表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/32

第十話 始まり

入隊一日目、自衛官としての

一日目が始まっていくのだった……

班長の話したとおり、1645(ひとろくよんご)には

終礼しゅうれいを行うため、俺達は三十分早く

四階の屋上に集まった。

終礼しゅうれいとは運用訓練幹部

(俺達の教育隊の運用訓練幹部の階級は三等陸尉)を

長とする教育隊本部、教育隊の助教達、

俺達新隊員が屋上に集まって

運幹(運用訓練幹部の略称名)や

教育隊本部の隊員から一日の業務が

終了した事を教育隊の助教達や新隊員達に伝える。


また、運幹(運用訓練幹部の通称名)か

教育隊本部の隊員が翌日の訓練や

翌日からの訓練を指示したりする事を言う。


終礼の並び方は最右翼が教育隊本部の隊員達。

もちろん階級の序列順。

教育隊本部の隊員の役職は

運幹、燃料、補給(被服等)、武器、衛生等。

運幹は最右翼に並んでいる教育隊本部の

隊員達の右斜め前にいて終礼の指揮を取るのだ。


最右翼に並んでいる教育隊本部の隊員の順番は

縦一列に並んでいる。

前から順番に燃料担当のやま一曹、

補給担当のぬま二曹、

武器担当のやま三曹、

衛生担当のなか士長。


この最右翼の教育隊本部が基準になって

縦一列に並ぶため助教達や俺達新隊員は

教育隊本部の隊員達にならって整列する。

ちゃんと綺麗に並ばなければいけない。


しかし、真っ先に教育隊本部をならって

並ぶのは第一区隊長以下助教達だ。

助教達が教育隊本部にならって並ぶと

助教達の隣は第一区隊の一班から順に

並んでいってその横に2mくらい空けてから

二区隊の助教達、二区隊の新隊員、

間を空けて三区隊の助教達、三区隊の新隊員、

間を空けて四区隊の助教、四区隊の新隊員

という並びになっている。


全区隊の教育隊の新隊員が終礼より

三十分早く屋上に集まると

当直陸曹が目の前に出てきた。

全区隊の新隊員達の並び方は見よう見まねだ。


俺達二班は最右翼にいた一区隊の助教達を

見てならって並ぶのだ。

もちろん、右隣にいた一区隊一班にもならって並んだ。


俺達二班はならって並ぶと左隣にいた

三班やその左隣にいた二区隊の助教や

新隊員達も俺達と横の並びを合わせるように

俺達二班の皆をならって並んだ。


そして、全区隊の新隊員、全区隊の助教達の

整列が終わると当直陸曹が前に出て来た。


「今から、お前達に基本教練を教える。

簡単な事だから、すぐに覚えるように!」

当直陸曹が全区隊の新隊員に向けて言った。


「はいっっ!」

俺達、新隊員の皆は大きな声で元気よく答えた。


当直陸曹は俺達、新隊員の皆に気をつけ、

右向け右、左向け左、敬礼、かしらなか

休め等の基本教練を簡単に教えてきた。


当直陸曹の一通りの説明が終了した後、

教育隊本部が到着するまでそのまま

休めの姿勢でいるように言われた。


気をつけとは両手を握り 、肘を伸ばして

手首を体側に密着させる。

この時、親指は中指と人差し指の間に

置かなければならない。

(指どうしを挟んではいけない)


また、気をつけの姿勢は足の開きまで見られる。

足の開きは足については、両方のかかとを密着させ、

つま先は約60度 の角度に開く。


この一連の動作を不動の姿勢とも言う。


右向け右と左向け左とはまず向きたい方向と

反対側の足のつま先を軽く立て、

向きたい方向側の足のつま先を少し浮かせる。

(右向け右なら右足のつま先を、

左向け左なら左足のつま先を)


その状態でそのまま一気に

向きたい方向に向きたい角度だけひねる。


この時、つま先を立てた方の足はつま先で、

つま先を浮かせた方の足はかかとを軸に回る事。

すぐにかかとを立てると瞬間に

回わらなければならない。

ここまででが1動作。


足の形はまだそのままにして

つま先等は立てたままにして置く。


続いて、向きを変え終えたら

向いた方向と反対側の足、

つまりつま先を立てている方の足を

一気に引き付けて不動の姿勢

(気をつけの姿勢)に持っていく。


両足がくっついた瞬間に、自然にもう反対側の

足のつま先も地面に下ろす。これで2動作。


この号令を最初に教えてもらった時は

簡単だと思い、たかをくくっていたが

周囲に認めてもらうほど完璧に

行うまでに一ヶ月ほどの時間がかかった。


整列休めとは足を開いて手を後ろで組み、

足は左足だけを動かす。

(右足の位置はそのままで角度のみ微調整する)

