第17話: 解放
――ミホとは話してない。
私は学校で由希ちゃんと過ごすことが多くなった。
慎悟と啓太が知り合いってこともあり、由希ちゃんとは話しも合ったし、楽しかった。
由希ちゃんのグループの子達とも少しずつ話すようになった。
それも.慎悟の存在が大きかった。
由希ちゃんと他10人のグループ
その内由希ちゃん含め7人が彼氏いる。
その内5人が慎悟のいる△△校の生徒と付き合っている。
だから、私が慎悟の彼女とあって興味があるみたいだ。
ミホが居なくなってから..学校で友達はいなかった。
でも今は慎悟のお陰で由希ちゃん達と友達になれた。
こんなところでも慎悟に助けられてる
私は自然と由希ちゃん達のグループの一員になっていた。
学校の外でも一緒にいるときが多くなった。
外から見てると華やかなグループ、人達に見えた。
実際中にはいると、イメージとは違った。
彼氏に悩んでたり
親の事で悩んでたり
悩み事は一緒だ。
男の人と付き合ったことがない子さえいた。
あとわかったのは、10人もいるグループ。
グループの中にもグループがある。
学校で過ごしたりするのはみんな一緒。 でも、大体みんな2.3人に軽く別れていた。
私は最初は由希ちゃんと仲が良かったが、特に真弓と恵里と仲良くなった。
由希ちゃんはあまり学校に来ない。
かったるいみたいで…
真弓は高校に入ってから、友達に紹介された他校の同い年の人と付き合っているみたいだ。
恵里は私達の一つ上の彼氏がいる。慎悟と一緒の学校の人。慎悟の一つ下だ。恵里が中学の時から付き合ってるみたい。
敬は、慎悟との一件があってから、私に話しかけることはなかった。
私と目を合わすこともなかった。
最近姿を見ないと思ったら、学校を辞めていた。
辞めた理由はしらない。
多分、敬が言い出したのだろう。
学校の男の中で、
梓はヤバい人と付き合ってるから、手を出さない方がいい。
という噂が流れていた。
口説く男は勿論、口説くつもりはなくても、私に話しかけて慎悟に目を付けられるのが怖いんだろう。
今では、学校で私に声をかける男はいない・・・
私はそれでもいい。
学校にいれば、真弓や恵里がいる。
学校を出れば慎悟がいる。慎悟以外の男なんかいらない…
−今日は慎悟と一緒には帰らない。
用事があるから、先に慎悟の部屋に行って待つ事になっている。
他人の家にその家の人(慎悟)がいないのに入るのは初めて
緊張した。
でも慎悟の親は絶対慎悟の部屋に入ってこない・・・
慎悟と付き合って、もう3ヶ月…この家...この部屋には何十回…数えられないほどいるが、一度も慎悟の親に会った事がない。。。
私はこの部屋で一人で何をしたらいいか分からず、テレビも付けないで、じっと座っていた。
フッとクローゼットが開きっぱなしになっているのが気になった。
クローゼットの中には前に慎悟が見せてくれたアルバムがあった。
その横に、小さなアルバムがもう一つあった。
私は無性にそのアルバムがきになった。
見たい!でも勝手に見ちゃいけない...
私は自分の好奇心に負け理性を失った。
慎悟はまだ帰ってこない…
私は小さなアルバムを手に取った。
ゆっくりアルバムを開いた…
…見なきゃよかった。
一ページ見て思った。
写真には慎悟と…慎悟の隣には女の人…
悔しいけど、凄く綺麗な人…
レナさんを見たとき綺麗と思った。でも、写真に映る人はレナさんよりも断然綺麗・・
ページをめくる手は止まらなかった。
アルバムは最後まで、慎悟と女の人だった…。
二人で頬を寄せた写真
幸せそうな笑顔の写真
キスをした写真
二人の思い出がつまった写真
私は初めて嫉妬した。
足音が聞こえ、私は急いでアルバムを締まった。
慎悟が帰ってきた。
私はなにもなかった用に慎悟を迎えた。
『おかえり』
『ただいま』
その日私達は久しぶりに躰を重ねた。
慎悟と躰を合わせていても、写真の女の人が気になった。
あの人ともこういう事してたんだ…
慎悟に聞きたい。
あの人は昔の彼女なの?
