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第47話: 再び


 私は高校生活でかなり人の輪が広がったが、友達と呼べる人は恵里だけだ。


 それに比べ相変わらず私から男が絶える事はなかった。

 知り合いの紹介。ナンパ。


相手は誰でも良かった。

自分を好きでいてくれる人なら。

 付き合って別れて、また他の人と付き合い…。

一人の人と1ヶ月もてばいい方だ。


 そんな私にまた新たな出会いがきた。


 聡士さとし。私より二つ上で二十歳のフリーターだ。

 聡士は私が今まで出会った男とは違ったタイプだった。


今までは見たからにヤンキータイプだったが、聡士はB系スタイルのお洒落な人だ。


 出会いは簡単。

恵里と街をぶらついていた時に、恵里の元彼と会い、その時居合わせたのが聡士だった。



 その場の流れでアドレスを交換し、二人で会う事になり、会ったその日に告られ付き合う事になった。


私には良くある展開だ。


 聡士は私と同じで仕事をしておらず、生活パターンは良く似ていた。


夕方頃目が覚め、夜になると友達と集合する。


私の場合相手は恵里だけだが、聡士はいつも5、6人でたむろっている。


 恵里は学生だから次の日の事も考え遊ぶ時間も限られている。


聡士の友達も仕事をしている子がいる為時間は限られる。


 しかし、夕方起きる私達は寝れず朝までDVDを見たりで、結局寝付くのは朝だった。


 私達は付き合ってから時間を有効に使う事が出来た。

夜は恵里と会い、遊び終わった夜中聡士の家へと向かった。

聡士も同じだった。


今まで一人で暇を潰していた時間を一緒に過ごす事で、友達との付き合いも彼氏彼女の付き合いも上手く保てた。


 聡士の事が好きだと聞かれれば好きだと答えるが、聡士に対し燃え上がる様な気持ちはない。



ただ聡士と一緒にいて気が楽だった。


変に干渉しないし、けれど私に十分愛を感じさせてくれるから。


 私は知らない間に他の男との連絡を遮っていた。

それは聡士を第一に考えているからなのか…。


良く分からないが、今は誰よりも聡士と居る事が楽しい。



 聡士と付き合い2週間が経った時、いつもの様に恵里と別れた後、聡士の家へと向かった。


 聡士の両親は聡士が中学の時に離婚し、それから聡士は父とこの家に住んでいる。


 私の父親もそうだが、聡士の父も聡士に干渉せず、私が夜中に訪れても何も言わない。


それ処か、姿すら見たことがない。


時間が遅すぎる事もあるだろうが…。


『おう』


部屋はテレビの明かりのみで、聡士はベットに横になった状態で私に目をくれた。


 私はソファーに座った。


そこで見覚えのある物を目にした。


そして、その物は昨日まではなかった物だった。


 『何これ』


 物を手に取り、聡士に聞いた。


聞かなくてもこれが何なのかは分かっていた。


『知らない?』


 聡士は何の疑いもなく答えた。


『知ってるよ』


 聡士は私と同じ種類の人間だと直感し、私は正直に答えた。


 何をする物なのか、何の為にあるのか。

私がかつて使用した物だから。



私が手に持った物はパイプだった。


 世間で麻薬だと言われている葉を詰めて吸う物だ。



『やってるの?』


聡士からどういう答えが返ってくるかは分かる。


やっていても聡士を軽蔑したりする気持ちはなかった。


『たまにね』


軽蔑どころか、驚きもなかった。


 聡士が連んでいる仲間がやっている事は恵里から聞いていたし、その中に居て聡士がやっていない方が不思議だと思っていた。


『梓はこういう事した事は?』


『あるよ』


聡士が一切薬物に手を出さない人間だとしたら、きっと私は『やっていない』と嘘をついただろう。


 聡士も驚いた様子はなかった。


 私の返事を聞いて聡士は、ベットから体を起こし私の隣に腰掛けた。


 私の手からパイプを取り、何も言わず葉っぱを詰め出し煙草で一服する様に吸い始めた。


深く煙を吐き出した後、何も言わずパイプを私に差し出した。


私は戸惑う事なくパイプを受け取り、聡士の唾液が少し付いた吸い口に口を付け吸い込んだ。


 二度と薬物には手を出さないと決めていたけど、葉っぱに対しては余り抵抗がなかった。



 私と聡士は微笑み見つめ合い、抱き合った。


 後から聞いた話しだと、聡士は私の様な女は初めてだとか。


 聡士が薬物をして軽蔑しない女。


 薬物をする女。


 好きな女に隠す事なく、共有出来る事が嬉しいと聡士は言った。


 それから毎日ではないが、聡士が葉っぱを吸う時は、断ることなく共に私も吸った。


それは徐々に時と場所を選ばなくなっていった。




 昼間でも車の中で吸い、夜は外で吸う時もあった。


 葉っぱは他の物に比べ自分の意識がまだある為、恐怖心はなかった。




 しかし、葉っぱを吸う度に高哉を思い出した。


 孤独に耐えられず、お互い気持ちを寄せ合った高哉。


 薬物で寂しさを紛らわした私達。

そして私が初めて薬物に手を出した時に居た高哉。


 自分を止められなくなった高哉。止めることが出来なかった私。


 シャブに狂った最後の高哉の姿が頭から離れない。


 あの日から高哉とは会っていない。

連絡もしていないし来ることもない。


 あれから高哉は何をしているのか。


 高哉はどうなったのか。


私は薬物に手を出す度に今の高哉が気になり始めた。


 高哉を心配してか…。

 シャブに狂った人間がどうなったかの好奇心からか…。



 今の高哉が知りたい。

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