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4・遠足なのです

 入園から早2ヶ月。季節は夏へと移り変わろうとしている。

 さくら組の中の勢力図も大体定まった。

 わたしですか?

 女の子グループの中の目立たない一人です。

 平凡上等なのですよ。

 注目されるなんて柄じゃない。

 前世で懲りた……。


 さて、わたしの通園する幼稚園は毎年5月に遠足がある。

 年少組の行き先は動物園らしい。

 ベタだけど子供には受けるよね!

 斯く言うわたしも大好きである。

 最近のお気に入りはアルパカさんなのだ。

 あのしれっとした顔が好きですよ。


 遠足はバスで行く。

 バスで誰の隣に座るかというのは永遠の命題である。


「みーちゃん、となりすわろ」

「いいよー」


 わたしは早速ナナちゃんと約束した。

 ナナちゃんは行き帰りのバスでも隣に座っている。

 アイドル大好き、この年にしてミーハーな情報通である。

 よかったー。

 ぼっち遠足は免れた。

 遠足にぼっちとか心が折れるよね。

 おやつは300円まで。

 バナナはデザートなので含まれませんよ。


 幼稚園から帰ったわたしは、300円を握りしめてウキウキとおやつを買いに行く。

 母は初めてのおつかいということで緊張していたようですが、気にせずに出発した。

 ドキドキしているところ申し訳ないが、中身はもういい年なのですよ。

 そんなに心配しなくていいよ!


 行く先は近所のスーパー。

 駄菓子屋さんがあればもっといいよね!

 だけどこの近所にはないみたい。


 母と一緒によく行くスーパーなので、配置はよく知っている。

 まっすぐに向かうのはお菓子コーナー。

 いつもお馴染みの駄菓子を前に、あれこれ目移りする。

 むうぅ……。

 ラムネは捨てがたい。

 あっ焼きチョコがある。

 悩む……。


 所持金と相談しながら商品を吟味していると、いきなり前に突き飛ばされた。


 おおぅ!

 背後からとは卑怯な、り……。

 お菓子の棚に顔からダイブするところでしたよ!


 ギリギリと首を締め上げられながら振り向くと、わたしの首に抱きつく天使の姿が!


「みあちゃんー」

「りおちゃ、」

「あらあら。理央、首がしまってるわよ」


 りおちゃん親子の登場です。

 りおちゃんは公園友達ですが、がくねんは一個上です。

 確かカトリック系の私立幼稚園に通っているとか。


「ミアちゃんおつかい?」


 りおちゃんママがおっとりと聞いてくる。

 うーん。

 りおちゃんはキラキラの美少女ですが、りおちゃんママもおっとり美人さんです。

 この子にしてこの母あり、とはこの事かしら。


「そうよー。えんそくのおやつなの」

「えんそく」

「どうぶつえんだよ」

「どーぶつ?」


 子首をかしげたりおちゃんが、ぎゅっと抱きついてくる。

 く、苦しい。


「りおもー! りおもいくー!」

「理央の遠足はもう行ったでしょ?」

「いくの!」


 りおちゃんは普段おっとりなのに、、強硬に主張する。

 そんなに好きなのかなー、動物園。


 結局、可愛いイヤイヤをするりおちゃんには、休みに一緒に動物園に行く約束をするまで離してもらえなかった。

 うーん。

 ママに相談しなくては……。

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