どうして私といるのに、まだアルバムを大切にしてるの?
まだ慎悟の中に彼女はいるの?
聞きたい事が沢山ある。
…聞けない…
女々しいのは嫌だから…
女々しいと思われるのが嫌だから…
あれから、どれだけ慎悟と一緒にいても…どれだけ躰を合わせても…どれだけ慎悟に
「愛してる」
と言われても…写真の人を忘れる事はなかった。
何故なら、慎悟のあんな顔を見たから…
私には見せない顔…
アルバムの中の慎悟はいつも楽しそうで...癒されていた。
私には見せない慎悟の癒された顔。
それだけ、彼女の存在の大きさを魅せられた気がしたから…
彼女に対する嫉妬は日に日に大きくなっていく。
その日たまたま由希ちゃんが学校に来ている。
由希ちゃんなら知っているかも・・・
『由希ちゃん。聞きたい事があるんだけど、ちょっといい?』
『うん。どうかした?』
『慎悟の事で…』
私達は屋上に向かった。
『慎悟さんと何かあったの?』
『そういう訳じゃないんだけど…慎悟が昔付き合ってた人の事なんだけど…』
『私が知ってることなら話すけど…梓ちゃんも分かってると思うけど、慎悟さんカッコイいから…聞いて良いことばかりじゃないよ!…それでもいいの?』
『…いいの』
心の準備は出来ている・・・
『なら...私の知ってる事は話すよ』
『慎悟の昔の彼女で凄く綺麗な人いた?』
『瑠美さんじゃない?』
『名前は分かんない…』
『瑠美さんは、梓ちゃんと付き合う前に慎悟さんと付き合ってた人。凄く綺麗な人だったなぁ』
『…どういう付き合いしてたの?』
『詳しくは知らないけど…慎悟さんと一年ぐらい付き合ってたんじゃないかなぁ…本当に綺麗な人でお似合いの二人だったよ!…あっ…ごめん』
『いいの。続けて』
『瑠美さんとは梓ちゃんと付き合う半年前に別れたの。瑠美さんに他に好きな人が出来たみたいで…慎悟さん振られたの…それでもまだ瑠美さんのこと引きずってて、瑠美さんが戻って来るって信じてたんだって...でも戻ってこなくて、凄く荒れてた時期もあったんだって...で、梓ちゃんと出会ってって感じかな』
『まだその人の事忘れてないのかなぁ』
『ん〜。でも、みんな言ってるみたいだよ。梓ちゃんと付き合ってから慎悟さん落ち着いたって!それって、梓ちゃんのこと好きだからでしょ?』
『まだ忘れてはないのかなぁ』
『私が思うに…人ってそんなに簡単に忘れないと思うよ。特に自分がマジになった人の事は…ずっと忘れないと思う!上手く言えないけど,もし、私が啓太と別れたとするじゃん!私は他に好きな人が出来たとしても、きっと啓太の事は忘れないよ!自分が真剣に愛した人だしさっ!だから心の中にはずっといると思う。おばあちゃんになってもね♪』
『そういう物なのかなぁ…』
『私はそう思うよ!だから慎悟さんの中に瑠美さんがいても不思議じゃないよ!だからって今でも瑠美さんが好きっていうのは違う感じがする。今大切なのは梓ちゃんだと思うよ』
『そういう物かぁ。ありがとう。由希ちゃんの話し聞いて楽になった』
『よかった。役に立てて!でもこのこと慎悟さんに言わないでね。啓太に怒られちゃう』
『言わない。私も慎悟に内緒にしたいし』
由希ちゃんの意見に納得した。
相談してよかった。
私はやっと写真の人から解放された。
今は私が彼女・・
私の彼氏は慎悟・・
お互い好き・・・
その気持ちで十分だよね!
慎悟との今を大切にしよう。