夢
3 夢
透は夢を見ていた、
夢の中で目を覚ますとそこは城の中だった。
燃え盛る城の中だ。
周りからは子供の泣き叫ぶ声や女の人の悲鳴が聞こえてくる
透は何度も助けようとした、だがこの夢の中では誰も透のことを認識できない
くそっ!!!!
なんだってんだ!女の子がすぐ目の前で苦しんでいるのになんにもしてやれない、、
そんな思いをしながら、透は奥へ進んでいった、まるで誰かに引き寄せられるかのように
透は城の最上階までやってきた、そこはいかにも王室、皇室って感じの部屋で
シャンデリアにレースつきのベッド、いたるところから王室なのだということが伝わってきた
そして、
部屋の真ん中にいる少女に気がついた、そしてそれを取り囲むように5、6人の男たちの存在にも気がついた
女の子のほうは怪我をしているようだ、今にも倒れそうな顔でなにかを叫んでいる
透にはなにをはなしているのかが理解できなかった
そして、次の瞬間一人の男の手が女の子の首に伸びる
そのまま上に持ち上げる、女の子は抵抗していたが、もう一人の仲間が呪文のような何かを使い眠らせてしまった
このままでは連れ去られてしまう、何かできることはないのか!
透は女の子を抱えている男に殴りかかった、
スカっ、、、
男の体を貫通して拳は空を切る
ああああああああああああああ!!!!!!!
もう!なんとしてでも助けてやりたい
だが何度やっても透の拳はあたらず、空を切るばかりだ
透が諦めかけたそのときだった
「少年よ、諦めるのか」
どこから聞こえたかは分からない、だがその声はしっかりと透の耳に届いていた
「もう一度問う、少年よ、諦めるのか」
もちろん、諦めたくないにきまっている、だがこの状況を打開する手立てがないことも確かだ
「諦めたくないに決まってる!女の子はみんな男が守らなきゃいけないんだ!だけど、こんなのどうすれば、、」
「少年よ、女の子を守りたいという気持ちに嘘はないか」
「ああ」
「お前の身を犠牲にしてもか」
「当たり前だ!!」
即答で答えた透に謎の声は、一瞬だけ間を置いて、告げた
「お前の覚悟はしかと受け取った、我はお前にこの状況を打開するチャンスをやる、だが我ができるのはここまでだ、そこからはお前の思いの強さが力となる」
「最終確認だ、お前は女の子が好きか」
一瞬と惑ったがしっかりと答えた
「大好きだ!」
次の瞬間透の体は光を放ち気を失った 、かのように思えた、
よく見ると周りのものがすべて止まっている、窓から見える外の景色も、女の子を抱えて走り去る男も、
それは、まさしく神の力のようだった
その神の力に驚愕していると、また頭の中にこえが響く
今度は、女の人の声だ
「これからあなたの魔力適正値、身体能力値、異能期待値、言語理解値、を計測します、この結果に応じてあなたの異能が決まります」
「え?あ、はい」
透は何のことかよく分からなかったが、目の前で攫われそうになっている女の子を助けられるならそれでよかった
魔力か、魔法とか使うのかな俺、、
「計測終了、数値はすべて100を上限とします、結果は、魔力適正値が50身体能力値が63言語理解値98、、そして異能期待値がerrorです」
「よって、総合結果は、、
「っておい!ちょっとまて!errorってなんだよ!」
おいおい普通異世界へ行く系の話は主人公最強じゃないのか?
「errorはerrorです、私に言われても知りません」
「そ、そんな無責任な!」
「ぎゃーぎゃーうるさい人ですね、もうとりあえず異能だけ教えるんで後はご自分で覚えてください」
「す、すいません」
なんで俺が誤ってるんだろう、、、
「でわ、貴方の異能を発表します」
デュアルフェイス
「戦 闘 型 人 格です」
「戦闘型人格?なんだそれ」
「まぁ簡単に言うと戦闘をする時のみ使用者の人格が変わり戦闘能力や、頭脳などが大幅にあがるということです」
俺はすぐにはこの戦闘型人格のすごさが分からなかったがそれはすぐに分かるようになる
まぁようするに戦う時は最強!普段はいつもの俺というわけだ
「とりあえず、だいたいは分かったよ、ありがとう」
「別にお礼なんて頼んでいません、これが仕事ですので」
「はいはい」
「では、私はこれで、、、、、あ、いい忘れてましたが私が消えるとこの時間停止の異能の力も消えますのでご注意を~この空間から抜けると晴れて召喚成功になります」
え?なんだって?ってもういないし時間がなんたらとか言ってたけど何のことだろうか、まぁいいとりあえず作戦を考えてってあれ!?
何で動いてるんですか?みなさん
「おい、お前どこから入ってきたどこの種族の者だ!いえ!言わぬと言うのならここで殺す」
絶対絶命のこの状況、普段の透ならパニクッてしまうだろう、だが今の透は普段の透ではない
デュアルフェイス
戦 闘 型 人 格だ
「人に種族を聞くときは自分からって習わなかったのか?無礼なやつらだなおいおい」
やばい、自分に自信がわく、今なら何でもできる気がする、いや何でもできるんだ今ならこの戦闘型人格を使っている今ならできるんだ
敵のリーダー的立場のやつは冷酷に言い放った
「お前ら殺せ」
その瞬間4人の手下が一斉に襲い掛かってくる、だが透にはすべて歩いているかのように見える、
透は一人ずつ確実に倒していく、格闘技なんてやったことのない透にとってはいい相手だったのかもしれない
そして気がつけば残り二人になっていた、
「なぁ俺と取引をしよう、俺が強いことは今見てくれた通り明白だ、俺も無駄に人を傷つけたくない、そこで!その女の子を返してくれればお前らは見逃してやる、どうだ?わるくない提案だと俺はおもうけどな」
「わかった、その取引に乗らさせてもらうよ、だが最後に聞かせてくれお前の名は何だ」
透は深呼吸したあと、答えた
「俺は霧崎 透だ!」