12、帰還
「現実戻りたい…。」
漫画、アニメなどの娯楽がないこの世界に飽き飽きしていた。
(帰れるよ。)
まただ。頭の中から響いてくる。
この間の塾で習った、通称、思念通信。
「帰れるってどういうことだ。」
(そのままの意味だけど?)
「どうするんだ?」
(言ったでしょ。帰るときも唱えろと。)
…思い込んでいた。あの変な模様の魔方陣を書かないといけないと。
言ってなかったな。たしか唱えろと言っていたっけ。おもいこみが激しい自分を恨む。
「ってかお前は一体何者だ?」
(僕はこの世界に飽き飽きしているのさ。だから、君を召喚魔法で呼んだって言っても君の方から転移したんだけど)
帰るためには、あの恥ずい呪文を唱えなければいけない。やりたくねえ~。
(君には期待していたんだけど。)
勝手に期待すんな!嫌?待てよ・・・。
「娯楽がないならこっちに娯楽を持ってこればいいじゃないか!!」
(機体に答えてくれるの?)
「いや、お前のためじゃない。」
数日前…
ああねみ~!!
ん?女の子か?泣いているが…
「おい?大丈夫か?」
モテる基本1:さりげなく泣いてる場合ハンカチを渡す。
俺、完璧。
「お父さんと、お母さんは?」
俺が聞くと、少女は切なそうに
「仕事…」
「誰も…遊んでくれないのか?」
少女は黙ってこくりと頷いた。
あんな子をこれ以上増やさないためにもがんばらねば!!
妹属性!!解禁!!
塾長にすぐさま
「親が急病で倒れたので退塾します。」と言ってさったのである。
さようなら。馬車のお姉様。
さようなら。この世界。
「なんで、アレを叫ばなければいけなくなるんだ!」
(おもしろいからいいじゃん!)
何が面白いだ!
よし…
「スーーー!!は…」
カッと!!!!
これで俺の黒歴史は抹殺された。サヨナラ!!
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