第8話:敬 3
投稿ギリギリかもしれません(ノ_・。)
…敬に引き止められた駅
…敬の愛を少し感じた駅
…敬を好きだと確信した駅。
またその駅に私は立っている。
今度は敬の愛に答えたい。
素直になる。
そう誓い敬の来るのを待っている。
来た!
またバイクを借りてきたのだろう。バイクは私の前に停まった。
『乗って』
初めて会った日を思いだした。
私は敬の後ろに乗り敬の腰に手を回した。初めての時は何も思わなかったが、
敬の背中大きい。手を回した腰も引き締まっているのが分かった。・・うっとりしているうちに敬の家に着いた。
バイクを降り、敬の後を付いて家に上がった。
敬はまだ何も話していない。
(やっぱりこの前のことで起こっているのかなぁ…)
部屋に入り私はドアの横に座ろうと…
その時、敬が…敬が私を抱きしめた。
敬の匂い… 心地良い。うっとりした。
私も敬の腰に手を回した。
しばらく立ったまま抱き合っていると、敬がそっと離れたと思ったら、私の手をとりベッドに連れて行った。
2人向かい合うようにベッドの上に座った。
敬は私をじっと見ている。
私も敬をじっと見た。
私は敬の視線に耐えられなくなり目をそらしたとき,敬の手が私の髪を撫でるように触れた。
敬の手が頭の後ろに周り手に力が入るのが分かった。
『たか…』
私の言葉を遮るように、私の唇と敬の唇が触れた。
初めてのキス。
とても優しいキス・・・私は目を閉じ、敬に任せた。
敬はキスをしたまま私を抱き寄せ、そのまま優しく横になった。
唇が離れ、私を覆い被しているような敬と見つめ合い。またキスをした。
敬の手が私の頭から少しずつ下に降りていき胸に触れた。
『…!?』
(もしかして、これってエッチする感じになってる!?)
私は我に返ったように、キスを止めた。
『駄目?』
敬は吐息まじりの声で言った。
駄目な訳じゃない。でも、こんなことになるなんて考えていなかった。
勿論、私は処女。
そのことを敬は知っているのか知らないのかは分からない。
敬はまたキスをした。溶けてしまいそうなほど優しくキスだ。
敬の手が胸から下に降りる。スカートの中に手が入り、私はキスに酔いしれている場合ではなかった。
(これからどうなるの?敬の手はどこにいくの?)
そんな焦りで頭がいっぱいになり、心臓は音が聞こえてしまうくらいにドキドキしている。
敬の手が私のパンツに触れたとき…
(駄目だ!怖い!)
敬を押しのけた。つもりだったが、男の力に叶うはずもなく押し退けることはできない。
敬の手を掴んで私から離そうとした。…駄目だ。かなわない。
もう、敬を止めることは出来ない。
敬の指が私の中に入った。
痛いっ!怖いっ!嫌だ!
『止めて!』
敬の力が一瞬抜けた隙に敬を押し退けた。私はそのまま敬の家を飛び出した。
敬の家を飛び出し、どれくらい走ったか分からないが、走り疲れゆっくり歩いた。
―私は今日こんなことをするために来たんじゃない
敬と話したかった。
私の気持ちを言いたかった。
敬の気持ちをちゃんと聞きたかった。
敬はそういうつもりで今日私と会ったんだ
そう思ったら涙が溢れ出てきた。
涙を拭くこともせず、溢れ出た涙を止めることも出来ず、小さく声を出して泣いた。
私は歩いた。
もう二度と来ることのない駅まで…