足の間隔は約25cm、

角度は約45度にする。

(不動の姿勢の時とは違う。)

手は後ろで右手が外側になるように組む事。

この時、親指以外を曲げてはいけない。


また、整列休めでは(休めの時もそうだが)

手を組む高さが腰椎 (お尻の上の方の少しへこんだ

ところのさらに上あたり) の上部に手を置く事。


この姿勢をとると、よくニュースや

駐屯地祭りでも見かけるようにいかにも

『自衛官!』 だという感じがする姿勢と言える。

この姿勢では主に、上官の話を

聞いている時や訓示の際に

隊員がとる姿勢である。


休めの姿勢とは足や手の

組み方は整列休めと全く同じ。

唯一違う場所と言えば手を置く位置の高さだ。

『整列休め』 の時は腰椎の上あたりと言ったが、

『休め』 ではそれよりも下側、

仙椎の真上あたりで組む事。


簡単に言えば普通に休めの姿勢を

とっただけの形というわけだ。

ただし、単に 『休め!』 と

命じられた場合は、

一旦 『整列休め』 の姿勢を

とってから手だけ下げて

『休めの姿勢』 に持っていく。


休め!と指示されてから

1、2で瞬時に動くのだ。

また、整列休めから休めと命じられる

パターンもありこの場合は、

手を下に下げるだけにする。


敬礼の姿勢とは二種類あるが今は帽子を

かぶっていない時なので脱帽時の事を言う。

脱帽時は10度の敬礼を行う。

屋内活動中や営内稼業中など、

帽子をかぶっていない際に敬礼をする時は

会釈の動作で敬礼を行う。


ただし、会釈と違って角度は10度と決められており、

曲げる動作と戻す動作は出来る限り

俊敏に行わなければならない。


かしらなかとは前方の高台もしくは

舞台上に執行者が登壇した際に向けて

指揮者が挙手の敬礼をし、指揮者の列中にある

隊員が鼻先や顎から顔を執行者に向ける事。


1645(ひとろくよんご)になり、

当直陸曹が前に出て来た。

当直陸曹とは月曜日と木曜日に

教育隊の助教達(各区隊の班長達)が

ローテーションで行う。主に教育隊の当直室にて

非常時の時に真っ先に対応出来るように

約3日間常駐するのだ。

業務内容は電話応対、朝礼時の点呼、

終礼時に各部隊を整頓させる事、

緊急時の対応、各区隊の班長の業務等を行う。


「整頓します。

気をつけぇぇーーーー!」

当直陸曹が気をつけの姿勢で

教育隊の全隊員達に向けて気をつけの号令を出した。

突然、当直陸曹の威厳ある号令に身震いする俺達。

そんな様子の中、気をつけの姿勢を

誰一人かける事なく綺麗にシンクロするほど揃っていた。


これが自衛隊か……

やっぱり、かっこいい!

俺も当直陸曹のように

あんな威厳ある号令をかけてみたい。

俺はその号令を聞いた時にそう思ったのだ。


「終礼、集合あり!」

当直陸曹が基本教練の半ば左向け左で

運幹の方を向き、挙手の敬礼をしてからそう言った。

終礼を行う際は必ず運幹に報告しなければならない。

表彰状を行う際は教育隊長の

かしわ二等陸佐

(副駐屯地司令及び副連隊長)または

副教育隊長のみず一等陸尉

(本管中隊中隊長)が指揮をするので

その二人のどちらかになる。


「休めーーー!

連絡事項!」

運幹が教育隊の全隊員に休めの号令をかけ、

教育隊本部の隊員達の方を向いて

『連絡事項!』と言った。

意味は連絡事項はないか?と言う意味なのだ。


「はい、私から一点!」

運幹がその言葉を言った直後に

教育隊本部の武器担当桧山三曹が

手を上げて運幹とアイコンタクトを取った後、

全区隊まで聞こえる範囲の声でこう言ったのだ。

すると、俺達の前に出て来た。


「これから、新隊員が64式小銃を使うと

思いますが部品がちゃんとあるかどうか

必ず助教達の皆さんは新隊員に

チェックさせて下さい。後からないと

言われれば大事です。しっかりお願いします!」

全区隊の助教達に対して注意換気を行った。

話終えた後、運幹の方を向いて挙手の敬礼をして

自分の並んでた場所に戻っていった。


ほか!」

運幹が周りを見渡しながらそう言った。

意味は他に何か報告はないか?

