第三話 自衛隊生徒
南 幸助はいよいよ自衛隊生徒の
試験を受けるのだった。
「……!!!」
試験会場に前には凄い人だかりが
出来ていて俺は驚いた。
こんなに来ていたなんて!
皆、ライバルかよ……
でも、俺は負けねえぞ!
俺は必ず自衛隊生徒に受かって
神奈川県横須賀駐屯地に
行くんだ……っっ!
そう熱い闘志を胸に秘めて
試験会場の奥へ奥へと突き進んでいったのだ。
俺は入口の前に進むと憧れの
自衛隊の制服を着ていた広報官が立っていた。
憧れの自衛隊の制服を着た広報官に
近づいていくだけなのに俺は
ドキドキしながら進んでいった。
やっぱり、制服を着た自衛官は
かっこいい……!
そう思いながら列を並んでいると
「皆さん、受験票を出して下さい!」
男性の広報官がそう目の前にいる
受験者達に話し出した。
すぐさま、持ってきたリュクサックから
受験票を取り出した。
右手に受験票を持ちながら並んでいると
俺の2つ前にいる人が
受付を済ませて正面のゲートを
くぐって左側にある階段を登り始めていた。
あそこから上がっていくのか……
そう思いながら階段を見つめていると
「次の方、どうぞ。」
「次の方ーーーー!」
俺の前に並んでいた人が受付を
済ませてゲートの方に向かっていった。
「あっっ!
しまった……。俺だった!」
前を見ていなかった俺は自分の番が
きていたことに気づいていなかったのだ。
すぐさま、受付の方まで
進んで受験票を提示した。
「南、幸助さんですね……?
茨木地域事務所からですよね?」
受付の男性の広報官にそう言われた。
「はいっっ!」
俺は元気よく答えた。
「確認がとれました!
ではこのIDカードでゲートを通った後、
階段を上がって2階に行って下さい!
2階に上がりましたら
自分の受験番号が書いている
部屋に入って受験番号通りに
座って下さい。」
「はいっっ!」
俺は受付の広報官から
説明を聞いてまた元気よく返事をした。
その直後、IDカードを受け取り
階段を登って2階に着くと
階段をすぐ登った所の
試験部屋の前に着いた。
その部屋のドアに受験番号が
何番から何番と言うように
席が割り振られた紙が
貼りつけられてたのだ。
俺の部屋は何番だ!?
じっとその紙を
見ながら自分の席を探していた。
あった……!
前から7列目の真ん中の所か!
自分の席はだいぶ後ろの方だったのだ。
よし、じゃあ入るかっっ!
そう思い俺は部屋の扉を開けた。
「……!!!」
部屋の扉を開けて見てみると
前の方にいた2~30名ほどの席に
座っていた受験生達が俺の方を
じっと見つめていた。
俺は驚いて足を数秒だけ止めてしまったのだ。
目線を合わせては
ダメだ、ダメだ……。
そう思いながら必死に目線をそらした
途端に周りが気にならなくなり、
気にせず前を歩く事が出来た。
しかし、入って早々、気になった事がある。
試験部屋には50名ほどいる
受験生達がもう席に座っていたという事だ。
は、早い……っっ!
早すぎる!
もうそんな人数が入っているなんて
試験開始時間は9時からのはず……
今、まだ8時00分になったばかりだぞ!
凄い気合いが入っているんだな。
そう思う俺も気合いを充分に入れて
この時間に早く来ているのだ。
試験部屋にはピリピリとした
張りつめた空気が漂っていた。
緊張するなぁ……。
そう思いながら自分の席を探した。
あ、あった……!
椅子を引いて席に座った。
「ふぅ……。」
俺は席に着くと一息ついた。
それからすぐに文房具を取り出して
俺の席の机に置いた。
あ!
今、何時だろうか……?
ふとそう思うと自分が着ている
長袖の裾を少しめくり、
左腕につけていた時計を見たのだ。
8時5分か……
少し勉強でもしておくか!
そう思った俺は米田さんから
貰っていた過去問の問題集の
コピー用紙をかばんから
取り出して勉強を始めた。
勉強する科目は俺が苦手な数学と理科からだ。
勉強をしていると時間が
こつこつと過ぎていき、気づかぬうちに
30分ほどが時間が経過していた。
その直後教壇に試験官が登壇した。
「後、20分ほどで試験の説明を
させて頂きます。
もうしばらく、お待ち下さい。」
試験官がそう言うと黒板に
試験の時間を書き始めた。
時間が後ちょっとしかないな。
詰め込めるだけ頭に詰め込もう!
そう思った俺は引き続き
苦手科目を重点的に勉強した。
そして、8時50分になると
試験官が話始めた。
「今から問題用紙と答案用紙を配ります。
先に答案用紙にだけ名前を書いてください!
書き終えたらペンを置いてください。」
そう言われた俺は試験官に
言われたように答案用紙に名前を書いて
シャーペンを置いた。
「今から、問題用紙の注意事項を話します。」
試験官は注意事項を話始めた。
「それでは9時になりましたら
始めてください!」
時計を見ると8時59分だった。
もうすぐ、試験が始まる!
