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第十四話 内務

幸助達はそれぞれの不安を抱えながら

一歩ずつ前へと進んでいた。

浴場に入ると俺と小野は声をかけ合い

入り口の手前にあった風呂椅子を取って

ちょうど二人が隣に座れるほどの浴槽の

周りの空いた場所に向かい、隣合わせで座った。


「これから、大丈夫かなぁ……」

小野に聞こえるような声で

心配そうに話した。


すると、小野がこう答えた。


「俺もやっていけるか不安になってきた……」

小野は元気のない声でそう言ったのだ。


自分の持っていた緑色の風呂桶で

すくった湯船の湯を使って

体を洗いながらしばらく

お互いが無言になっていた。


しかし、このままでは駄目だと思った

俺は小野が明るくなるような話題を振った。

それはアニメや軍事の話だ。

それからはお互い盛り上がり、

意気投合した俺達は浴室から出ると

急いで着替えをして風呂場を出た。


すると、他の区隊の同期達が十数人ほどいて

二~三人に分かれてから

生活隊舎に向かっていた。


今度は俺の引率の元で小野と

一緒に生活隊舎に向かった。

生活隊舎の前に着くと


「別れます!」

敬礼しながらその一言を小野に言い指揮を

解くと競歩で俺達の班部屋に向かっていった。


部屋の前に着くと部屋の奥には

班長が帽子は戦闘帽、服装は上下戦闘服、

靴は半長靴を履いた状態でぽつんと

部屋の入り口を見つめながら

班員達を待っていた。


どうやら話があるらしい。


班長を見るやいなや、部屋に入る前に

班長の方を向きこう言って敬礼した。


「お疲れ様ですっっ!」

俺と小野は敬礼しながらそう言うった。


「お疲れさん!」

すると、班長が優しい声でこう答えた。

班長が敬礼を止めると俺達も敬礼を止めた。


部屋に入るとすぐさま白帽子を

取ってベットの鉄柱にかけた。


「あぁ、お前達!」

俺と小野を見るやいなや

班長が話しかけてきた。


「はい……!」

俺と小野が答えた。

すると、班長がこう聞いてきた。


「原田と新山、見なかったか?」

そう班長が聞いてきたのだ。


「いえ、見てませんが……」

俺が答えると


「そうか……

まぁ、まだ風呂入ってるやろ。

あいつらが帰るまでゆっくりしてて!」

班長が俺達に優しく言ったのだ。


そう言われた俺はこの日支給された

RVボックスをベットの下から前に出して

班長がいる方を向かず、

宮原が正面にいる方を向いて座った。


乗りごごちは木で出来た

椅子のように良いとは感じられない。


周りを見渡すと皆、携帯を触っていたので

俺もベットの頭側にある小さなロッカーの中に

置いていた携帯を取り出して操作し始めた。


彼女にEメールをしようと携帯を

開くとさっそくEメールが来ていた。

新着のEメールが1件来ていた。

内容を見てみると彼女からだった。


「こうすけ、元気してるかな?

頑張ってね!」

心配しながらも俺に

応援のメッセージを送っていた。


早く返信したい!

そう思い文を打ち始めた

その時……!


原田と新山が部屋に帰って来た。

「お疲れ様ですっっ!」

二人が大きな声で班長に

敬礼して挨拶をしたのだ。


「お疲れさん!」

班長が敬礼して二人にそう言うと

すぐに敬礼を終えた。


「話をするから風呂桶を片付けろ。」

しっかりと原田と新山を

見ながらそう言ったのだ。


「はい……っっ!」

大きな声で答えた二人。


班長が二人に言ったと同時に

班の皆が急いで小さいロッカーや

RVボックスに携帯を片付け始めたのだ。


そして、風呂桶を二人が同時に

片片付け終わった時に皆が携帯を

RVボックスに携帯を片付けた後

皆の目線が班長に注目した。


班長は皆を見渡すとこう言った。

「もう大丈夫かな?」


班長がそう言うと

もう一度皆を見渡すと話始めた。


「残す所、入隊式まで後5日だ。

これからは俺や村中班付、他の班長達が

お前達に厳しくなっていくから

皆そのつもりでやるように!」

俺は班長のこの言葉にこう思った。


お客様扱いもこれで終わるから

気を引き締めろと言う事か。

上等だ!やってやる!!

そうやる気が出ている反面、

彼女に早く返信したい

と言う気持ちが入り交じっていた。


班長はこう続けた。


「これから、班の皆を団結させていくため

班ノートを11人全員で毎日回していく。

ベットの並び順で書いてもらう。」


「まずは倉橋から書いていけ。

まぁ、なんでもいい。

自分が思う事を書いていけ。」


「それから、明日からはいよいよ

基本教練をする事になる。」


「班長、いいですか?」

上岡が右手を挙げて班長に話しかけた。


「ん?なんだ?上岡、言ってみろ!」

班長が上岡にそう話した。


「基本教練ってどこでやるんですか?」

上岡が気になって班長に聞いたのだ。


「それは今から話す……

いいか?上岡?」

班長は上岡の問いに冷静に答え、

軽く咳払いをした。


「はい、すいません……」

上岡は下を向いて小さい声で謝った。


「各区隊によって違うのだが、

一区隊は生活隊舎前で行う。

明日の国旗掲揚後に

区隊ごとに解散後、基本教練を行う!」


「最後に一つ……」

班長の淡々とした発言により、

二班の皆は固唾を呑んだ。


「この中で内務を決めてもらう!」

班長がそう言うと新山が唐突に言葉を漏らした。


「内務??」

その言葉の意味が分からず首を

かしげながら小さな声で呟いたのだ。

その状況を理解したのか、

班長が新山の方を向きこう答えた。


「リーダーの事。」


「あぁ、なるほどね!」

班長の発言に納得した新山。

班長はそう言った後、

班の皆を見渡すと全員が頷いていた。

さらに、班長は話を続けた。


「誰でもいいぞ。

班のリーダーになりたいやつは

今から、手を挙げろ!」

班長は周りを見渡しながらそう話した。

すると、誰一人として班長と目線を

合わせようとしなかった。

そのため、班長はこう言った。


「絶対に全員に順番が

回るようになってるから、

最初の方にやっておくと楽だぞ!

誰かいないのか?」

班長がそう言ったが皆は目線を

合わせず手を挙げようとはしなかった。


それどころか、皆は班の皆を見渡し始めて

誰か行ってくれと言わんばかりの

アイコンタクトを取り始めたのだ。


しかし、そんな空気の中

一人だけ手を挙げた者がいたのだった……



第十五話へ続く……



入隊式ももうすぐですね。

この小説を書いていると

書いた日は必ず自衛隊にいた

頃の夢を見ます。

それが、起床の時間の時の

夢が多いです。笑

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