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第十一話 一区隊

この時、助教達の自己紹介は

軽く行われたがこの話を語る上で

重要人物になるため先に書いておく。


まずは、区隊長。

区隊長の名前はむら区隊長。

身長は170㎝。年齢は35歳。

階級は三等陸尉。

左胸には佐東班長や区隊付と同様に

輝かしいレンジャー記章がついている。

性格は温厚で優しいが訓練に

熱が入るとつい厳しくなってしまう。

コーラが大好きでコーラを

飲みすぎてしまったためしゃくりが

常に出てしまっている区隊長。


次に一班の班付だった。

一班の班付の名前はまつ士長。

年齢は21歳。専門学校卒。

俺達より、2期上の先輩。

身長は180㎝。性格は優しい。

しかし、時には厳しく怒る時がある。


二班の班付の説明は省略。


三班の班付の名前はがわ士長。

年齢は20歳。高等学校卒。

2期上の先輩。身長は166㎝。

あだ名は「ハセキョン」。


堤下班長の側近である。

性格は堤下班長譲りなので

荒々しい性格だ。

そのため、気に入らない者は

他の班でも容赦はしない。


次に一班の班長から。

名前はとう班長。

階級は三等陸曹。左胸には

輝かしいレンジャー記章がついている。

身長は163㎝。年齢は32歳。

あだ名は優しい事がにじみ出ている

外見と優しい話し方から

「エンジェル」と言われている。

まさに俺達にとっては

この人は『天使』のような人物であろう。


次は三班の班長。

三班の班長の名前はつつみした班長。

階級は三等陸曹。

身長は172㎝。年齢は24歳。

レンジャー訓練に参加していたが

体調悪化で離脱。

しかし、レンジャー部隊にいたため

底知れぬ体力を持つ。

性格は荒々しく、短気。

堤下班長は俺達にとっては

佐藤班長の正反対の『悪魔』であろう。


最後に区隊付。

区隊付の名前は区隊付。

身長は168㎝。年齢は33歳。

階級は二等陸曹。

左胸には佐東班長と同様に

輝かしいレンジャー記章がついている。

性格は基本的には優しいが、

この人を怒らせば

一番恐い人物と言われている。

あだ名は「眠れる獅子」。


助教達の自己紹介が終わると

すぐに解散させられて食堂に

行く事になったのだ。

一階までかけ降りるとすぐに

班ごとで集合してそのまま食堂に行った。


食堂に向かうと長蛇の列が出来ていた。

当たり前と言えば当たり前だ。

ほぼ同じ時間帯に新隊員百二十八名全員が

一斉に食堂に向かったんだから。

俺達、二班の皆はその列に並んだ。


列に並んでようやく入り口の玄関に

入ると左手方向に手洗い場があった。

指の先まで丁寧に洗うと

ハンカチで手を拭き、

今度は食堂の中へと入っていく。


中へと入っていくと一番手前から

おぼん、はし、お碗を取ると

すぐ目の前に白飯が入っている

大きな釜の蓋を開けて白飯を

少し多目に取ると前へ進んでいった。


右手方向には30人ほど座れる

長いテーブルが10台ほどあって

広々とした物になっている。


そして、左手方向に長蛇の列を

進んでいくとおかず一品

(二品の時もある)、みそ汁を

厨房でおばちゃん達が作った物が

手前に並べており、それを取って

前に進むと目の前にあった小さな茶碗を

取ってお茶を入れているタンクから

お茶を入れるとようやく席に座る。


よく先輩や同期が言ってた

昔ながらの言葉がある。


「F駐屯地は飯は

上手いが訓練は厳しい!」

という名言があるほど

おばちゃん達が

作る飯は最高だ!


こんな上手い飯を

どうやって作っているのか?

見てみたいと思うほど

おばちゃん達が

作る飯は上手いのだ。


他の駐屯地から来た隊員も

口を揃えてよく言うほどなのだ。


一緒に来ていた班長、班付と共に

俺達二班の皆で夕食を

食べる事になったのだ。


「それじゃあ、皆、手を合わせろ!

いただきます!」

手を合わせるように指示を出した

入山班長が俺達二班の皆が

手を合わせたのを見て皆で口を揃えて

『いただきます』と言って

ご飯を食べ始めた。


もちろん自衛隊では常に時間との

勝負であるため、ご飯を食べる際も

急がなければならない。

遅れる者がいれば容赦なく

皆から白い目で見られたり、早く

はしを置くように皆から指示されるのだ。


なぜそこまでしなければいけないか

と言うと自衛隊は

全て部隊で行動するからだ。

その事が重要であるため、

一人でも遅れる者がいれば

『連帯責任』を皆が問われるからだ。


責任が問われる場合、たいてい民間では

自分自身もしくは上司と一緒に

取る事になるのだが、

ここではそうはいかない。


『一人は皆のため』、

『皆は一人のために』

という言葉があるように

団体行動が絶対必要なのだ。

教育期間中はその事を

徹底的に教え込まれる。


そのため、時間内に食べきれなければ

もったいないが残さなければならない。

残った物は廃棄するしかなくなるのだ。


自衛隊ではご飯を食べるのではなく、

制限時間内に食べ終えるために

ご飯を飲み込むのだ。

ご飯を一粒一粒噛み締めて

食べている時間等ない。

制限時間は基本的には

10分で食べなければならない。

しかし、この時は15分の時間を

もらっていたため、そこまで

切羽積めて食べる事はないものの、

内心は急いでいた。

早く食べなければ、いけない!