と言う意味で使う言葉だ。


「なし!では、私から一言。」

そう言うと運幹が中央に歩き出した。


運幹が中央に着くと当直陸曹が

用意した脚立にかけ上った。

脚立にかけ上ると皆を見下ろせる

位置に着いたのだ。


「君たちはこれから、3ヶ月間ここF駐屯地で

自衛隊の基礎知識を学んでいく。」


「皆、不安な事があるとは思う。

それぞれ思う事があるだろう。

今、ここにいる区隊長、区隊付、班長、

班付達の皆がやってきた事だ。」


運幹が五分ほど俺達新隊員に向けて

話続けた後に話が終わり、運幹はふと時計を

確認して見てみると

時刻は1658(ひとろくごーはち)になっていた。

その事に気づいた運幹は

すぐさま俺達に号令をかけた。


「気をつけーーっっ!

左向けーー……左っっ!」

運幹は全区隊の全ての隊員に号令をかけて

国旗がある方向に向きを変えさせた。


「休め!」

運幹の号令で全ての隊員が

国旗の方向を向いた状態で休めの姿勢を取った。

そして、1700(ひとななまるまる)に

なって運幹や他の隊員達の時計の

アラームが一斉に鳴り始めた途端

運幹は全ての隊員に対し、号令をかけた。


「気をつけーー!」


「敬礼!」

運幹は全ての隊員に対して気をつけの

号令をかけた後に国旗に対して

挙手の敬礼の号令をかけたのだ。

この時、俺の体が身震いしていた。


俺、自衛官になったんだ!

やっぱり自衛隊って凄くかっこいい。

早く、この事を家族や友達に話したい!

そう思うほど俺は嬉しくて体を震わせていた。


「直れ!」

国旗が下まで下がり終わってから

運幹は全隊員に対して、直れの号令をかけた。


「右向けぇぇ右!」

その後、運幹は全隊員に対して

右向け右の号令をかけてから休めの号令をかけ、

再び脚立に乗るとこう言った。


「これにて、終礼を終わる。」

運幹がそう言った。


「気をつけぇーー!」

最右翼の前方に立っている山井一曹が

運幹の言葉を聞き、大きな声で

教育隊本部の隊員に対して

気をつけの号令をかけたのだ。


その瞬間、各区隊長も各区隊の隊員に

対して気をつけの号令をかけた。


「運幹に対し、敬礼!」

山井一曹が運幹に敬礼するように

全隊員に号令をかけたのだ。


「頭ぁぁーー左っっ!」

各区隊長も運幹に敬礼するように

各区隊の隊員に対してかしら左の号令をかけた。

この時、各区隊長と山井一曹達の指揮者のみ

挙手の敬礼をしていて、列中にいる

全ての隊員は鼻先や顎から顔を運幹に向けたのだ。


「直れ!」

山井一曹や各区隊長達が一斉に列中にいる

隊員に向かって直れの号令をかけた。


山井一曹はすぐに回れ右をして、列中にいる

教育隊本部の隊員達に「別れ!」の

号令をかけて解散させた。

その時、各区隊付達が山井一曹同様に行い、

助教達を解散させた。


そして、俺達一区隊は一区隊長の

号令の元で動き始めたのだ。


「前ぇぇーー進めっっ!

左、左、左、右!

左、右、左、右。」

一区隊長は回れ右をしてから俺達に前を

進ませながら俺達の歩調を

合わせるように言い始めた。


この時、列を解散していた助教達が

俺達の動きを凝視していたのだ。


「縦隊、右ぇぇーー進めっっ!

左、右、左、右。」

一区隊長は俺達を右奥にある洗濯物を

干す場所の手前まで進ませていた。


「右向けぇぇーー止まれ!」

一区隊長は俺達に右を向いた状態で止まらせたのだ。


「単間隔に整頓する!

右ぇぇーーならぇっっ!」

一区隊長がそう言うと一番右端にいた

各班の内務が目線は前を向き、

左手で股関節の付け根を持つように

左手を置くと肘を突き出すような態勢にするのだ。

各班の内務が基準になるため、

内務以外のその他の列中にいる

隊員は内務にならって並ばなければならないのだ。


「休めっっ!」

一区隊長が俺達に向けて休めの号令をかけた。

そして、一区隊長が俺達に向けて話始めた。


「これから、3ヶ月間一緒に

やっていく助教達を紹介する!」

区隊長がそう言うと助教達を横一列に並ばせた。


「まず、俺から……。」

区隊長がそう言うと自己紹介をし始めたのだった……



第十一話へ続く……



少し編集に時間がかかりました。

お待たせしました(*´ω`*)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