第50話: スタート
私。梓18歳。
就職先も決まり、キャバ嬢としての新生活がスタートしました。
私の考えは此処でも甘く、キャバ嬢の仕事も楽ではなかった。
初対面の男性への接客。
半端無い気遣い。
どれも今まで無かった事だけど、私は苦痛よりもやりがいを感じた。
今までも向上してきた自分を綺麗にする事。
自分を綺麗に見せる事。
男性を振り向かす喜び。
お金を儲けながら、この意識を高めていく事が出来るのは、お水の他には検討もつかない。
しかしその裏には、人間の汚い部分が行き交いしていた。
誰もがNO.1を目指し争う。
全ては金と女のプライドだ。
私はそんな世界も好き。
上辺だけの付き合いで、心底が知れない付き合いよりも、この世界では言わずとも誰もが持つ貪欲さ丸見えの付き合いの方が楽だ。
そして、私もNO.1を目指したい一人だ。
いや、必ずなる。
私は見る見る夜の世界の虜になった。
そして目標を見つけた私は一人の男に頼らなくても満たされていた。
聡士と会う時間は減り、連絡さえも遮り、聡士からの連絡は途絶えた。
後悔はない。
自ら選んだ道だから。
今の私に聡士は必要ない。
メリットのない男は要らない。
1ヶ月としない内に、徐々に固定客が付きだした。
男性客との気持ちの駆け引きが楽しくてしょうがなかった。
私はこの時はっきりと分かった。
聡士との別れは正解だった。
彼氏が居れば、今の私の向上心はなかっただろう。