵ月前の話、自衛隊生徒を
受けてから3年の月日が立っていた。
高校3年生になり、どの試験を受けるかは
決めていたため米田さんと
会う前までは悩む事はなかった。
久しぶりに米田さんと
茨木地域事務所で話す事になったのだ。
高校生になってから年に数回ほど
米田さんと電話で連絡をしたり、
会ってもカレンダーをもらう事だけだった。
まともに会って話をするのは久しぶりだった。
そこで言われたのは
「自候生と一般曹は受けるんだね?」
米田さんが俺に問いかけた。
「はいっっ!」
俺はそう元気よく答えた。
「防衛大学校はやっぱり……受けないかな??」
「はい。さすがに、ここは僕の
今の学力では無理です……。」
申し訳なさそうに答えた。
「防衛大学校はまぁ、いいとして……」
「航空学生は受けないのかな??」
立て続けに米田さんが俺に質問してきた。
「航空学生……ですか!?」
米田さんのその質問に驚いた。
俺は陸上自衛官を目指していたので
航空学生を受ける事等
これぽっちも考えてなかった。
「うん!
幹部になれてパイロットになれるん
だから言いと思うよ!」
淡々と航空学生の制度を話す米田さん。
この人は簡単に言うなぁ……。
航空学生はめっちゃめっちゃ
難しいんだけどなぁ。
でも、俺はかっこいい
幹部になれてパイロットにも
なれるなら一か八か受けてみようかな!
そう思ったが俺はこう言った。
「分かりました。
俺、受けてみます!
やってみなければ分かりませんもんね?」
こうして俺は自衛官候補生、一般曹候補生、
航空学生の三つの試験を受ける事になったのだ。
俺はこの試験のために面接練習と勉強を始めた。
勉強は広報官から受け取った
過去問と書店で買った問題集を
テストの日までひたすら解くことだ。
面接練習は学校で先生と練習をしたり、
上田の父と上田の家で練習をしたり、
家で一人で練習をしたりした。
俺の相手をしてくれた学校の
先生は体育会系の先生で
ラグビー部の顧問をしている人だ。
その先生は自衛隊の事が大好きな
先生で今までこの高校から自衛隊に
入隊した人達は全員この先生と
面接練習をしていたのだ。
先生が空いてる時間があると
「南、今日の放課後面接
見てやるから3年3組の
部屋に来いっっ!」
「はい、分かりましたっっ!」
そう言っていつも試験の前日まで
先生と面接練習をしていた。
先生の面接練習が終わると家に帰宅して
すぐさまその日に面接練習の復習を
するため一人で面接練習をしていたのだ。
そして、上田の父と練習させてもらう時は
現役の幹部の自衛官という事で
面接での声の出し方、動作、入室の仕方、
面接官との話し方等面接での
基本的なやり方を教えてもらった。
「君なら大丈夫だ。」
いつも面接練習をしてくれた後に
そう言って励まし続けてくれた。
面接練習をした後は上田の母が
料理を作ってくれた時があって
本当に美味しかった。
憧れの方と食事を共に取れた
という事は本当に嬉しかった。
俺は皆に支えられて決して
一人じゃない!って思えた。
皆に支えられて今があるってね。
そうこうしているうちに
自衛官候補生、一般曹候補生、
航空学生のそれぞれの
試験日になっていたのだった……
第五話へ続く……
もちろん仮名にはなりますが
小説に出てくる上田が予定では
4月から自衛官候補生として
山口県にある駐屯地で
航空自衛官として入隊します。
入隊される皆様、上田を
よろしくお願いいたします!