足手まといにはなりたくない!

そんな気持ちから自然に早く食べていた。


皆、無事に食べ終えると

入山班長がこう言った。


「ごちそうさまでした!」

すると、俺達二班は皆、

手を合わせてから口をそろえて

大きな声でそう言った。

俺達は席から一斉に

おぼんを持って立ち上がり、

右奥にある洗い場に向かった。


おぼんや皿等を洗い場で

洗ってから食器を直す所に置いていった。


片付けを終えて右の出口から出ると

バディの順番に並んで

班長の指揮の元に生活隊舎に

駆け足で向かった。

駆け足の姿勢は中学、高校等で

する駆け足の姿勢と同じだ。


駆け足と号令を出されると

両手を拳にして脇を閉め、

両手拳を胸に引き寄せるのだ。


風呂桶が必ず必要だと言われたため、

駆け足で今度は売店(自衛隊では

PXとも言う。)に向かった。


売店で緑色の風呂桶を買うと

再び駆け足で生活隊舎に向かった。



生活隊舎に着くといつも通りの

基本教練をして解散した。

解散後は部屋に戻ってから

皆それぞれ風呂へ行く準備をした。


お風呂に行くまでは皆、部屋でくつろいでいた。

勝手にベットに座れば助教達に怒られるため

立ったままロッカーにもたれかかったり、

ベットの手すり部分に

もたれかかる形で休憩していた。


夕食を食べてから一時間半ほど立つと

お風呂に行く時間になった。

次は班付の引率の元、お風呂に入る事になった。


俺達は生活隊舎に出ると班付の

引率の元、浴場に向かった。

浴場前に着くと班付の「別れ!」の

号令で解散して前にある浴場を見てみると

一番左端は教育隊、真ん中は中隊専用、

右端は幹部専用浴場に繋がる入り口になっているのだ。


もちろん、俺達は教育隊と書かれた

左端にある入り口に入った。

俺達が左端の入り口から入ると

溢れんばかりの同期達が入っていた。


「……!!!」

俺はその光景を見て言葉を失った。

なんて、人数なんだ!?

30~40人ほどの同期達がいたのだ。

その様子を見て班付きがこう言った。


「ぼさっとしてないで。

早く空いてるとこに入れろ!」


「はい!」

俺達は大きな声で返事をすると靴箱に

靴と白い帽子を入れて風呂棚に

風呂桶や着替え等を置いた。


服を脱いで体を洗う小さなタオルと風呂桶を持ち、

風呂場に入ると左側には大きな浴槽があって

20~30人ほど入れるスペースがあった。

教育隊が使っていいのはこの浴槽なのだ。


右側には奥に15人ほど入れる浴槽と

右側の入り口を入って

すぐ手前には水風呂があるのだが

教育期間中の新隊員は使う事が出来ないのだ。


さらに言うとその右奥には10人ほど

入れる小さなサウナがある。

もちろん、ここも俺達には

使う事が出来ないのだ。


目の前には大きな浴槽の中に同期達が

20人ほど入っており、さらに浴槽の周りには

同期達が30人ほどびっしりと

引っ付くように風呂椅子に座っていたのだ。


浴槽の周りにいた同期達は浴槽の湯船の

お湯を使って頭を洗ったり背中を流したりしていた。


俺はその光景を見て唖然としていたが

すぐにその理由が分かった。

左側を見ると鏡台の前の体を

洗う場所が全て他の同期達に使われていたからだ。


さらによく目を凝らして見てみると

鏡台の前には二人ずつ風呂椅子に座っているのだ。

鏡台は十二個ほどあったので二十四人はいた事になる。


風呂から出ていく他の区隊の同期達を

待つのが俺と原田と前に並んでいた

他の二班の同期達を合わせて五人ほどいた。


俺はこの時思った。

囚人生活が始まったと……。


そして、これから更なる過酷な事を

体験していく事になろうとは

思いもしなかったのであった……。



第十二話へ続く……




駐屯地の仕組みは基本は変わりませんが

駐屯地によっては風呂の配置や食事のメニュー等

細かい所が少し違う所もあります。

それはその時の駐屯地司令もしくは

陸将等の将校の方々によって

変わってくると思います(´∇`)



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