そう思うと心臓の鼓動が段々と
早くなっていくのが分かった。
この時は緊張状態が最高潮になっていた。
俺はもう一度時計を見た。
すると時間がちょうど9時になっていたのだ。
「9時になりました……。
それでは皆さん、始めてください!」
試験官がそう言うと俺は
裏返していた答案用紙を素早く表にした。
いよいよ、試験が始まったのだ。
俺が答案用紙を表にしたと同時に
受験生達は一斉に答案用紙を
表にしてからペンを取り、問題を解き始めた。
俺も受験生達に遅れずにすぐさま、
ペンを取って問題を解き始めた。
時間は2時間半もある……余裕だ!
そう思っていた俺は最初の教科の
国語を1つ1つ問題を解いていった。
過去問と同じような問題だったので
スラスラと解けていった。
さらに4択式なのでだいたい
予想が出来るのであまり迷わなかった。
そう思っていたのだが、心配していた
苦手な数学に手こずってしまい、
足止めされてしまった。
計算はこうだったかな?
ん?これがだったかな……??
そう自問自答するうちに時間は
過ぎていき1時間くらい時間が経過していた。
やばい……っっ!
そう思いなんとか答えを書き、
次の教科の英語に進んだ。
この教科は自信があったので
スラスラと解けていった。
その後国語から順番に
気が済むまで見直しをしていった。
そして、
時計を見ると1時間50分ほど立っていた。
試験開始から1時間30分ほど
立てば途中退出が出来るので
俺は迷う事なく途中退出をした。
持ち物を持ったまま別室に移動した。
そこでは昼休憩が終わるまで
試験部屋に入る事は出来ないのだ。
そこで昼飯を食べて次の教科の勉強をした。
それから、1時間ほど経過した
昼休憩が終わり、俺は試験部屋へと
戻ってきた自分の席に着くと
すぐに問題用紙と解答用紙が配られた。
「それでは皆さん……。
始めてください!」
そう試験官が言うと
午後の試験が開始された。
午後は理科と社会だ。
苦手と得意教科がはっきりと
分かれていた。
まずは苦手な理科から解いていった。
今回は過去問から出ている
問題と違う問題が出たので全然分からなかった。
とりあえず、答えを埋めて
社会の教科を解く事にした。
この教科は歴史、現代社会の
問題なので俺の得意分野だ。
スラスラと解けていった。
その後、見直しをして1時間くらいで
終わったためまた途中退席をした。
また別室の部屋へ移動……
ではなく、今回は部屋の前の
ロビーで待つ事になった。
理由は試験時間が1時間50分で
午前中よりも短いからだ。
トイレを済ませたり、ロビーの所に
ある丸いソファに座ったり、
コピー用紙を見ながら勉強して
試験が終了するまで待っていた。
そして、理科や社会の試験が終わり、
試験部屋の扉が開いた。
俺はすぐに席に着いた。
最後の試験は作文で30分間だけの試験だ。
作文の用紙が配られ、
試験官が試験の合図をしたのだ。
「それでは、皆さん、
始めてくださいっっ!」
俺は最後の試験と言う事で
凄く集中して取り組む事が出来た。
思っていたよりシャーペンで書く
スピードが上がっていき、
20分くらいで最後の行の
3行くらい手前で終らす事が出来たのだ。
出来る限りの事はやった…!
俺は達成感に満ちていた。
そう思っていると
「はい……!
やめぇぇーーーーー!
ペンを置いてください。」
と試験官に言われたのだ。
そう試験終了の合図だ。
回答用紙と問題用紙を回収されて
試験は終わった。
試験は終了して帰宅する事になった。
その途中、電車で帰ろうと待っている時に
同じ試験を受けた受験生達が
俺の後ろをぞろぞろと通っていた
俺の後ろはちょうど人が3人同時に
通れるくらい通路が空いてるのだ。
そこに受験生どうしで大声で話ながら
一緒に帰っている二人組がいた。
その二人組はこう言っていた。
「いい経験になったな?」
「まぁ、そんなもんだろ。あの試験は!」
俺は当時自衛隊に強い憧れを抱き、
旧日本軍のような屈強な心を
抱いていたため、自分の心の中では
そんなたやすく試験を受ける
人達を許せないでいた。
その二人組が言った事に対して
俺は国のためなら自分の命を
捧げる覚悟でいるのにこんな
生半可な気持ちの奴らがいるなんて……
と言う気持ちでいたのだ。
そんな事もあったが帰宅して
結果を待つ事になった。
頼む、頼む、どうか自衛隊生徒が
受かっていてくれっっ!
そういう気持ちで
結果を待つのだった……。
第四話へ続く……
自衛隊生徒懐かしいですね。
この時は凄い熱狂的な自衛隊好きでした。
本当に小説書いているとこの頃の事を
思い出します。
よく、自分の部屋で匍匐前進してました。
今では笑ってしまいますが。笑